中国DJIは11月29日、3軸ジンバル付きのカメラを搭載した新趣向のスティック型動画カメラ「Osmo Pocket」(実売価格は税込み44,700円)を発表しました。おもな特徴は「HERO7に強力ライバル、DJIがジンバル搭載小型カメラ『Osmo Pocket』発表」で紹介していますが、いち早く実機を試す機会に恵まれましたので、使用感を中心にリポートしたいと思います。

  • DJIが新趣向のスティック型動画カメラ「Osmo Pocket」を発表。本体のみでも撮影できるが、スマホと組み合わせるとスマホカメラでは難しい高度な撮影ができるようになるのが魅力

本体の小ささと軽さにまずビックリ

Osmo Pocketは、頭の部分に3軸のジンバル(制震装置)付きのカメラを、背面には1インチのタッチパネル液晶を搭載しており、これ単体で動画や写真の撮影が楽しめるユニークなカメラです。

  • 細長いICレコーダーほどのサイズ感のOsmo Pocket。手のひらにすっぽり収まるほどの小ささだ。本体も軽く、ジンバル付きのカメラを搭載しているとは思えないほど

Osmo Pocketを手にして感じたのは、「とにかく小さい!」ということ。基本的な構造は、スマホ用スタビライザー「Osmo Mobile」シリーズとよく似ていますが、Osmo Pocketの小ささと軽さは段違いです。スマホを取り付けないと使えないOsmo Mobileとは異なり、電源ボタンを押せば即撮影体制に入れるのも魅力です。

  • スマホ用スタビライザー「Osmo Mobile 2」(右)とOsmo Pocket(左)を比べたところ。大きさがまるで異なるのが分かる。手でガシッとつかむOsmo Mobile 2に対し、指でつまめるOsmo Pocket、というぐらいの違いがある

  • 本体側面にmicroSDカードスロットを備えており、撮影した動画や写真はここに入れたカードに保存される。底面にはUSB Type-C端子を備える

  • Osmo Pocketの液晶はタッチパネル式で、撮影や再生、設定変更もタッチ操作でできる

  • とにかく画面が小さいので、慣れるまではやや苦戦しそう

ポイントとなるのが、頭の部分に備わる3軸のジンバル付きカメラ。Osmo Pocketの状態に合わせてジンバルがグリグリと動き、動画のブレや揺れを補正してくれるだけでなく、常にカメラが水平になるよう保持してくれます。この2つの補正効果のおかげで、歩きながらの撮影でもスムーズで映画的な動画に仕上がるのです。

  • 3軸方向に動くジンバルを搭載したカメラ。撮像素子は1/2.3型センサーで、F2.0の単焦点レンズを組み合わせる。撮像素子の画素数は約1,200万画素とみられる

Osmo Pocketで撮影した動画。歩きながらの撮影だが、ジンバルのおかげで見苦しいブレや揺れが抑えられているのが分かる

人の顔を認識し、人物をフレームの中央に収める「フェイストラック」機能も備えています。自撮りで利用すれば、多少ラフにOsmo Pocketを構えていても、見栄えのする自撮り動画が撮影できます。ユーチューバーも必見の機能といえそうです。

人物の顔を中央に収め続けるフェイストラック機能。画面をタップして人物を指定するだけで、しつこいぐらいに追いかけてくれる

スマホを組み合わせると複雑な撮影が可能に

パッケージにはLightningコネクターやUSB-Cコネクターが付属しており、Osmo Pocketに装着すれば、iPhoneやAndroidなどのスマホをドッキングして撮影できます。画面が大きくなって見やすさや操作のしやすさがアップするだけでなく、スマホ接続時のみ有効になる複雑な撮影機能が利用できるようになります。

  • 本体に装着しているLightningコネクターをひっくり返し、端子側を外にすればスマホと接続できる

  • スマホを接続すると専用アプリが自動的に起動し、撮影モードになる

  • 専用アプリでの撮影画面。右下にうっすらと表示されているのが、ジンバルの向きを変えるためのジョイスティックだ。これを使うとカメラの向きを自由に調整できる

スマホ接続時は、さまざまな設定を自由に変更するProモードで撮影できるほか、ユニークな撮影モード「STORY」が利用できるようになります。たとえば「ダイナミック」は、4回に分けて撮影した短い動画にエフェクトを付けたうえでつなぎ合わせ、独特の動画に仕上げられます。

  • STORYモードでは、撮影した動画にさまざまなエフェクトを付けたうえで1本の動画が生成できる

「ダイナミック」で生成した動画。ジンバルが自動的に動いて回転の効果が加わり、印象的な動画に仕上がった

Osmo Pocketを短時間試用したところ、コンパクトなボディーからは信じられないほどの楽しさを秘めていることが分かりました。撮像素子が1/2.3型ということで、写真や4K動画のクオリティはiPhone XS/XRをはじめとする最新スマホと同等とみられますが、「揺れや傾きのない映画並みの動画が簡単に撮れる」「スマホと組み合わせれば高度な撮影が手軽に楽しめる」といった点は大きな魅力といえます。撮影した動画はmicroSDカードに保存するので、スマホ本体のメモリー容量を圧迫しない点も好印象です。動画を存分に楽しみたい若年層にとって気になるアイテムになりそうです。