賃貸の解約をスムーズに進めるために、やるべきポイントをまとめました。予想外の費用や手続きが発生して困らないように、きちんとやるべきことを整理し、計画を立てて引っ越しの準備を進めましょう。

まずは契約書で解約時期と解約通知方法を確認

引っ越しが決まったら、引っ越し先の物件が決まっていなくても、まず契約書を確認しましょう。ここでいう契約書とは入居時に取り交わした「賃貸借契約書」のことです。契約書が見当たらない場合は、契約を結んだ不動産業者などに連絡し、コピーをもらいましょう。

チェックするポイントは2つ1.解約時期

賃貸の解約は大きく2種類に分けられます。契約締結当初の契約期間の満了にともなう「契約満了での解約」と契約期間に満たない「途中解約」です。

不動産の賃貸借の契約期間は、2年間というところが多いようですが、不動産業者や地域によって違う可能性があります。自分の解約希望時期がどちらに当てはまるか、契約書できちんと確認する必要があります。

2.解約通知方法「契約満了での解約」の場合

契約満了の1~3か月前くらいになると契約更新の意思があるか確認する書類が届くので、郵便物をチェックしておきましょう。契約更新書類が届かない場合は、不動産業者に確認を入れてください。

契約更新書類が届き解約する意思のある場合は、同封されている解約通知書に必要事項を記載して返送しましょう。指定の期日までに解約通知を提出しないと、自動的に更新されてしまうことがあるため、注意が必要です。

「途中解約」の場合

例えば、2年契約であるのに半年で解約する場合でも1年11か月で解約する場合でも、契約期間の途中での解約であればどちらも「途中解約」に当てはまります。

途中解約の意思がある場合は、「賃貸借契約書」に書かれた期限までに不動産業者に通知する必要があります。一般的には通知の期限は退去の1か月前までに設定されているようです。月の途中に退去する場合、家賃は日割り計算で支払いが可能なこともありますが、月の途中で解約が出来ない契約の可能性もあるため、契約書を十分に確認しましょう。

引っ越し日が決まったら不動産業者への連絡を忘れずに

新居が決まり引っ越し日が確定したら、不動産業者への連絡を忘れずに入れるようにしましょう。立ち会いの日時を決める必要があるからです。

退去時の立ち会いは、鍵の返却や、室内の現況を把握する目的で行われます。原状回復とは、部屋の状態を入居した時の状態に戻すということですが、すべてを新品にすることではありません。

例えば、室内の汚れや傷は入居前からそこにあったものや、通常の使用でついてしまったもの、経年劣化でしかたなくついてしまったものもあります。これらについては借主の負担にはなりません。室内状況の認識に食い違いが生じないように、借主と不動産業者の担当者とで立ち会いが行われます。

引っ越し前に終えておくべきこと

引っ越し当日までに終えておくべきことは以下の7つです。それぞれを行うタイミングの目安も記載していますので、参考にしてみてください。いつまでに何をやればいいのかをきちんと把握して、計画的に準備を進めましょう。

1.引っ越し業者探し(引っ越し1か月前までに)

引っ越し業者のトラックや、作業員の数には限りがあります。希望日に引っ越しが出来るよう、引っ越し業者は早めに探し始めましょう。ただし、引っ越しの繁忙期は1か月前では間に合わない可能性もありますので、注意が必要です。

2.電話会社・インターネット会社への解約連絡または住所変更(引っ越し1か月~2週間前までに)

解約手続きを忘れてしまうと、引っ越し後も毎月利用料を支払い続けることになってしまいます。まずは電話で問い合わせて、必要な手続きを早めに済ませましょう。

3.粗大ゴミなどの処分(引っ越し1か月~2週間前までに)

今まで使っていた家具家電などが不要になり、粗大ゴミ回収業者や、リサイクル業者に回収してもらう場合などは、事前に申し込みが必要です。その他のゴミも計画的に処分しましょう。

4.郵便局へ転送届け(引っ越し1か月~2週間前までに)

窓口以外に、パソコンやスマートフォンからインターネットで手続きすることも可能です。

5.役所での転出届け(引っ越し1~2週間前までに)

転出届けの手続きは、引っ越し日の2週間前から当日前までに忘れずに。同じ市区町村内に引っ越す場合は転出届けではなく、転居届けが必要です。その場合は引っ越し2週間後までに手続きしましょう。

6.ガス・電気・水道の終了または転居届け(引っ越し1週間~3日前までに)

自分の契約先に電話やインターネットで手続きしましょう。「引越れんらく帳」というサービスを使えば一度の住所変更登録で各公共料金の住所変更手続きが済むので、利用してみるのもひとつの方法です。

7.部屋の掃除・傷の修復(引っ越し1週間~3日前までに)

退去時に予想外のクリーニング費用や修復費用を請求されないように、掃除もしておきましょう。

退去時に掛かる費用について

賃貸を解約し、退去時に掛かる費用は大きく分けて以下の3つです。引っ越しの際には入居時に掛かる費用に気を取られがちですが、退去時の費用も含めた引っ越し全体に掛かる費用を把握しておくようにしましょう。

1.不用品を処分・リサイクルするための費用

粗大ゴミや家電の廃棄には、それぞれ費用が掛かります。粗大ゴミの処分方法や費用は、地域によって異なりますのでお住まいの自治体のホームページや受付窓口での確認が必要です。

冷蔵庫やエアコン、テレビ、洗濯機や衣類乾燥機などの一部家電は家電リサイクル法により、粗大ゴミのように処分が出来ず、別途申し込みが必要です。申し込み後、回収業者に引き取りに来てもらい料金を支払います。この際、リサイクル料金とは別に回収業者が運搬する料金を支払わなければなりませんので注意が必要です。

ただし、新居で新しい家電を購入する予定がある場合は、家電販売店によって新しい家電と引き換えに古い家電を回収してくれることがあります。家電リサイクル料金については、家電の種類によって変わりますので「RKC 一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センター」を参照ください。

2.荷物の運搬にかかる費用

引っ越し業者に荷物の梱包や運搬を頼む場合はその費用が必要になります。しかし、自分や友人の力を借りて荷造りをし、車を借りて運ぶ場合はその費用は必要ありません。ただし、その場合でもレンタカー代や梱包に要する材料、友人へのお礼などの費用が掛かるので、事前に計算しておきましょう。

3.退去時の手続きに関する費用

前述したとおり、退去時には部屋を入居時の状態に原状回復する必要があります。通常使用の範囲の劣化や汚れの修理費用やクリーニング費用は基本貸主が負担することになっていますが、借主が故意や過失により壊してしまった場合や、通常範囲以上に汚してしまった場合など借主が負担する費用もあります。

契約の際に敷金を支払っている場合は、借主負担の費用はそこからまかなわれますが、あまりにも汚れや破損がひどい場合は、追加で費用が掛かることもあります。想定外の費用を請求されないためには、どこまでの汚れや劣化が借主負担になるかを理解して、日々の掃除や修繕を行うことが大切です。

例えば、程度にもよりますが「フローリングや畳の変色」、「家具設置によってへこんだ床やカーペット」、「電気ヤケ」などは通常使用の範囲の損耗とされ、借主負担にはならないとされています。

一方で「ガスコンロ周辺、台所、換気扇の油汚れ」、「風呂やトイレの垢やカビ」については通常範囲の汚れに当たらない場合がありますのでご注意ください。これらについては、日常的にきちんと掃除をすることで、原状回復にかかる費用を抑えることができるかもしれません。

長年の使用でついてしまった汚れは、すぐに落とせるとは限りませんし、専用の洗剤や道具が必要になる可能性もあるため、出来れば引っ越しが決まった段階から、こまめに掃除しておくことをおすすめします。

修繕費用を借主貸主どちらが負担するかでトラブルになりそうな場合は、事前に不動産業者などに確認をしておくか、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にしてください。

契約書をきちんと確認し、スムーズに解約を進めましょう。

契約書は文字数が多く、複雑で読み返すのを面倒に感じるかもしれませんが、解約通知の時期や方法、退去時に掛かる費用など重要なことが記載されています。予想外の費用が掛かって損をした!ということにならないように解約を決める前にきちんとチェックしましょう。

参照ページ
https://hikkoshizamurai.jp/useful/procedure/other/rental/



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