畳のある生活に憧れる方も多いかと思いますが、いざその生活をしてみると気づいたときには畳が痛んでいたり、変色していたり、汚れが目立つようになっていたり、という経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。このように畳の経年劣化が進んだときに「一体何をどうすればよいのか」がわかる方は少ないのかもしれません。
現代では畳のある部屋というのは、お客様を通す部屋だったり、ゆったりとくつろぎを提供する場所だったりもしますから、気持ちよく快適に使いたいですよね。今回はそんな畳のメンテナンスをする際に気をつけるべきことや、畳の基本情報についてご紹介します。
畳のメンテナンスの方法と必要性
畳のメンテナンスの方法として、「張替え」というものがあります。この張替えを行う際に知っておくべき畳の基本情報とその必要性をお伝えします。畳を張り替える前にこれらの情報を頭に入れておくことでスムーズに作業を進めることができると思いますので、しっかり確認しておきましょう。
畳を張り替える必要性とは
新しい畳の匂いが大好きという人もいらっしゃるでしょう。あの匂いは時間が経つとなくなっていってしまいます。そして、色が変色し、お手入れがおろそかになればダニなどが発生して、健康被害につながるようなケースも考えられるのです。そのような点から、畳の張替えは定期的に行う必要があるといえます。とはいえ、畳の寿命はそんなに短くはありません。
畳を張り替えるタイミング
畳の張替えの目安は張替えの方法にもよりますが約3年〜15年などといわれています。「表替え」「裏返し」「新畳」という種類があり、「表替え」は畳表が傷んでしまっている場合などに、畳表を取り替える方法です。「裏返し」は、畳表が変色してしまった場合などに、畳表を裏返して付けなおす方法。「新畳」は新しい畳に取り替えることをいいます。「裏返し」が比較的安価で行える方法として知られています。では具体的にはどのような状態が張替えのタイミングとなるのでしょうか。
・畳の表面が裂けていたり、ささくれている
畳がささくれてしまうと、当然見栄えはかなり悪くなってしまうのですが、それと同時に耐久性も落ちてしまうので、注意が必要です。裂けている部分やささくれている部分からは湿気が入りやすくなったり、逆に乾燥しやすくなってしまったりと、様々な問題の要因になってしまいます。
また単純に手や足に刺さってしまうなどの怪我をする確率も上がってしまいますから、特に小さな子どもなどがいる家庭では注意するようにしましょう。
・カビやダニが発生
カビやダニは畳の天敵です。これらが発生してしまった場合にはなるべく早めに張替えをするようにしましょう。カビやダニを放っておくと、健康被害が出る可能性があるのは勿論のこと、建物自体にも悪影響が出かねません。また放置しておくとどんどん数が増えていくので、状態は悪化する一方です。勝手にいなくなるということはほぼあり得ないので、早めに処置をすることをおすすめします。
・畳が沈む、軋む
こんな状態まで畳の痛みが進行してしまっていたら、早急に張替えを行いましょう。劣化の進行度が酷い場合には建物自体にも改修の必要が出てくるケースがあり得るので、張替えと同時に建物の検査も行うとよいでしょう。建物にまで問題が発生していた場合には住宅の専門家にも診断をしっかりとしてもらう必要が出てきます。
自分でも張替えは可能?
業者に依頼することで費用がかかるなら、自分でやりたいと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、自力で畳の張替えをするのはあまりおすすめできません。材料を購入し、縁をカットし、釘を外し、古い畳の糸を外し、とかなりの労力がかかります。折角自分で頑張ってみても、最終的にはできなかった……なんてことが起こりかねません。ですので、畳の張替えについては、自分自身で行えるキットなども売っていたりしますが、不安な場合は業者に頼んだほうが賢明といえるでしょう。
畳張替え業者の選び方
自分での張替えが難しいとなると、次に考えるべきなのが、畳張替え業者の選定についてです。馴染みの業者がいれば安心ですが、数年に一度の頻度ですから、なかなかそうはいかないでしょう。業者は畳に関する資格を保有しているかどうかなどを参考に選んでいきましょう。
資格を有しているか
畳製作技能士(たたみせいさくぎのうし)という国家資格があるのをご存知でしょうか。畳の製作に関する学科や実技に合格した者だけが認められる資格です。実技試験では畳の製作から、敷き込みまでの作業が採点されます。
畳製作技能士には1級と2級の2つが存在しており、1級の試験受講資格には「7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験」が必要です。長い経験が必要なこの資格を取得するのは簡単ではない事がおわかりいただけるかと思います。この畳製作技能士がいるお店がもし近くにあればひとつの判断基準になるでしょう。
畳の状態を確認し、全体的な診断をしてくれるか
実際に現場に来てもらったうえで、畳の状態を診断してもらいましょう。その際に対応や受け答えを見て信頼に足る業者かどうかを判断します。専門的な言葉でごまかしてくるような場合には注意が必要かもしれませんので、素人にもわかる言葉で丁寧に説明をしてくれるところを選んだほうがいいかもしれません。また、畳の表面だけでなく裏側や、建物全体への相談にも乗ってくれる業者だと安心できるかもしれませんね。
見積書が丁寧に作成されているか
見積書を出してもらいましょう。大雑把な見積書で、何がどの費用なのかがわからないときはきちんと説明をしてもらうようにしてください。「張替え工事費用」とだけ表記されているような見積書の場合には、内訳を聞いてみないと、ずさんな作業をされてしまう可能性もあります。素材名、素材の産地、畳の枚数くらいは見積書に記載をしてもらうことで、安心感も生まれるのではないでしょうか。
畳の構造とその種類
畳の構造を予備知識として覚えておくことで、張替えの際に業者とのやりとりがスムーズになるかもしれません。
畳は大まかにいうと畳床、畳表、畳縁で構成されています。
畳床とは
畳の中心部分で普段は見えないところが畳床と呼ばれる部分です。硬さ・柔軟性・遮音性・保温性・吸放湿性など、畳の特徴と呼ばれる部分を全て司っているといっても過言でないのが、この畳床です。特に転んだり、荷物を落としたりしても衝撃を和らげる畳独特の性質は、お年寄りや子どものいる家庭では大切な要素でしょう。
畳床の種類
稲わら畳床:約40~45cmに交互に重ねた藁を約5~5.5cmに圧縮して縫い合わせて作られたものです。全体が藁と空気の層でできており、独特の柔軟性と硬さを持っているのが特徴の畳床です。遮音性・吸放湿性にも長けており、極度の湿気などがなく、管理状態がよければ、耐久力も期待できます。廃材になってもエコな素材です。
稲わらサンドイッチ畳床:一番多く藁を使う中心には、藁の代わりにポリスチレンフォーム板を入れてあります。上下が藁のサンドイッチタイプなので、このような名前で呼ばれています。「稲わら畳床」と比較すると少し劣りますが、クッション性が高いのが特徴。また、ポリスチレンフォームが湿気にも強いことから湿気の多い部屋などでの使用にも向いている畳床です。
建材畳床:木材パルプで作った畳ボードとポリスチレンフォーム板を使ったタイプ。構造によって5種類あります。
畳の張替えまとめ
畳の張替えは素人が手を出すにはデメリットも大きい為、業者に任せるほうがよいといえるでしょう。それでも自分で畳の張替えを行う場合は、失敗するリスクをよく理解したうえで作業を行うようにしてください。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。