「ウルトラマンシリーズの魅力を、より多くの人々に伝えたい」という趣旨のもと、円谷プロダクションが新プロジェクト『ULTRAMAN ARCHIVES』を立ち上げた。これは、連続テレビシリーズとして作られたウルトラマンシリーズをはじめとする円谷プロ作品を「エピソード単位」でピックアップし、それぞれの作品の持つ魅力を今までウルトラマンシリーズを観たことのない人を含む、多くの人々に伝えるための企画であるという。

その第1弾として、記念すべき円谷プロ第1回製作作品『ウルトラQ』より、第19話「2020年の挑戦」が取り上げられた。『ウルトラQ』が放送されていた1966年では、遠い未来の時代というイメージで設定された「2020年」という年代が、現在(2018年)を生きるわれわれにとってはすでに目の前に迫っているという事実が、時の流れというものを実感させている。

ここからは、「ULTRAMAN ARCHIVES」として今後開催されるさまざまなイベントや商品展開をぞんぶんに楽しんでいただくため、「ウルトラマン」シリーズの偉大なる原点というべき『ウルトラQ』の概要を簡単に説明してみよう。

『ゴジラ』(1954年)や『地球防衛軍』(1957年)、『モスラ』(1961年)などの東宝特撮映画で手腕をふるった"特技監督"円谷英二氏が、1963年にテレビ界への進出を目指して「円谷特技プロダクション(後に円谷プロダクションと改名)」を設立した。最初に実現した連続テレビ作品は、TBSとの共同製作による『UNBALANCE(アンバランス)』と題されたもので、アメリカの人気テレビドラマ『ミステリーゾーン(原題はTHE TWILIGHT ZONE)』(日本放映:1960~1964年)を強く意識した、SFアンロソジードラマとして企画が進められた。

『UNBALANCE』の企画意図は、「もしも自然界のバランスが崩れたら」という大前提のもと、人間の常識でははかりしれない不思議な現象や怪事件が勃発し、人々がどのように対処するかという物語を、円谷プロが得意とする「特撮」を駆使して描こうというもの。

このテーマにそったかたちで、星川航空のパイロット・万城目淳(演:佐原健二)、毎日新報の記者兼カメラマン・江戸川由利子(演:桜井浩子)、淳の助手でそそっかしい戸川一平(演:西条康彦)がレギュラーメンバーとなり、太古の巨大植物が現代によみがえる「マンモスフラワー」や、子どもの精神が肉体から分離して交通事故を巻き起こす現代怪談「悪魔ッ子」、恋人が突如20メートルもの巨人に変貌した女性の苦悩を描く「変身」といった、イマジネーションに満ちたエピソードが作られていった。

しかし、TBS側より「せっかく怪獣映画で有名な円谷英二が作る番組なのだから、もっと怪獣の魅力を打ち出してほしい」と要望があり、円谷プロはそれまでの「自然界のバランスが崩れたら」というテーマを大事にしながらも、エピソードの中に「怪獣」を取り入れるよう軌道修正を行った。これにともない、タイトルも『UNBALANCE』から『ウルトラQ』へと改められるようになった。これは、1964年に東京で開催された夏季オリンピックにて、体操の日本代表選手が当時の最高難易度である「C」ランクを超える技を次々とこなした際に「ウルトラC」と表現され、これが当時の流行語になったことに由来している。

このような経緯で製作された空想特撮シリーズ『ウルトラQ』は、SF風味の効いたサスペンスや、少年を中心に置いたファンタジー、あるいは背筋がゾクゾクするようなホラーといった、さまざまなジャンルのストーリーが紡ぎ出され、そのほとんどに、ユニークなデザインと出現理由を備えた「怪獣」たちが登場し、これが大きな話題となった。「ゴメスを倒せ!」のゴメスとリトラ、「ペギラが来た!」「東京氷河期」のペギラ、「ガラダマ」「ガラモンの逆襲」のガラモン、「虹の卵」のパゴス、「カネゴンの繭」のカネゴン、「2020年の挑戦」のケムール人などは、放送当時から現在まで、半世紀以上も絵本や書籍にその姿をとどめている「ウルトラ怪獣」と呼ばれる人気キャラクターである。

『ウルトラQ』は、前述のとおり怪獣の出ない『UNBALANCE』時代のエピソードを含む全28話が製作されたが、TBSではこれらのうち、SF色の強い「あけてくれ!」の放送を見送り、残った27話ぶんから怪獣の魅力を打ち出したエピソードを前面に押し出しつつ、放送順を決定した。第1話は2大怪獣の派手な対決がクライマックスになった「ゴメスを倒せ!」に決まり、1966年1月2日の夜7時に放映されて大評判を取ったという。

※ちなみに本放送では電波に乗らなかった「あけてくれ!」は、1967年に行われたTBS再放送において、新たに順番が並び替えられた中での第24話として日の目を見た。現在は第28話としてカウントされている。

「ULTRAMAN ARCHIVES」の第1弾として、2018年11月17日(土)にイオンシネマにて上映&トークイベントが開催される「2020年の挑戦」は、『ウルトラQ』の第19話として1966年5月8日に放送されたエピソード。監督を務めた飯島敏宏氏はTBS映画部のディレクターで、当初は脚本(ペンネームは千束北男)として『ウルトラQ』に参加して「ゴメスを倒せ!」「燃えろ栄光」を生みだした。監督としては「2020年の挑戦」「虹の卵」「SOS富士山」「地底超特急西へ」という4本の傑作エピソードを手がけている。

「2020年の挑戦」は、不気味な液体を使って人間を次々に消してしまう謎の怪人「ケムール人」が登場。飯島監督によると、ケムール人は放送当時から考えてはるかな「未来」だった西暦2020年の人間をイメージしており、科学文明こそ発展しているけれども環境汚染や紛争はなくなっておらず、常に何者かの襲撃を恐れてキョロキョロと目がうごめいている……という発想で、不気味な怪人を作り上げたのだという。劇中では、人間を母星である「ケムール星」に転送し、自身の衰えた肉体と地球人の若い肉体とを交換しようと企む宇宙人として描かれているが、飯島監督はケムール人に「未来の人間」を重ね合わせていたことになる。

飛び込み台からプールへダイビングしようとする寸前の男性が一瞬ネガ像に変わった後、スーッと消えてしまうといった"人間消失"シーンが「特撮」の見せ場のひとつとなり、さらにはケムール人の体から発せられた消去エネルギー源(液体)が、まるで生き物のようにうごめき、人間に迫るという不気味なカットも生み出された。大股でゆっくりとした動作でありながら、パトカーを追い抜いてしまうほどのスピードを出すケムール人の疾走シーンや、巨大化したケムール人が真夜中の遊園地で観覧車をつかんで投げ飛ばすというスペクタクルシーンなども、印象的な名場面として知られている。スリルとサスペンス、そして時折はさまれるユーモアで繰り広げられる傑作エピソード「2020年の挑戦」の奥深い魅力を、今回の上映&トークイベント(脚本・監督の飯島敏宏氏×漫画家・浦沢直樹氏)にて改めて探ることができるならば、「ULTRAMAN ARCHIVES」の存在意義は大きいというものである。

『ウルトラQ』の大ヒットによって、日本全国に空前の「怪獣ブーム」が到来。円谷プロとTBSは『ウルトラQ』の「怪獣路線」をよりパワーアップさせるかたちで、怪獣がうごめく『ウルトラQ』の世界に「怪獣事件を専門に扱うチーム(科学特捜隊)」と「怪獣と五分に戦えるヒーロー(ウルトラマン)」を投入する方針を固めた。こうして、空想特撮シリーズ第2弾『ウルトラマン』が誕生することになったのだ。

『ウルトラQ』は『ウルトラマン』に始まる「ウルトラマン」シリーズの偉大なる"原点"であり、同時に国産SF特撮ドラマの金字塔として、半世紀を経た今でもファンの間で伝説的に語り継がれている作品である。

11月17日実施『ウルトラQ』「2020年の挑戦」上映&スペシャルトークイベントメイン会場&ライブビューイング14会場チケットプレゼント
応募要項
■応募期間:2018年11月9日から2018年11月12日23:59まで
■内容: 『ウルトラQ』「2020年の挑戦」上映&スペシャルトークイベントメイン会場およびライブビューイング会場チケット
■当選人数:メイン会場3組6名様、ライブビューイング14会場各3組6名様
■応募方法
1.【公式】マイナビニュース特撮Twitterをフォロー
2.各応募ツイートをリツイート
メイン会場:イオンシネマ板橋
ライブビューイング会場:江別(北海道)名取(宮城)浦和美園(埼玉)幕張新都心(千葉)シアタス調布(東京)港北NT(神奈川)新百合ヶ丘(神奈川)金沢フォーラス(石川)各務原(岐阜)大高(愛知)京都桂川(京都)茨木(大阪)広島(広島)福岡(福岡)

当選者には応募締め切り後、【公式】マイナビニュース特撮Twitterからダイレクトメッセージにて、送付先情報(送付先住所、受取人氏名、電話番号)を伺います。 ※ダイレクトメッセージ送信後48時間以内にご連絡のない場合や、フォローを外された場合(その場合ダイレクトメッセージを送付できません)は当選を無効とさせていただきます。

■当選条件
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