CloudHealthの買収でパブリッククラウド利用における課題解決へ
次に紹介したのは「クラウド」に関する取り組みだ。ヴイエムウェアは「ハイブリッドクラウド」と「パブリッククラウド」による「マルチクラウド」を推進している。同社のハイブリッドクラウドの基盤となるプラットフォームが「VMware Cloud Foundation」だ。VMware Cloud Foundationは、同社の製品によりコンピューティング、ストレージ、ネットワーク、セキュリティが統合されている。
AWSとの新たな取り組みとしては「RDS on VMware」が紹介された。同サービスは、Amazon Relational Database Service (RDS)をVMware環境で利用できるようにするものだ。RDSはAWSのサービス上でMariaDB、Microsoft SQL Server、MySQL、Oracle、 PostgreSQLといったデータベースが使えるサービスだ。「VMware環境とAWSの環境において、共通の形でデータベースを管理できるようにする」と、ゲルシンガー氏は述べた。
またゲルシンガー氏は、「パブリッククラウドはコスト、コンプライアンス、運用の非効率性という3つの課題を抱えている」と指摘したうえで、それを解決する手段としてCloudHealth Technologiesの買収を紹介した。CloudHealth TechnologiesはAWS、Microsoft Azure、Google Cloudといった複数のパブリッククラウドを単一のコンソールで管理可能なプラットフォームを提供する。
エッジにもSDDCの機能を拡張
エッジについて、ゲルシンガー氏は「スーパーパワーの1つであり、日本企業にとって最大のビジネスチャンスがある分野」と述べ、ヴイエムウェアのエッジに関するソリューションは「コンピューティング」「デバイス」「ネットワーク」の3つの分野から構成されていることを紹介した。
エッジに関する新たな取り組みとしては「Project Dimension」もある。Project Dimensionは現在ベータ版として提供されているが、VMware Cloudをデータセンター、ブランチオフィス、エッジへと拡張するための取り組みだ。ハイパーコンバージドのフォームファクタのVMware Cloud FoundationとVMware Cloudのマネージドサービスを組み合わせ、VMwareが運用するエンドツーエンドのサービスとしてSoftware-Defined Data Center(SDDC)インフラを提供する。
Heptio買収で期待されるKubernetesビジネスの拡大
アプリケーションについては、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」に関するソリューションを推進している。仮想化とコンテナは競合する技術と言われることがあるが、ゲルシンガー氏は「VMとコンテナは補完しあう技術」と述べた。
ヴイエムウェアはグループ会社のPivotal、Googleと連携して、商用のコンテナオーケストレーションツール「Pivotal Container Service(PKS)」を提供している。同ツールは、VMware環境でKubernetesによるコンテナ環境を構築する。
また、ゲルシンガー氏は今年9月にはPKSがAWS上でも稼働することになったことを紹介し、来年にはMicrosoft Azureのサポートも追加されることを明らかにした。
さらに、Kubernetesに関するニュースとして、Heptioの買収を紹介した。HeptioはKubernetesの開発メンバー2人が創業した企業で、Kubernetesのコンサルティングやトレーニングなどを提供する。「Heptioによって、Kubernetesが強化される」と、同氏は期待を述べた。
ヴイエムウェアはマルチクラウドから、さらにエッジへとビジネスの対象を拡大していることから、今回のvForumでの発表も実に多岐にわたっていた。そして、同社の戦略は5Gも視野に入れていることから、これから数年でどのような進化を遂げるのか、興味深い。