奈良市と木津川市はこのほど、明治時代に9年間だけ奈良~加茂間を走っていた「大仏鉄道」の開業120周年を記念し、12月1日にウォーキングイベント「大仏鉄道開業120周年記念ウォーク」を実施すると発表した。大仏鉄道の廃線跡には、当時から残る橋台や隧道などの遺構が点在し、120年前の様子を今に伝えている。

  • 梶ヶ谷隧道(大仏鉄道の下を通る石済みとレンガ造りのトンネル)

「大仏鉄道」とは、明治時代の鉄道会社「関西(かんせい)鉄道」の加茂駅と奈良駅を最短距離で結んだ約10kmの路線の愛称。1898(明治31)年に加茂駅から大仏駅(奈良市法蓮町、明治40年に廃止)までの区間が開業。大仏駅は東大寺の大仏詣で多くの人々が利用し、同社の花形路線となったという。

翌年には奈良駅まで路線を延伸したが、1907(明治40)年に加茂駅から木津駅を経て奈良駅へ至る平坦なルート(現在のJR関西本線)が開通すると、黒髪山など急坂の難所を抱えているこの路線は廃線となった。営業期間はわずか9年と短く、当時の資料がほとんど残っていないことから、同鉄道は「幻の大仏鉄道」と呼ばれている。

「大仏鉄道開業120周年記念ウォーク」では、JR加茂駅からJR奈良駅までの約13kmをコースとし、各遺構で大仏鉄道研究会などによる定点ガイドを実施。12月1日の開催日(小雨決行 / 荒天中止)は京都府木津川市のJR加茂駅東公園にて9時30分から10時15分まで受付を行い、ゴール地点の総合観光案内所前では特産品が当たる抽選会や両市の農産物等の販売も行われる。

定員は250名で、参加費用は無料(昼食、飲み物等は持参)。参加するには往復ハガキによる申込みが必要で、宛先は奈良市観光戦略課または木津川市観光商工課、締切は11月20日(必着)となっている。