12月1日にスタートする「新4K8K衛星放送」は、BS/110度CS衛星を利用した高解像度のテレビ放送で、124/128度CS衛星による既存の4K放送(「スカパー! プレミアムサービス」による有料サービス)とは異なります。公共放送としての役割を担い、新たに19チャンネルがくわわります。
その新4K8K衛星放送ですが、専用チューナーがなければ視聴できません。iPhone向けテレビチューナーは、地上デジタル放送(フルセグ/ワンセグ)に対応したLightning接続型の製品は市販されていますが、2018年11月時点では新4K8K衛星放送対応製品は存在しません。新4K8K衛星放送対応チューナー搭載のテレビ/ビデオレコーダーすら少数という現状を踏まえると、iPhoneを含むスマートフォン/タブレット向け新4K8K衛星放送対応チューナーの発売はかなり先のことになりそうです。
ただし、スマートフォン/タブレット向け新4K8K衛星放送対応チューナーが発売されるとしても、視聴は厳しいと言わざるをえません。理由のひとつは、ディスプレイの解像度。4K解像度(3840×2160ピクセル=約829万画素)はすでに製品化可能な技術水準にあるとしても、8K解像度(7680×4320ピクセル=3300万画素)はスマートフォンの画面サイズでは現状困難です。高解像度/高画質が新4K8K衛星放送最大の特長ですから、これを生かせない製品は意味がありません。
もうひとつは、移動中の視聴が困難なこと。新4K8K衛星放送の受信には、屋外に設置したパラボラアンテナが必要だからです。ケーブルテレビや光通信網を利用したIPテレビの再送信サービスを使う手もありますが、スムースな映像出力に必要なビットレートは4K放送の場合でも数十メガバイト/秒に達するため、Wi-Fiでは安定した受信がなかなか困難です。パケット料金の水準を考慮すると、モバイル回線経由での視聴は非現実的です。
高画質な新4K8K衛星放送ですが、このようにiPhoneでの視聴は困難な状況です。技術が進歩した将来のことはわかりませんが、新4K8K衛星放送で見たい番組がある場合は帰宅してからテレビで、ということになるでしょう。