アフラック生命保険は11月2日、キャンサー・ソリューションズと共同で実施した「がんと就労に関する意識調査」の結果を発表。調査は6月29日~7月2日、就労中および退職したがん患者(各103名)と、がん患者の周囲で働く同僚および経営者(各103名)を対象に、インターネットで行われた。

診断1年目の平均休暇日数は65.8日

  • 診断後、仕事を休んだ日数

    診断後、仕事を休んだ日数(がんと就労に関する意識調査)

はじめに、がん患者206名に対し、「診断から1年以内で体調不良や治療などにより仕事を休んだ日数」を聞いたところ、平均で65.8日という結果に。2年目以降でも30.9日に及んでいることがわかった。

また、就労継続群と退職群で休んだ日数を比較すると、診断後1年目の両者の差は44.7日、2年目以降では29.6日と顕著であることを受けて、同調査では「1年目の体調不良は有給休暇や傷病休暇制度で対処できても、2年目以降の体調不良に対応できる休暇制度は少なく、複数年にわたり、分散して休暇取得できる制度の整備が離職予防には大変重要なこと」とコメントしている。

復職後のパフォーマンスは7割以下

  • がん治療から復職した際の体調と、周囲の評価

    がん治療から復職した際の体調と、周囲の評価(がんと就労に関する意識調査)

続いて、がん治療から復職した際の体調について尋ねると、以前の「5~7割程度」で働くことができる人が31.1%、「3~4割程度」が17.5%、「3割未満」が6.3%と、半数以上が仕事のパフォーマンスは7割以下にダウンした」と感じていることが明らかに。

しかしながら、「がん治療から復職した部下の働きぶりに対して、何を基準に評価しましたか」という問いに、半数以上が「がんと診断されたことを考慮せず評価する」(54.5%)と回答しており、両者に認識のギャップがあることが浮き彫りとなった。

会社からの支援、本人と周囲とでギャップ

  • がん患者の就労に対する会社からの支援について

    がん患者の就労に対する会社からの支援について(がんと就労に関する意識調査)

次に、全調査対象者に対し、「がん治療をしながら仕事を続けるために、どのような支援が会社からありましたか?」と尋ねたところ、がん患者の6割超が「特に支援はなかった/しなかった」と回答したのに対し、同僚は2割強、経営者は1割未満という結果に。

また、時差出勤や利用可能な制度などについても、同僚や経営者が「やった・やってあげている」という思いに対して、がん患者である当事者の多くが「あまり支援されていない・何も支援がない」と感じており、ここでも本人と周囲との間にギャップがあることがわかった。

がん患者75%が産業医の存在を認知せず

  • がんと診断された時の相談状況と、産業医の活用について

    がんと診断された時の相談状況と、産業医の活用について(がんと就労に関する意識調査)

がんと診断された後の相談相手について聞いたところ、「直属の上司」(56.3%)や「同僚」(28.6%)という回答が多かったほか、約3割が「誰にも相談はしなかった」ことが判明。その理由を尋ねると、「言っても何も変わらないと思ったから」が圧倒的多数となった。

また、産業医がいる企業では、がん患者の約7割が就労を継続しているのに対し、産業医がいない(分からない)企業では4割程度であることが判明。産業医が両立支援に寄与していると言える結果に。しかしながら、調査対象者が勤める企業の約65%が産業医を有しているものの、そのことを認知している患者の割合は約25%と低かった。