妊娠・出産は働く女性にとって、大きなターニングポイントになります。「今まで通りに働くことって可能なの? 」と思う方も多いでしょう。「出産や育児にまつわる制度は聞いたことはあるけれど、詳細についてはわからない……」。そんな方にわかりやすく制度を知ってもらい、少しでも不安を解消していただけたらと思います。

今回は、誰しもが気になる産休中の給与について詳しく解説していきましょう。

  • 産休中は給与を支払ってもらえるのでしょうか?

    産休中は給与を支払ってもらえるのでしょうか?

産前産後休業中(産前42日産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)の給与の取り扱いは特に労働基準法で定められておらず、無給としている会社は少なくありません。

これは「ノーワーク・ノーペイ」の考え方に基づいており、時給や日給の場合はもちろん、月給制であっても、お休みをした分の給与は控除されたり日割りされたりすることが一般的なのです。ただ、中には支給をする会社もあるので、就業規則を確認してみましょう。

産休中のお金事情

給与明細を見てみると、いつも支給されている給与額だけではなく、給与から引かれている項目、いわゆる控除項目の記載があります。産前産後休業中に無給となった場合でも、給与から控除はされるのでしょうか。代表的なものをみていきましょう。

住民税

住民税は昨年の所得に対してかかっている税金なので、無給になったとしても支払う必要があります。多くの会社では給与から天引きをしていますが、産前産後休業に入ることによって無給となる場合は、給与からマイナスできなくなってしまうため、普通徴収に切り替えをするケースもあります。この場合、自宅に市区町村から「納付書」が届き、コンビニなどで支払うことが可能です。

また、無給になる前の給与で一括徴収(その年の残りの住民税の金額をすべて払ってしまう)もできます。ただし、その月の給与がそのまま減ってしまうので、注意が必要です。

雇用保険料&所得税

その月の給与額に対して控除されるものなので、支給額が0円であれば控除されません。

健康保険料&厚生年金保険料

産前産後休業中の保険料は、事業主の申請によって免除となります。しかも、産前産後休業期間中における給与が有給であるか無給であるかは問われません。そして、保険料の徴収が免除される期間は「産休の開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月」までです。

例えば5月14日が出産日の場合は、産前産後休業は 4月3日~7月9日となり、4月~6月は保険料が免除されることになります。また、将来受け取る年金額を計算する際は、免除期間であっても保険料を納めた期間として扱われます。

つまり、保険料は支払っていないのに、将来の年金の積立額には反映されるということになり、将来の厚生年金額が出産によって不利にならないように配慮されているわけです。

2019年4月からは国民年金加入者も対象に

今までは健康保険・厚生年金の被保険者(サラリーマン)に限定されていた保険料免除制度ですが、2019年4月からは、国民年金保険料(自営やフリーランスの方が加入)の産前産後期間の免除申請も始まります。

免除期間は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間(多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3カ月前から6カ月間の国民年金保険料)です。施行は2019年4月1日。対象となるのは「国民年金第1号被保険者」で出産日が2019年2月1日以降の方です。

例えば2月14日が予定日の場合は、1月~4月までの保険料が免除となります。もし帝王切開などで出産日を決めるのであれば、2月以降にするとよいかもしれませんね。申請先は、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口となりますので、該当の方は確認してぜひこの制度を使ってみてください。