10月末の販売開始以来、好調なセールスを続けるキヤノンのフルサイズミラーレス一眼「EOS R」。新しいRFマウントはショートフランジバックとなり、高性能なRFレンズがまず4本ラインアップされました。

そのなかから、今回はRFマウントの標準ズームと呼ぶにふさわしい「RF24-105mm F4L IS USM」をインプレッションします。EFマウント版の「EF24-105mm F4L IS II USM」とズームレンジや開放F値こそ同じですが、レンズ設計はRFマウント用に一新され、さらなる描写性能の向上を図ったのが特徴です。

  • EOS Rのボディと同時に販売が始まったRFマウントの標準ズームレンズ「RF24-105mm F4L IS USM」。実売価格は税込み15万円前後

精細感が高いうえ、ボケの描写も素直

F4通しのこのレンズは14群18枚というレンズ構成で、絞り羽根は9枚(円形絞り)となっています。フィルター径は77mmで、重量は700g。EOS Rのボディに装着するとなかなかのサイズ感ですが、スムーズなズームリングでフレーミングもピタリと決まります。ズームロック機構も備えているので、持ち歩き時にレンズが伸びてしまうこともありません。

レンズ先端には「コントロールリング」という3本目のリングを搭載しており、さまざまな機能を割り当てられるようになっています。リングの操作性もよく、EOS Rの操作性を高められる魅力的な装備だと感じました。

肝心の写りも全般にクリーンで、ボケの描写も素直です。Lレンズの名に恥じない、EOS Rに付けっぱなしで使いたい1本だと感じました。

  • 24-105mmというズームレンジは、日常的に使いやすい画角だと感じます。開放値がF4とやや暗めですが、光学式手ぶれ補正機構を搭載しているので、光量が少ないシーンでも手ぶれによる失敗を防げるでしょう。公園にあるベンチの反射を撮りましたが、クリアでヌケ感のあるカットとなりました(105mm相当、ISO100、1/125秒、F4.0、-0.7補正)

  • この時期になっても暖かい異常気象のせいか、都心ではなかなかキレイな紅葉にお目にかかれません。まだ青々とした葉にフォーカスしましたが、絞り開放ながらシャープな像を結んでくれました。葉の先端にあるクモの糸もハッキリと分かります(105mm相当、ISO400、1/125秒、F4.0、-2補正)

  • このレンズの最短撮影距離は約45cmとなっています。絞り開放で杉のクローズアップを撮りましたが、ソフトな描写と淡い色合いを味わうことができました(105mm相当、ISO250、1/125秒、F4.0、-0.7補正)

  • 橋の上から夕景を狙いましたが、残念ながら雲が多く美しい夕焼けとはなりませんでした。しかし、雲間から差す光芒と、遠くにある建物のしっかりとした描写を確認できるカットとなりました(105mm相当、ISO125、1/125秒、F8.0、-0.7補正)

  • EOS Rに装着するとそこそこのサイズ感になりますが、実際の携行はそれほど苦になりません。立て付けのいい各種リングの操作感が気持ちよく、快適な撮影を楽しめます。川越しにスカイツリーを撮りましたが、その鮮明な写りと整った前ボケを堪能できました(105mm相当、ISO100、1/320秒、F4.0、+0.7補正)

  • 蛍光灯に照らされているショーウィンドウ内の刀を撮影。EOS Rの的確なオートホワイトバランスと、このレンズの素直な描写によって、見た目以上にスッキリとシャープな写真に仕上がりました(61mm相当、ISO125、1/50秒、F4.5)

  • 夜の浅草に突如現れたねぷたの行列。勢いのあるかけ声とともに練り歩いていきましたが、RF24-105mm F4 L IS USMは正確にピントを合わせ続けてくれました。このくらいの動体なら、まったく問題なく合焦し続けます(98mm相当、ISO800、1/250秒、F4.0)

  • 海外からの観光客でにぎわう雷門付近。そのディテールをしっかりと写し取ってくれました。提灯の折り目部分の質感や本体の微妙なトーンも見事に表現しています。向こう側から差す強いスポットライトが入り込んだにもかかわらず、クリーンな描写としてくれたのは評価できるでしょう(70mm相当、ISO6400、1/125秒、F4.5、-0.7補正)