前回の住宅購入編に続き、消費税10%に増税前に買うべきか悩むものについて考えていきたいと思います。高額商品の中で購入を考えるものの一つとして家電も挙げられるかと思います。今はボーナスや年末の歳末セールとも重なり、購入の後押しとなりそうです。

家庭向けの家電は冷蔵庫やドラム式洗濯機など20~30万円のものが多いため、増税前に買っておきたいと考える人も多いかと思います。

2%の増税で1万円で1000円、(200円)、10万円で10,000円、(2000円)、100万円で10万円(2万円)の税の負担が増えることになるため、増税前に駆け込んで高額商品を購入して差分をお得にしようと考えるのは当然のことでしょう。

一般的に家電の買い替えどきは約10年とも言われていますが、壊れたり、調子が悪くなったときが買い替えどきと言えるでしょう。10年以内に調子が悪くなる家電もあれば、20年近く現役で頑張ってくれている家電もあるかも知れません。まだ壊れていない使える家電を増税のために買い替えるのはお得とは言い難いでしょう。

家庭用の家電は、夏もしくは冬のボーナス時期に合わせて新製品が発売されます。夏は6月、冬は10月頃に新製品が発売され、8月、12月頃の新製品の価格はほとんど値下がりはしません。家電製品のサイクルは1年であることがほとんどなので、発売から1年をかけて徐々に値下がりしていきます。つまり、家電を安く買いたいのであれば、新製品が出る前の型落ちになる5月9月頃がベストと言えるのです。

型落ちといっても、ついこの間までは主役だった製品なのですから大きく性能が劣るとは考えにくいでしょう。しかも家電製品は発売時の初期ロットから軽微なエラーなどを修正しながら製造するので、後期ロットと言われるものは製品として安定しているとも考えられるので、型落ちになる頃の製品はお買い得とも言えるのです。

家電量販店の決算を狙う

家電量販店の決算は家電量販店によっても異なりますが、2月3月、8月(中間決算は2月8月9月)としているところがあります。決算時期はきれいな数字の決算書を作るために、在庫を減らして現金を増やしたいので、在庫を処分するための値引き交渉がしやすいとも言われています。なので、タイミングを見ながら上手にお買い物をすることが増税分よりもお得にお買い物ができるのではないでしょうか。

そしてまた、買い替えるのであれば、省エネ性能が高いものを選ぶのもコツです。その理由は相次ぐ燃料費の値上げにあります。電気ガス、灯油など燃料費はここ数年で値上がりしています。燃料費が値上がり続けると、家計への負担も大きくなります。資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ」家庭用2017年冬版によると、10年前の家電から買い替えることによって節電になることがわかります。

  • 出典:「省エネ性能カタログ」家庭用2017年冬版

家電の購入時は、省エネラベルを見ると省エネ性能が高い家電製品を選ぶ参考になるでしょう。

○○年度と書かれたものは、何年度に評価されているかを示しています。冷蔵庫でノンフロンの冷蔵庫にはノンフロンの表示があります。

☆は、多段階評価基準で、1つ星~5つ星で評価を表しています。星の数が多いほど達成率が高いことがわかります。

省エネルギーラベルには、「e」と書かれている省エネ性マークがあり、この色でトップランナー基準を達成しているかどうかがわかります。緑のeは達成率100%以上、オレンジのeは、未達成であることがわかります。

「省エネ基準達成率」は、どの程度達成しているかを%で示しています。
「エネルギー消費効率」は年間消費電力量と示してあり、商品によって表示語が異なりますが、製品ごとに定められた測定方法によって得られた数値です。 そして、「e」マークの下にある「目標年度」は、トップランナー基準を達成すべき年度で、製品や区分ごとに設定されています。

一番下にはその製品を1年間使用した場合に目安電気料金が示されており、この金額を見ながら比較検討する方も多いかと思います。

また、現在使っている家電製品を新しい家電製品に買い替えることで、どれだけの節電ができるかどうかといった比較が「照明・器具・LED照明」「エアコン」「冷蔵庫」「テレビ」「温水洗浄便座」の5製品を「しんきゅうさん」で比較することができますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

増税前だから、ボーナスが入ったから歳末セールだからと家電を買うよりも、よりよいタイミングと省エネ性能の高い製品を買うことで、増税分の2%は節約できるでしょう。

丸山晴美(まるやま はるみ)

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外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザ―として独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している