自分の住んでいる物件が募集されているかどうかは案外気になるもの。検索した経験があるという方も多いのではないでしょうか。その時、もし自分の契約時と条件が変わっていたら気になってしまいますよね。そこで今回は、以前は管理費が家賃に含まれていたのに、現在は別々になっていた場合の疑問について、不動産・住生活ライターの高田七穂さんに伺いました。

Q 隣の部屋が、家賃と管理費を分けて募集していた。総額は同じだけど、うちは管理費込み。うちの管理費は、本当はいくらなの?

A 管理費や共益費は、廊下やエントランスなどの電気代をはじめ、管理を委託する管理会社に支払う費用、植えられている植栽の手入れなどに充てられています。

分譲マンションの場合、年1回の「総会」という所有者の集まりで管理費の明細が公開されます。けれども、民間賃貸住宅では、大家さんや管理会社が入居者に対して、何にいくら使用したかを公開することはまれです。

では、なぜ隣の部屋では、管理費の金額が明確になっているのでしょうか。これは、管理費としてきちんとした線引きをしているわけではなく、募集時の「見た目」の印象を変えるため、といった理由があるようです。例えば、「家賃8万円(管理費込み)」というよりも、「家賃7万5000円、管理費5000円」としたほうが、「家賃が安いな」と思いませんか。

こういった方法を採る理由の一つに、大家さんが、一度、「管理費込み8万円」で募集をしたものの、入居希望者が現れなかったということがあります。大家さんからすれば、毎月の収入を下げたくないものの、入居者が現れないのは困る、ということです。

ただ、入居する側からすると、管理費込みでも、別々でも、総額が同じであれば毎月、支払う金額は変わりません。インターネットで検索する時もだいたい「管理費込み」で探します。

一方で、総額が同じでも、管理費と家賃が別であれば、仲介手数料や敷金、礼金は家賃の1カ月分として計算されます。わずかではありますが、支払い分は管理費込みよりも少なくなります。もし、毎月の支払総額が同じで、複数の住まいが候補に挙がった時には、管理費別の物件を選ぶほうが、初期費用を少しでも減らせます。

高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォーム、住まいにまつわる暮らし方などを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中