ソフトバンクグループは11月5日、2019年3月期 第2四半期決算を発表。登壇したソフトバンクグループ代表取締役会長 兼 社長の孫正義氏に向けて、記者団からは「携帯電話の利用料金は下がるのか」といった質問が相次ぎました。
通信料金は安くなるの?
菅官房長官による「日本の携帯電話の料金は高い」「あと4割は下げる余地がある」といった発言を発端に、大手3キャリアの動向に注目が集まっています。ちなみに一足先に行われた先週(10月31日)の決算発表会で、NTTドコモの吉澤和弘社長は「新料金プランの導入によって、2019年の第1四半期には携帯電話の料金を2割~4割下げたい」と表明しました。
これを受け、ソフトバンクも通信料金を値下げするのかと記者団に問われた孫氏は、「(政府の指摘を)真摯に受け止めながら、しっかりと対応していきたい」と回答。NTTドコモが4,000億円規模のユーザー還元を予定している件については「ソフトバンクでも、しっかりと顧客還元を行っていきたい。合わせて増益を実現させていきたい」と説明します。なんだかあいまいな回答ですが、果たして通信料金は値下がりするのでしょうか。
孫氏は「ソフトバンクでは、(2018年9月に)大容量プランの提供を開始しました。若者を中心に、YouTubeやSNSなどの利用が増えているので、これらのサービスについて0円カウントでやっています」と説明。続けて「データトラフィックのうち43%がYouTubeやSNSに消費されており、これを0円カウントにすることは、実質的に4割の値下げにあたる」と結論づけました。
「ギガバイト単価で考えれば、我々は世界で最も利用料金の安い事業者のひとつ。大容量プランのソフトバンク、小容量プランのワイモバイル、どちらの面から見ても安い」と孫氏。NTTドコモで導入を検討している分離プラン(端末代金と通信料金を分離するプランのこと)について、ソフトバンクは2018年9月にはじめた「ウルトラギガモンスター+」や「ミニモンスター」によって導入済みであるとの立場です。
孫氏は「我々は政府の指導に対応し、分離プランも真っ先に打ち出した。新規ユーザーには、ほとんど分離プランを契約していただいている。ワイモバイルでも、来期から導入したい」と話します。ソフトバンクでは分離プランを導入したことで、すでに25%~30%を値下げ済みという考えで、ソフトバンクグループ取締役の宮内謙氏は、ワイモバイルも分離プランを導入することで、ユーザーの毎月の支払額が1割から2割ほど下がるのではと述べました。
人員を4割削減!?
一方で「国内事業は増収増益を目指していく。低価格の料金プランを提供するからといって減益にはしない。そんな言い訳は絶対にしたくない」と孫氏。そのために通信事業の人員を4割削減すると表明しました。リストラで社員を減らすという意味ではなく、AIやデジタルロボットを活用して業務効率を一気に上げていくとのこと。具体的には、ユーザー窓口、法人営業、SBショップ、社員サポートなどの分野でスタッフを削減し、その人員を新規事業に回すという考えです。孫氏は「該当する社員には、笑顔で新しい事業にシフトしてもらう」と説明しました。
「ドコモさんは、まだ具体的な料金プランを表明しておられません。(減益を前提に新たな料金プランを提供するドコモに対して)どのような状況になっても、ソフトバンクでは言い訳なしで増益を目指す。そのためにはコストダウンが必要。根性論ではなくて、科学的にRPA(ロボットによる業務効率化)を進めるということです。人員を成長領域にシフトしていくことは、ソフトバンクグループのエコシステムにもつながる。具体的な時期はまだ決まっていないけれど、粛々とやっていくことになります。これから2、3年の話でしょう」と増益にこだわる姿勢を見せました。
Pepperの法人活用について
ところでロボットといえば、気になるのがPepperの法人活用について。3年契約を更新する企業が少なく低調だとの指摘があるという記者団の質問に、孫氏は「人型ロボットを活用したサービスは、これから30年、50年、100年と続いていく。例えばPCが誕生してすぐに、今のような機能を果たせていたでしょうか。人型のロボットもまだ世に出たばかりで、改善すべき機能はたくさんある。(はま寿司など)いくつかのお客様には、店舗の運営に役立っている、と評価してもらえている。これから先の長い、重要なテーマだと考えています」と説明していました。