東京急行電鉄と米国カルフォルニア州のFRACTAは14日、鉄道電気設備の保守管理の質的向上・障害発生時の対応力の向上を目的とした、AI(人工知能)を活用した実証実験に10月から着手したと発表した。
これまでの鉄道電気設備は定期的な検査で予防保全を行う手法が主流であったが、障害発生の予測は難しく、効果的な未然防止策の確立が課題となっていた。今回の実証実験では、AIを活用した水道配管の故障予測手法を確立し、複数の米国水道会社にAIを用いたソフトウェア・サービス(SaaS)を提供するFRACTAの技術を活用する。
鉄道電気設備の電圧・電流値などについては、これまで東急電鉄が蓄積した検査データの統計手法による分析、常時計測データなどの監視の高度化により、障害予防に有効と思われる重要ポイントの推定を行う。検査・更新周期を適正化し、保守管理業務の質的向上を図るとともに、設備障害に関する知見や対応力の向上を図るとしている。
今後は年内をめどに、実証実験対象となる信号・変電などの鉄道電気設備の詳細を決定し、各種データの収集・分析を通じて2019年末頃までに鉄道電気設備障害に関するアルゴリズムを構築。その後、一定期間の実務検証を通じてアルゴリズムの有効性が検証できた場合、東急電鉄の鉄道保守の新技術として鉄道電気設備以外へ展開するとともに、中期経営計画の重点施策でもある「戦略的アライアンスによる事業拡大」に定めた「新たなビジネス分野、ビジネスモデルの探索」を具現化する取組みのひとつとして事業化を視野に入れ、さらに検討を進めていくとのこと。