VAIOは13日、12.5型ワイドの着脱式2in1 PC「VAIO A12」を発表した。絵本に着想を得て開発した新構造を採用し、クラムシェル型(一般的な形状のノートPC)の使い勝手を2in1に落とし込んだ”オールラウンダー”の1台とする。

11月13日から予約を開始し、ソニーストアやVAIOストア、量販店で発売する。価格はオープン。ソニーストアでの予想価格は税別121,800円から。量販店での予想価格は207,800円から。

  • VAIO A12。VAIO A12の”A”は、オールラウンダー(All-rounder)のAから来ている

  • ディスプレイが付いた本体を、キーボードユニットと組み合わせて使う

底面の「動く板」で重心バランスを最適化

「VAIO A12」は12.5型ディスプレイを備えた本体と、標準で付属するキーボードユニットを組み合わせた2in1 PC。既存の2in1 PCで課題になりがちな「膝の上で使いにくい」「角度調整ができない」「バランスが悪く、ディスプレイ側に倒れる」といった問題を解決し、2in1でありながら、ノートPCとしての使い勝手を最大限に発揮できる製品を目指したという。

最大の特徴は、底面のヒンジ付近に備えられた、「スタビライザーフラップ」という板状のパーツだ。本体(ディスプレイ部)をキーボードユニットに接続し、ノートPCのようにディスプレイを開くと、スタビライザーフラップが底面に沿う形でせり出し、全体の重心バランスを安定化。キーボード面が軽くてもPCがぐらつかず、安定して使うことができる。

  • 底面のヒンジ下でせり出している板状のパーツがスタビライザーフラップ。このパーツで支点をずらし、ディスプレイの重さを支えることで全体が安定する

  • ディスプレイを外して横から見たところ

このスタビライザーフラップは、「広開本」と呼ばれる製本スタイルから着想を得て開発されたという。広開本は、表紙の背と本体の背を接着せず、離して閉じる製本スタイルで、絵本や図鑑、辞典などの厚い本でも、綴じ部分から大きく開くことができる。

VAIO A12の開発初期の段階では、より大型の板(フラップ)が想定されていたが、デザイン処理が難しくなることや、フットプリントが大きくなることが問題だった。これに広開本の背表紙の動きを重ね合わせ、フラップを曲げて本体に添わせる形状としたところ収まりがよく、今回開発した「スタビライザーフラップ」構造の原点になったという。スタビライザーフラップの素材はマグネシウム合金製。強い合成を持ち、デザイン上のアクセントにもなっている。

  • 底面から見たところ。シルバーの部分がスタビライザーフラップ

  • スタビライザーフラップ単体(一部に画像処理を行っている)。左側が加工前の状態で、端の処理をしたり(左から2番目)、曲げて底面取り付け用の穴を開けたり(右から2番目)して、最終的な形状になる(右側)

本体は607gのファンレスPC

タブレットPC本体の重さは607g(最小構成時)で、厚みは7.4mmのファンレス設計。プロセッサは第8世代Intel Core Yシリーズを搭載する(Web販売のカスタマイズではCeleron 3965Yも選択可能)。ディスプレイのガラス面はAGCの強化ガラス「Dragontrail PRO」で、角を肉厚の樹脂で覆うことで、耐衝撃性を高めた。カメラは前面に標準装備するが、カスタマイズにより、背面右上にも搭載可能。ディスプレイはペン入力対応で、筆圧4,096階調のワコム製デジタイザースタイラスペンがオプションで用意される。

  • ワコム製のアクティブスタイラスペン(オプション)

本体とキーボードユニットは、ヒンジ中央のドッキングコネクタで接続し、一度接続すると自動でロックされる。本体をキーボードユニットから外すには、前面ヒンジ左側にあるリリーススイッチをスライドするほか、PCを閉じた状態でも、キーボードユニットのヒンジに備えたリリーススイッチをスライドすることで、外すことができる。

  • VAIO A12を閉じたところ。ヒンジ右側(向かって左側)に、リリーススイッチを備え、閉じた状態から本体だけを持ち出せる

  • キーボードユニットと本体のドッキングコネクタ

キーボードはVAIO S13と同じ

キーボードユニットは、同社の13.3型モバイル「VAIO S13」と同じ静音キーボードと高精度タッチパッドを搭載。キーボード側に主なインタフェースを集め、D-SubやUSB Type-A、有線LANポート、SDカードスロット、電源用ポートなどを装備する。

本体側には、本体の充電もできるPower Delivery対応USB Type-Cポートや指紋センサー兼用の電源ボタン、SIMスロットなどを搭載。LTEをオプションで選択すると、LTEスロットも本体側に用意される。

なお、USB Type-Cは最大60W/3Aに対応するが、Power Delivery対応充電器のほか、一般的な5V充電器での充電も可能。例えば5V/1.5Aの充電器で本体を充電した場合、約5.5時間で満充電になるという。

  • 本体天板

キーボードユニットのラインナップは2種類。本体を装着したときだけキーボード入力ができる「キーボードユニット」と、本体を離した状態でも独自の2.4GHz帯で暗号化されたワイヤレスキー入力ができる「ワイヤレスキーボードユニット」の2つを用意する。ワイヤレスキーボードユニットは、出荷時に本体とペアリングされるため、本体購入時にワイヤレスキーボードユニットを同時購入する必要がある。

キーボードユニットはバッテリ非搭載(重さ約492g)で、ワイヤレスキーボードユニットはバッテリ搭載(重さ約601g)。ワイヤレスキーボードユニットに接続したときのバッテリ駆動時間は、本体のみの最大約8.5時間から倍増し、最大約15時間となる(JEITA 2.0)。

  • キーボードユニット

  • 本体・キーボードユニットの左側面

  • 本体・キーボードユニットの右側面

  • 本体の内部(一部に画像処理を行っている)

VAIO A12 ソニーストア(CTO)モデル

構成パーツをカスタマイズできるソニーストアモデルの最小構成は、CPUがIntel Celeron 3965Y(1.50GHz)、メモリが4GB、ストレージが128GB SSD、グラフィックスがIntel HD Graphics 615(CPU内蔵)、WebカメラがHDカメラ、OSがWindows 10 Home 64bitなど。キーボードユニットは付属せず、拡張クレードルの付属となる。

LTEや無線LAN、指紋センサー、リアカメラ、デジタイザペン、キーボードユニット、Officeなどは最小構成では省かれる。最小構成時の価格は税別121,800円前後。バッテリ非搭載の「キーボードユニット」を選択した場合の価格は税別132,800円から。

VAIO A12 VAIOストア(CTO)モデル

VAIOストアでは、ソニーストアとほぼ同等のCTOカスタマイズが可能だが、標準でVAIOオリジナルSIMが同梱され、3年サポートが付属する。最小構成時の価格は税別150,800円。

VAIO A12 量販店モデル

量販モデルは構成の違いで「VJA12190211B」と「VJA12190111B」の2種類を用意する。

共通の仕様は、CPUがIntel Core i5-8200Y(1.30GHz)、メモリが8GB、ストレージが256GB SSD、グラフィックスがIntel UHD Graphics 615(CPU内蔵)、ディスプレイが12.5型ワイド液晶(1,920×1,080ドット)、OSがWindows 10 Home 64bitなど。

本体側のインタフェースは、USB Power Delivery対応USB 3.0 Type-C(DisplayPort 1.2、5Vアシスト充電)、IEEE802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LAN×1、Bluetooth 4.1、イヤホンジャック。キーボードユニット側のインタフェースは1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T準拠の有線LAN×1、HDMI×1、D-Sub×1、USB 3.0 Type-A×1、USB 2.0×1、SDカードスロットなど。

「VJA12190211B」では、上記仕様にWindows Hello対応のフルHD顔認証カメラを内蔵し、バッテリ内蔵の「ワイヤレスキーボードユニット」が付属する。想定価格は税別207,800円前後。

「VJA12190111B」では、顔認証非対応のHDカメラを内蔵。バッテリ非搭載の「キーボードユニット」が付属する。想定価格は税別244,300円前後。