2018年12月1日午前10時から、BS・110度CSで超高画質の新4K8K衛星放送が始まります。放送の注目番組と、視聴するために必要な環境の整え方などをまとめていきましょう。

BS・110度CS衛星を使用する4K8Kのデジタル放送は2016年に試験放送が始まり、いよいよ今年（2018年）の12月1日に本放送開始を迎えることになりました。4Kとは、水平方向に約4,000の高精細な画素を持つことを意味しており、2KのフルHD放送の映像に比べると水平方向で約2倍、縦横（画面全体）の画素数は2Kの約4倍となる約829万画素になります。

  • 2K（フルHD、1,920×1,080ドット）と、4K（3,840×2,160ドット）の比較

8Kの場合は、さらに横方向の画素数がフルHDの4倍。画面全体で比べると約16倍にもおよぶ約3,318万画素まで到達するので、その圧倒的な情報量による臨場感の違いは映像を見比べれば一目瞭然です。

これまでにも、4K対応のテレビやプロジェクターなどが様々なメーカーから発売されてきました。また、インターネットによる動画配信やUltra HD Blu-rayディスクに収録されたパッケージコンテンツには4K映像もありましたが、4Kコンテンツがテレビ放送で見られるようになると、対応機器の認知拡大と普及に弾みがつきそうです。

  • 2K（フルHD、1,920×1,080ドット）、4K（3,840×2,160ドット）、8K（7,680×4,320）の比較

衛星を使った8K高画質の商用放送については、同じく12月1日に開始が予定されているNHKのBS8Kが、世界初の試みとして関心を集めています。

さて、新4K8K衛星放送は「円偏波」と呼ばれる電波を使います。宇宙に浮かぶ衛星から進行方向に向かって、らせん状に円を描きながら電波が発射され、その電波が地上のアンテナまで届けられます。従来のBS・110度CS衛星放送は右回りに円を描く「右旋円偏波」（以下：右旋）を使っています。

新4K BS放送は、一部に右旋の電波を使いますが、反対回りの「左旋円偏波」（以下：左旋）の電波も採用されます。右旋と左旋は重要なワードで、記事の後半でも登場します。先に触れておくと、左旋の電波を使うチャンネルを受信（視聴）するには、新しいアンテナや宅内設備の導入が必要です。

■開局する新4K8K衛星放送のチャンネル

12月以降に開局する新4K8K衛星放送のチャンネルは、以下の通り。「（無料）」と記載したチャンネルは無料で見られますが、あとは有料放送です。いくつかの局については、先行するチャンネルよりも少し遅れて放送開始を予定しています。

2018年12月1日開局予定

＜BS右旋＞（無料）
・NHK BS4K（リモコンキーID：1）
・BS朝日 4K（5）
・BS-TBS 4K（6）
・BSテレ東 4K（7）
・BSフジ 4K（8）

＜BS左旋＞
・映画エンタテインメントチャンネル（10）
・ショップチャンネル 4K（11）（無料）
・4K QVC（12）（無料）
・NHK BS8K（2）（無料）

＜110度CS左旋＞
・J SPORTS 1（4K）（チャンネル番号：821）
・J SPORTS 2（4K）（822）
・J SPORTS 3（4K）（823）
・J SPORTS 4（4K）（824）
・日本映画＋時代劇 4K（880）
・スターチャンネル （881）
・スカチャン1 4K（882）
・スカチャン2 4K（883）

2019年12月1日開局予定

・BS日テレ 4K（BS右旋）（リモコンキーID：4）

2020年12月1日開局予定

・WOWOW（BS左旋）（リモコンキーID：9）

■どんな番組が放送される？

新4K8K衛星放送の番組ラインナップは、各局が徐々に発表しています。

NHKのBS4Kは、毎日午前6時から午前0時までの18時間に、原則4Kで制作した番組を放送します。ゴールデンタイムには『ダーウィンが来た！』『BS時代劇』『日曜美術館』『小さな旅』などの人気番組の4K版が放送を予定。毎週土曜夜の番組枠『4Kシアター』では、黒澤明や小津安二郎といった日本の巨匠映画監督の4Kデジタル修復版作品を上映します。

また、BS8Kは午前10時から午後22時10分まで、毎日約12時間の放送とされています。放送スケジュールは定時枠を設けずに、番組内容に応じて臨機応変なプログラム編成になるそうです。目玉は、世界で初めて8K化された映画『2001年宇宙の旅』。12月1日に放送が決まっています。

来年（2019年）3月には、映画『マイ・フェア・レディ』の8K映画放送も控えています。ほかにも世界のオーケストラの演奏を8Kの高精細な映像と、22.2chのサラウンドで楽しめるプログラム、大相撲やNHK杯フィギュアなどスポーツ中継も予定されています。

一方で民放局については、看板番組や人気番組の4K化を徐々に進めていくことを宣言しています。12月1日以降に出そろってくる番組には、紀行もの、グルメ、ショッピング、報道系のコンテンツが多く並ぶようです。

■現在の放送も続くので安心を

そして念のため、新4K8K衛星放送が開始されたとしても、現在の2Kなどの衛星放送がなくなるわけではありません。地上デジタル放送の4K化についてはまだ検討段階であり、今年の12月1日時点で見られる4Kコンテンツはありません。