米労働省が2018年11月2日に発表した10月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数25.0万人増、(2)失業率3.7%、(3)平均時給27.30ドル(前月比0.2%増、前年比3.1%増)という内容であった。

(1) 10月の米非農業部門雇用者数は25.0万人増となり、市場予想の20.0万人増を上回った。前月分が11.8万人に下方改定(速報値の13.4万人増から)されるなど、ハリケーンの影響を受けて下振れしたと見られるだけに、今回はその反動によって増加幅が拡大したと見られる。なお、3カ月平均の雇用者数増加幅は21.8万人と高水準を維持した。

(2) 10月の米失業率は市場予想通りに3.7%となり、1969年12月以来48年ぶりの低水準を記録した前回から横ばいだった。労働参加率が前回の62.7%から62.9%に上昇したほか、フルタイムの仕事を望みながらもパート就業しかできない人などを含めた広義の失業率(不完全雇用率)は7.4%に改善した。

(3) 10月の米平均時給は27.30ドルとなり、前月から0.05ドル増加して過去最高を更新。伸び率は前月比+0.2%、前年比+3.1%で、いずれも市場予想どおりだった。なお、前年比の伸び率は、2009年4月以来、9年半ぶりの高水準を記録した。

米10月雇用統計では、米経済の底堅さを改めて確認。米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に追加利上げに動く公算が高まった。米金利先物市場の12月利上げ織り込み度合いは、雇用統計発表後に75%程度へ上昇している。

10月には、米長期金利の上昇を嫌気する格好で世界的に株式市場が調整したが、そうした市場の変調に配慮して米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを休止する可能性はきわめて低い事を市場は悟った模様だ。今回の雇用統計を受けて、米10年債利回りは3.2%台を回復。NYダウ平均は100ドル以上値下がりしたが、ドル/円は113円台前半に上昇した。なお、トランプ米大統領は今回の雇用統計の結果を歓迎し、ツイッターで「信じられない数字だ」とつぶやいた。