自宅だけでなく、親が暮らしている実家、祖父母の家など、建物の古さや傷みが気になり、リフォームを検討する人は多いのではないでしょうか。自然災害も続く昨今、耐震診断や耐震補強を検討する人もいることでしょう。
こうしたリフォーム時には国や地方自治体から支援が受けられることもあります。日本全国の制度を一元的に検索できるサイトと活用法を紹介しましょう。
住まいには定期的なメンテナンスが欠かせない
人間の体と同じように、住まいもお手入れが大切になります。特に築年数が経過した建物ほどメンテナンスが重要に。マンションには長期修繕計画があり、それに則って修繕が行われますが、一戸建ては住んでいる人自身・所有者が行わなくてはいけません。何もしないと急激に傷んでしまいますし、地震が多発する今こそ、耐震診断や耐震補強が欠かすことはできません。
今年6月、大坂北部地震が発生し、ブロック塀が崩落して尊い命が犠牲となりました。この際、ブロック塀が現在の建築規準を満たしていないことが発覚し、適切に対応していれば防げた事故だといわれています。これから先、こうした悲劇を繰り返さないためにも、建物や外溝のリフォームが必要になるのです。
そうはいっても、古い建物で暮らしているのは高齢者で、収入は年金と貯金のみ、リフォーム費用まで手が回らないという人が多いのも事実です。そこで活用したいのが国や地方自治体の制度です。国、都道府県や自治体の住宅リフォームに関する支援制度が一元的に検索できるサイト「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(平成30年度版)」を見れば、住んでいる自治体にどんな制度があるのかすぐにわかります。
現在、住宅に関する国・自治体の助成としては、以下の種類のものがあります。
(1)耐震化
(2)バリアフリー化
(3)省エネルギー化
(4)環境対策
(5)防災対策
(6)同居対応
(7)その他
※基本的には持ち家(一戸建て・マンション)が対象ですが、自治体や制度によっては賃貸住宅、賃貸併用住宅でも利用できるものがあります。
現在、国がもっとも力を入れているのが、①耐震化です。2013年の国交省の調査によると、日本にある住宅総戸数約5200万戸のうち、耐震性なしといわれているのが約900万戸で、耐震化率約82%となっていますが、これを2020年までに約250万戸、約95%にする目標を掲げているからです。
また、今年の地震を受けて、ブロック塀の撤去に関しては複数の自治体で助成を出しています。気になる人はぜひ一度検索してみてください。
補助のほか融資、利子補給などの支援制度がすぐにわかる
上記のサイトでは、住んでいる自治体を選んだのち、受けたい制度をチェックして検索します。ひと口に支援といってもさまざまあり、(1)補助、(2)融資、(3)利子補給などの資金面での手助けということもあれば、(4)専門家派遣ということもあります。確かに「住まいについて不安だけれども、誰に相談したらいいのかわからない」というのはよくある話です。まずは行政から専門家を派遣してもらうのもよい手立てといえるでしょう。
また行政によっては、耐震診断や耐震補強などの工事だけでなく、地震による住宅倒壊から身を守るためにベッドにフレーム等を設置する「防災ベッド」、居間や寝室にフレーム等を設置し一時的な避難場所を作る「耐震シェルター」の購入助成も行っています。
たとえば横浜市では、「横浜市防災ベッド等設置推進事業」として、防災ベッドや耐震シェルターの購入助成があります。補助金の限度額は防災ベッドが10万円、防災シェルターが30万円ほど(助成利用前に要事前相談)。適用には各種条件もありますが、命を守る備えができるのであれば、ぜひ利用したいところです。
リフォームが必要な住まいに暮らしている高齢者からは「子どもたちがこれから暮らさないのであれば、手入れをしてもムダ」「地震が起きたらこの家で死にたい」という声をしばしば聞きますが、命には変えられません。また、こうした「防災ベッド」や「耐震シェルター」であれば数日で施工でき、費用も低額。行政からの助成が受けられるのであれば、「考えてもいいかも」となるかもしれません。
このサイトのよいところは、日本全国一律で検索できるところです。親や祖父母世代は、インターネットで検索しない/できないという人もいることでしょう。遠方に住んでいる子どもや孫が調べて、場合によっては申請することも可能です。手軽にできる「親孝行」として取り組んでみてはいかがでしょうか。