店頭で説明を聞いたうえで格安SIMを契約したものの、いざ自宅で使おうとしたら使えなかった、通信性能/サービス内容が説明とはだいぶ違ったという声をときどき耳にします。購入から短い期間内での返品を意味する「初期契約解除」は認めてもらえず、泣く泣く契約を続けている……そんなユーザも結構な割合で含まれているのではないでしょうか。
携帯電話の契約は、電気通信事業法が定める「初期契約解除制度」により消費者が保護されています。これは、利用者が契約書受領から8日間は相手方の合意なしに契約解除できるという制度で、携帯電話/SIMのほか、光ファイバーインターネット接続サービスなどの固定通信にも適用されます。制度趣旨に反する条項/特約は無効とされる強力なもので、かんたんにいえば「通信版クーリングオフ制度」です。
しかし、格安SIMの場合そうもいきません。というのも、音声通話可能なSIMカードは初期契約解除制度の対象外とされていたからです。音声通話可能なSIMは、ほとんどのMVNOが半年から1年程度の最低利用期間を設けているため、サービスが期待していたものと異なっていても初期契約解除を求めることはできませんでした。
前置きが長くなりましたが、期待どおりに使えなかった格安SIMをキャンセルできる道が開かれました。2018年10月1日から初期契約解除制度がMVNOサービスにも適用されるようになったからです。通信サービス(データ通信と音声通話)に関する契約のみ対象となるため、端末の購入契約や各種オプションは含まれませんが、契約書を受け取ってから8日以内であれば、書面やWEBからの手続き(MVNOにより対応は異なります)で初期契約解除を申し込めます。