引っ越しをするにはいくつもの手続きを踏まなければなりません。

「役所での住所変更が必要らしいけど、いつすればいいの?」「引っ越し業者にはどのタイミングで依頼すればいいの?」と、考え始めるとわからないことばかりですよね。

今回は、引っ越しの「前」と「後」どちらですべき手続きなのかを整理しています。手続きを忘れたり手順をまちがえたりすると、のちのち面倒な思いをするのは自分自身です。引っ越しの前にしっかりと把握しておきましょう。

引っ越しの前に済ませておきたい準備と手続き

引っ越し先が決まってから、いざ引っ越しをする日までに済ませておきたい手続きは大きく分類して、8つあります。その中には、期限の決まっている手続きもあるので、ひとつひとつ慎重に確認しましょう。

賃貸物件の解約

新たな引っ越し先と日取りが決まったら、現在住んでいる賃貸物件の解約手続きが必要です。(実家に住んでいる人は不要です。)

解約には2種類あります。

①契約満了時の解約

ほとんどの賃貸物件が2年間の契約期間となっており、契約満了を迎える1~3か月前に、更新の意思を確認する通知が届くので、案内に沿って書類を記入して返送しましょう。

※自分で解約の意思を伝えないと自動更新になってしまうケースもあるので、契約時に交わした「賃貸借契約書」をご確認ください。

②途中解約

一般的には、退去日の1か月前までに契約した管理会社(あるいは大家さん)に解約の意思を伝えなければなりません。とはいえ、新居が決まり次第なるべく早く伝えたほうがいいでしょう。解約手続きがスムーズに行えないと、場合によっては新居との二重契約になってしまい、両方の家賃を支払う、なんてことも。

余計な出費を抑える意味でも、計画的な行動が必要です。月の途中で解約するのであれば、通常は日割り分に換算してくれます。しかし、場合によっては1か月分の家賃を支払わなければならないケースもあるので、まずは「賃貸借契約書」を確認するか不動産会社に相談するのがよいでしょう。

※原状回復費やクリーニング費、敷金の返還などに関しても「賃貸借契約書」で確認しておきましょう。

契約満了時の解約または途中での解約でも、解約の手続きを済ませてから新居を探すということも可能ではあります。しかし、短い期間で希望の物件が見つかる保障はありません。特に引っ越しシーズンにあたる1~3月は競争率がとても高いので、注意が必要です。

火災保険の解約

ほとんどの不動産会社では賃貸物件の契約と同時に火災保険への加入が必須なので、こちらも解約しなければなりません。

不動産会社が賃貸物件の解約にあわせて、火災保険の解約手続きも同時に行ってくれる場合は、担当者の指示に従えば問題ないでしょう。ただ、自分で火災保険に加入された場合には注意が必要です。通常は契約期間が満了する1~3か月前に更新の通知が届くので、案内に沿って書類を記入して返送しましょう。

もし通知が届かなかった場合でも、解約手続きをしなければ、自動更新になってしまう場合があるので、どのような契約になっているかすぐに確認できるように、賃貸借契約書などの大事な書類とあわせて、わかりやすい場所に保管しておきましょう。

駐車場の解約

賃貸物件に付属した駐車場を利用しているのであれば、賃貸物件の解約と同時に駐車場も解約になるので、手続きは不要です。別途自分で駐車場を契約しているのであれば、お手元の契約書に目を通して解約時期と方法を確認しておきましょう。

引っ越し業者との契約

引っ越しの日取りが決まったら引っ越し業者と契約しましょう。とはいえ、数ある引っ越し業者の中から最適な業者を選ぶのは大変ですし、各社から見積もりをしてもらうのも時間と手間がかかります。

なので、インターネットでシミュレーションするのが便利です。大手引っ越し会社のサイトや見積もり比較サイトなどがあり、無料で利用できる場合が多いため、探してみましょう。引っ越し業者から段ボールをもらって荷物を整理することまで考えると、引っ越し業者との契約は早ければ早いほうがいいでしょう。

ただ、引っ越し費用をできるかぎり抑えたい場合は、友だちに手伝ってもらうなどをして自力で引っ越す、という方法もあります。単身者であれば、バンや軽トラが1台あれば一度にすべての荷物を運べるかもしれません。ちなみに、単身者が引っ越しの際に使う段ボールの数は10~15個が多いようです。

インターネットサービスの解約

まずは新居のインターネット環境を把握しておくことが必要です。集合住宅の場合、すでにインターネット環境が整っていて居住者が自由に利用できることがありますが、新たにプロバイダと契約後、工事が必要になることもあり得ます。

解約と契約、あるいは住所変更に関する手続きの手順はインターネット・プロバイダごとに異なるので、現在契約しているプロバイダに問い合わせるのがもっとも確実でしょう。

郵便局への転居届

旧住所宛に届いた荷物を新住所に転送してくれるサービスです。引っ越しを終えてから申請することも可能ですが、重要なものが空白の期間に旧住所のポストへ投函される場合があるので、住所変更を事前に申請しておくのがベターでしょう。

役所への転出届

引っ越しをする日の2週間前から当日まで可能です。新住所のわかるものが必要になるので、忘れずに。転出届の手続きが完了すると「転出証明書」が発行されます。こちらは転入先(引っ越し先にある役所)で手続きをする際に必要になります。大切に保管しておいてください。

※同じ市区町村内で引っ越しをする場合は転出届の提出は不要です。後述しますが、引っ越し後に「転居届」を提出してください。

電気・ガス・水道の手続き

まずは、各会社に電話で問い合わせるかホームページから手続きを行いましょう。その際、「お客様番号」などの記載された検針票や利用明細があると手続きがスムーズです。

ちなみに、新居でのガスの開栓は立ち会いが必要な場合があるので、注意しましょう。引っ越し後、すぐにライフラインが使えるように、引っ越し日時が確定したら早めに手続きを済ませるのが賢明です。

引っ越し後にすべき手続き

引っ越しが無事に完了してひと安心。ですが、すべき手続きはまだ残っています。

役所への転入届(転居届)

新住所が管轄している役所にて、引っ越した日から2週間以内に手続きをしなければなりません。別の市区町村から引っ越してきた方は手続きの際、「転出証明書」が必要です。そのほか「本人確認書類」と「印鑑」が必要になりますのでお忘れなく。

役所でマイナンバーの住所変更

転入届にあわせて手続きしておきましょう。期限も同様に2週間以内です。期限を過ぎると最高で5万円の罰金を科される場合があるのでお早めに。

免許証の住所変更

新住所地のある警察署/運転免許センター/運転免許試験場いずれかの場所で手続きをおこなう必要があります。必要なものは、運転免許証・印鑑・新住所の記載がある住民票、さらに都道府県が変更になる方のみ、6か月以内に撮影した申請用の写真が必要です。

そのほか住所変更に関する手続き

会社員で引き続き同じ会社に勤めるのであれば、会社にも報告をしなければなりません。そのほか個人で使用しているクレジットカードや銀行口座についても各窓口を通じて住所変更が必要です。自分にとって重要なものから優先的に各種の住所変更手続きを済ませてくださいね。

引越しの前後で同じ手続きは2回必要!

これまで述べてきたように引っ越しに関する手続きの数は相当なものです。そして、その多くが住所変更に関する手続きです。

ただ、よくよく考えてみると、前のものを「解約」したら新たに「契約」をしなければなりませんし、ライフラインを「中断」したら「再開」するのは当然です。

例外はありますが、引っ越しの前後で計2回は同じ種類の手続きが必要だと思っておけば、やり忘れを防止できるかもしれません。

役所に行くのは引っ越しの前後2回

ほとんどの手続きが電話やインターネットで済ませられるので、直接出向かなければならない引っ越しの手続きは、実のところ役所ぐらいです。引っ越し前は「転出届」、引っ越し後は「転入届」と「マイナンバー」。例外があったり立ち会いが必要な手続きだったりはありますが、インターネットをうまく使えば曜日時間を問わずに手続きが可能です。

住所変更はお早めに

たかが引っ越しと思いきや、されど引っ越しです。住所を変更するだけでこんなにもたくさんの手続きを乗り越えなくてはなりません。ポイントは早め早めの行動です。前倒しするぐらいの余裕をもって計画的にクリアしていけば、新生活のスタートはきっとすばらしいものになるはずです。



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