スケジュールの関係で、空き時間はどうしてもできてしまう。カフェに入って仕事をしようにも、重要な書類はテーブルの上に開くことができず、ノートパソコンのモニターも見られてしまうのではないかと不安になる。
一方で「働き方改革」が叫ばれる中、ビジネスパーソンも物理的な職場に縛られないで仕事をする傾向が強まっており、そのためのスペースをどう確保するか、というのも課題となっている。
そんな中、JR東日本はシェアオフィスの事業展開をめざし、11月28日から実証実験を開始する。それに先立ち、11月26日に品川駅で報道関係者向けの発表会が行われた。
登録者はすでに1,000名
JR東日本の執行役員事業創造本部副本部長、表輝幸氏によると、「7月に発表した経営ビジョン『変革 2027』の中で、駅ナカサービスの迅速な展開を世の中に提案しています。その一環として、働き方改革やビジネスパーソンのニーズに対応し、スマートな働き方を提供するため、シェアオフィスの実証実験を行うことにしました」とのことだ。
ブース型の「STATION BOOTH」、コワーキングスペース型の「STATION DESK」、駅ナカにオフィスを設ける個室型の「STATION OFFICE」の3タイプをJR東日本は計画している。今回の実証実験で提供されるのは、ブース型の「STATION BOOTH」だ。2月20日までの約3カ月間、東京駅・新宿駅・品川駅の3駅で実証実験を行う。
各駅にブース型のボックスを4台ずつ設置し、個室内ではデスク・いすを完備しただけでなく、無料Wi-Fi、24インチのモニター、USBポートといった設備も。快適に過ごせるように、アロマも用意されている。
「すでに登録者は1,000名となっている」と表氏。「時間が空いているときにもスマートに仕事ができるように」とサービスの意図を説明し、「来年度上期から本格展開したい」と実用化への意欲も示した。2020年度までに30カ所に設置することをめざし、将来は駅ナカや商業施設だけでなく、オフィスビルにも展開したいという。「初日は7割が予約で埋まっています」(表氏)とのことで、利用者からの期待も高い。
「STATION BOOTH」の使い方は
「STATION BOOTH」を使うには、まずウェブサイトから登録し、予約を行う必要がある。現地に着くと、「STATION BOOTH」のサイトからQRコードを読み取れるようにし、「STATION BOOTH」のモニターにタッチしてQRコードを呼び出し、スマートフォンでスキャンする。すると鍵が開き、中に入ることができる。
中はコンパクトで作業に集中できる空間となっている。ソファのようにやわらかいいすではなく、適度な固さがある。デスクも、大きな固定式のものとなっている。
多くの人は、ノートパソコンを持ち込み無料Wi-Fiで作業をすることになるだろう。なお、有線LANはない。画面が小さいという人のために、HDMLケーブルで接続できる24インチのモニターもある。密室なので電話もしやすい。重要な書類も開きやすい。
退室予定時刻の5分前になるとアナウンスがある。そろそろ片づけを始めよう。退出時刻になると再度アナウンス。そうしたらブースを出よう。
隙間時間の仕事。しかしオフィスには戻れず、カフェでも問題がある。その一方で、職場にとらわれない仕事のあり方も社会から求められている。そのために生まれたのが「STATION BOOTH」といえる。「駅が便利で使いやすいように」と表氏。個室の作業空間が、いまの働き方の要請に応えようとしている。