特定のプロジェクトのためにインターネットを通じて不特定多数の個人からお金を調達する仕組みとして、近年、急速に広がっているのがクラウドファンディングです。出資の形態は、社会貢献的な意味合いが強い寄付的なものから高利回りを期待する投資型からまでさまざま。支援者になることを考えるなら、まずはその仕組みやリスクをきちんと理解しておきましょう。
日本のクラウドファンディングは東日本大震災から広まった
クラウドファンディングとは群衆(crowd)と資金調達(funding)をかけ合わせた造語で、インターネット上で不特定多数の人から資金を調達する仕組みです。日本でクラウドファンディングが広がるきっかけになったのは、2011年の東日本大震災。被災地の復興を支援するためにクラウドファンディングを募集するサイトが続々と立ち上がり、多くの人に知られるようになりました。
リターンの内容や仕組みを理解してから出資しよう
支援したいプロジェクトや事業者に資金を提供するのがクラウドファンディングですが、リターンの仕組みによって大きく5つのタイプに分けられます。支援者になることを考えるなら、その違いを正しく理解しておくことが必要です。
まず知っておきたいのは、お金以外でリターンを受け取る「非投資タイプ」と、お金でリターンを支払うことを約束した「投資タイプ」があることです。さらに「非投資タイプ」には、社会貢献的な意味合いが強くリターンを期待しない「寄付型」と、商品やサービスなどお金以外のリターンを受け取る「購入型」。
「投資タイプ」にはプロジェクトや事業に対して投資をして売り上げの一部を分配金として受け取る「ファンド型」、資金調達を希望する企業や個人に対してクラウドファンディング事業者を通じて融資をして金利を受け取る「貸付型」、さらに金融商品取引法の一部が改正され2017年から始まった非上場企業の株式を取得する「株式型」があります。
クラウドファンディングへ出資するときの注意点は?
インターネット上で広く出資を募るクラウドファンディングが広がることで、起案者にとっては事業の進捗がスピードアップしたり、資金が少ない個人が事業を始めることができたりするといったメリットが生まれます。支援者にとってもプロジェクトでしか得ることができない特別なモノやサービスを購入したり、比較的高い利回りを受け取れたりするといったプラス面があります。
しかし、クラウドファンディングサイトが増えるなど資金が集めやすくなり、市場が広がりってくると問題が起こるのも世の常。サイトの倒産や詐欺的プロジェクトの起案、貸付型を運営する事業者が行政処分を受けるといったトラブルが起こっているのも事実です。
非投資タイプの場合、寄付型はリターンを求めませんし、購入型はリターンとして提供されるモノやサービスが明示されていますから、自分がそれに納得できれば問題は起こりにくいといえます。もちろんリターンが実行されない可能性がないわけではありませんから、プロジェクトの内容や起案者の情報はしっかり確認しましょう。
注意が必要なのは、投資タイプへ出資をする場合です。超低金利時代のいま、魅力的な予定利回りを提示している貸付型もありますが、投資ですから元本保証ではないことを認識しておかなくてはいけません。というのは融資先の企業の貸し倒れや、サービス運営会社が倒産するといったリスクが「絶対にない」とはいえないからです。使う時期が決まっているお金ではなく、あくまで余裕資金で投資することを考えましょう。