iPhoneなどを使って、リアル店舗で手軽に支払えるスマホ決済サービスのApple Pay。「ゼロからはじめるApple Pay」は、iPhoneユーザーにアンケートし、その回答をひもときながら、Apple Payのメリットや使い方などを紹介する連載です。
第1回ではApple Payを使っている27.5%の人に焦点を当て、Apple Payを利用するメリットについて紹介しました。みんながApple Payを使う理由は「便利・手軽・お得」。そんな利点を知ってか知らずか、iPhoneユーザーの72.6%がApple Payを使っていません。第2回は、みんなが「Apple Payを使わない理由」を探っていきたいと思います。
調査時期: 2018年10月12日~2018年10月18日 調査対象: マイナビニュース会員 調査数: iPhoneを日常的に使っていると回答した805名(Apple Payの未使用に関する質問は、このうちApple Payを使っていないと回答した584名が対象) 調査方法: インターネットログイン式アンケート |
iPhoneユーザー805名のうち、Apple Payを利用していない人は72.6%と7割越え。それでも、利用していない人のうち、50.6%の人は「機会があれば使ってみたい」と回答しています。ところが22.0%の人は「これからも使う気はない」とかたくな。なぜそこまでApple Payに抵抗を感じているのか、その理由とは……。
iPhoneユーザーの7割がApple Payを使わない理由
Apple Payを使っていない理由で一番多かったのが、「現在使っている支払い方法に満足してるから」。その次からの上位5位の意見を見ると、「登録や設定方法がわからない」、「現金のほうが安心だから」、「お金を使いすぎる気がするから」、「セキュリティが不安だから」と続きます。
まず、「現在使っている支払い方法に満足してるから」という回答を見てみましょう。では、どんな支払い方をしているのか聞いてみると……。
出ました「現金」! クレジットカードの75.4%(複数回答)に比べるとやや少ないものの、71.7%の人が現金払いを選択しています。日本人は現金が大好き。先ほどの「現金のほうが安心だから」や、「セキュリティが不安だから」という回答からも、(デジタルな存在である)「Apple Payって不安じゃない?」という気持ちが見え隠れする気がします。
筆者の友人も「iPhoneの中にお金を入れるなんて、iPhoneを落とした時に不安!」と言っていました。気持ちはわかりますが、その意見は全否定です。筆者としては、むしろiPhoneだからこそ安心なのだと声を大にして言いたい!
生体認証に加え、カード番号も暗号化
その理由は、Apple Payで支払いをする時には毎回、Face IDやTouch ID、パスコードによる認証が必要になるから。あまりに素早く、そしてさりげなく支払っているように見えますが、実はその都度、しっかり個人を認証しているのです。
だからiPhoneを落としたり、盗まれたとしても、他人にApple Pay を勝手に使われる心配はありません。Apple Payの公式サイトでも、「Apple Pay は、プラスチックのクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードを使った場合よりずっと安全です」と言い切っています(頼もしい!)。
Apple Payを利用するには、クレジットカードやデビットカード、プリペイドカードをiPhoneのカメラ機能で読み取りますが、Walletアプリに登録されるのは実際のカード番号ではなく、暗号化された識別番号になります。これをトークン化と呼びます。だからiPhone内に実際のカード番号が保有される心配もありません。
もし iPhoneを落としたり、盗まれたりした時も、Apple ID のアカウントページにアクセスしたり、「iPhone を探す」アプリ を使ったりすることで、Apple Payの使用を一時的に停止できます。たとえiPhoneに電源が入っていなくても大丈夫。その指令はちゃんと機能していて、次にiPhoneに電源が入った時点で実行されます。
カード情報をApple Payから削除することも可能。そうした場合も、削除されるのはトークン化された番号なので、元々の読み取ったプラスチックのカードは引き続き利用できるのが有り難いですね。クレジットカードを失くしたことがある人は頷けると思いますが、カード決済しているケータイ料金や電気代、ガス代などなどの登録を、新しいカードでやり直すのは、とてつもなく手間ですから……。
失くしたときはカード会社に連絡を
そもそもクレジットカードは紛失や盗難時に、カード会社に連絡したり、警察署に紛失届けや盗難届を出したりするなどの対応をしておけば、仮に不正利用されたとしても、その金額は補償されます。
Apple Payに登録したSuicaについても、仮にApple Payのカード情報を削除したとしても、残高は保存されます。登録したApple IDを使ってiCloudにサインインすれば、Apple Payに残高を追加し直すことができるのです。カード発行元や、JR東日本のモバイルSuicaコールセンターに連絡して、カードを使用停止にしたり、Apple Payから削除してもらったりすることも可能。
このような二重三重のセキュリティがあるので心配はご無用! 安心してApple Payが使えるわけです。こういった漠然とした不安は、ちゃんと知識を付けることで解消されます。
Apple Payの設定方法も、仕組みがわかれば実はかなり簡単なんです。第3回では、Apple Payを使わない理由の2番目に挙がった「登録や設定方法がわからない」という意見を追求していきますね。
著者プロフィール
綿谷禎子(わたたにさちこ)
情報誌の編集部から編集プロダクションを経てフリーランスのライターに。現在は小学館発行のビジネス情報誌「DIME」を中心に、企業のオウンドメディアや情報サイトなどで幅広く執筆。生活情報サイト「All About」のガイドも務める。自称、キャッシュレスクイーン。スマホ決済や電子マネー、クレジットカード、ポイント、通信費節約などのジャンルのほか、趣味の文具や手帳の記事も手掛ける。