声優・小山剛志がプロデューサーを務めるイベント「JOYSOUND PRESENTS 小山剛志カラオケ企画第7弾 カラオケMAX」が7月20・21日に埼玉県・さいたま市文化センター 大ホールにて開催された。今回は21日昼の部をレポート。出演は主催の小山剛志をはじめ、天﨑滉平、小林裕介、永塚拓馬、古川慎、立花理香、平山笑美、福原綾香、山村響。いずれ劣らぬ素敵な歌声と、ものまねをはじめとしたかくし芸的な魅せ方との両方で、観客を楽しませてくれた。
▼歌・ダンス・ラップ……個性濃すぎる出演者陣の、挨拶代わりの1曲
まずは、影ナレを担当した立花のフリを受けて、主催者・小山剛志がステージに登場し、FUNKY MONKEY BABYSの「あとひとつ」を歌う。持ち前の高い歌唱力を生かして、伸びやかかつ力強く歌唱し、観客を引き込んでいく。歌い終わって少々照れ気味に「50のくせに、こんな若々しい歌をうたってしまってすいません」とまとめると、いよいよこの日の出演者が、ひとり1曲ずつ歌唱して順番に登場する。
まず目下大ヒット中の、DA PUMPの「U.S.A.」に乗せて登場したのは立花理香。ド派手な広島東洋カープのユニフォームを身にまとって登場した彼女は、アーティスト活動もしているだけあって煽りも的確。冒頭から「U.S.A.!」コールで場内をまとめながらノリノリでダンスも決めて楽しさとともにトップバッターの役割を果たす。
続いて登場した永塚拓馬は、なんと乃木坂46の「インフルエンサー」で登場。アイドル好きの彼らしい選曲だが、しかもそれをカラオケMAX史上初となる、ヘッドセットをつけてのガチダンスとともに披露する。キレッキレのダンスを披露する彼の姿からは王子感が漂い、女子の黄色い声援も上がりまくる。加えて持ち前のハイトーンボイスを活かしてのボーカルもまた、素敵なものだった。
3人目に登場した福原綾香は、茅原実里の「Paradise Lost」を歌唱。ロングトーンからのビブラートのクオリティも高く、加えてサビですべてを解き放つかのようなボーカルのまっすぐさも魅力的。観客からのサビでのコールも、なぜか完璧だ。また、福原の後ろのソファに座る立花もペンライトを振って楽しみまくる。
こういった「カラオケBOXの中のような空気」を味わえるのも、カラオケMAXの特徴であり醍醐味のひとつだ。そんなド鉄板のアニソンから一転、天﨑滉平はヒップホップで勝負。B系の衣装でステージに現れた彼は、KEN THE 390の「Turn Up feat, T-PABLOW,SKY-HI」をクールに決めていく。中盤以降の超早口の部分も、単に言葉を発して流れさせるだけではなく起伏を持って発しきる。この聴かせ方は、まさに声優ならではのものだったのではないだろうか。
出演者紹介も折り返しに入った5人目では、平山笑美が戸松 遥の「Q&Aリサイタル!」で登場。Aメロでは軽やかに歌いBメロ後半から強さを出して突き抜けさせ、サビで全開にすると言ったメリハリあるボーカルに、歌唱力の高さを感じさせる。ちなみになぜかこの曲でも客席からのコールは完璧だったのだが、Dメロ明け部分は彼女の愛称に合わせて「L・O・V・E・ぴ・ら・み!」に。
そして小林裕介は、Acid Black Cherryの「Black Cherry」で登場。全体的な歌い回しに「本家」を連想させつつ、スピーカーに脚をかけたりライブバージョンの歌詞で力いっぱい歌ったりと、パフォーマンスも含めて会場中を魅了していく。その一方で、リハーサルではスピーカーに脚をそーっと乗せていたという裏話が小山から暴露される一幕も。
女性陣ラストで登場した山村響はSuperflyの「愛をこめて花束を」を熱唱。入りから情感たっぷりに優しい歌声を響かせ、加えてフロア全体をまんべんなく向いてその温かさで会場全体を包んでいく。加えてDメロの歌唱にはグルーヴ感も感じさせた彼女は、ソロシンガー・hibikuとしても活動する彼女の力をのっけから感じさせてくれた。
そして最後に登場したのは、アーティストデビューを果たしたばかりの古川慎。ボーカルにセクシーさを感じさせつつ、「右のお得意様(ハイローラー)」のフレーズに合わせて小山を指すなど、間奏での煽りでの盛り上げぶりも含めて魅せ方の良さが非常に際立つステージとなっていた。
▼お題は"色縛り" 各出演者の披露曲は……
出演者全員がステージに揃ったところで、続いては新企画・JOYSOUNDのうたスキ動画のグランプリ受賞者のステージ。この回は持ち点さんが「Don't say "lazy"」を披露。いい意味で素人らしからぬ堂々としたパフォーマンスで、みずみずしくまっすぐなボーカルで歌いきっていった。
さて、ここからは「カラオケMAX」恒例・縛りカラオケのコーナー。今回は「タイトルorアーティストに『色』が入っている曲縛り」だ。ふたたびトップを飾る立花は、「空色デイズ」で先ほどよりも力強く突き抜けるようなこの曲ならではのボーカルを響かせる。
すると続く永塚は先ほどとはガラリと趣を変え、低音を利かせザラザラさせた妖しげな歌声で「ピンクスパイダー」を歌い、後続へと繋げる。続いて福原が歌った「ブルーウォーター」は、声質・歌い方ともに相性抜群。彼女の歌声の質感と楽曲に呼応して青に輝く客席の光が、猛暑のさいたまに一陣の涼風を吹かせたようにも感じさせた。
この日はほかにも「青」にちなんだ楽曲が多かったのが特徴で、平山はパワフルかつまっすぐ飛んでいくような、楽曲のイメージに直結する歌声で「ブルーバード」を熱唱。小林も客席に着席を促し、「Genesis of Aquarion」を強弱を使い分けて「聴かせる」1曲に。ゴスペル調のパートも、しっかりと歌い上げた。
さらに古川は少々変化球で、岡村靖幸の「靖」の中の「青」に目をつけ、名曲「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」をセレクト。本当は楽曲に合わせてバスケットボールを用意したかった古川だが、見つからず代わりに持参したサッカーボールを模したビーチボールでキャッチボールをし、観客と一緒に楽しんでいく。
そんななか、少々物議を醸したのが天﨑の歌う「DAYS」。曲中に登場する「涙色の空を」のフレーズで、趣旨に沿っていると主張しつつ、ラップ部では本家を意識してかサングラスを着用する芸の細かさも。そんな天﨑へは曲明けに小山が、前日の本イベントに出演した山本希望とのラップバトルを提案。素晴らしいマッチメイクに、実現が楽しみで仕方がない。
そしてこのブロックのラストを飾る山村は、その小山に男性パートを、さらに立花にバックダンサーを託して「タイミング ~Timing~」を披露。山村自身はもちろん笑顔で伸び伸びと歌唱するなか、立花もダンスを完コピ。小山もサビ明けのダンスがキレッキレと目にも楽しい1曲とする。そうしてサビ中に大きなコールを上げた観客も巻き込んでのハッピーなナンバーで、このブロックを締めくくったのだった。