WOWOWは11月4日、毎節2試合放送中のラグビー世界最高峰のフランスリーグ「TOP14」の第9節「リヨンvsスタッド・フランセ」を無料放送する。そこで、番組の解説を担当する、元日本代表で現在は立命館大学ラグビー部のコーチである大西将太郎氏に「TOP14」の見どころや注目のチーム・選手などを伺った(以下、順位や勝ち点は第8節現在のもの)。

  • 大西将太郎氏

──ラグビーワールドカップ2019日本大会まであと1年をきりました。

僕も日本各地、行く先々で『最近、ラグビー熱が上がってきたね』といった声を聞きます。ただ、『だからラグビーを見に行こう』というレベルまではまだまだ到達していません。そのきっかけとしてテレビでのラグビー中継は非常に大事だと思っています。フランスリーグ 「TOP14」は各国の代表選手やワールドカップ出場経験者が多数いますので、ぜひこれを機に彼らのラグビーを見ていただきたいですね。

──「TOP14」を知らない方々に、どのようなリーグなのかわかりやすくお教えください。

フランスのドメスティックなリーグではありますが、世界中から名選手が集まっており、世界の主要リーグの中でも最高峰と言えるリーグです。その名のとおり14ものチームが戦っています。「TOP14」には、日本ラグビーの最高峰リーグであるトップリーグで言えば、宗像サニックスのように小さな街で成功を収めているチームがたくさんあり、ラグビーのクラブがその街の誇りとして存在しています。また、今はトップリーグの神戸製鋼で活躍する元ニュージーランド代表スタンドオフのダン・カーターもラシン92で3シーズン活躍し、先日、世界選抜の一員として日本代表と対戦した元ニュージーランド代表センターのマア・ノヌー(ブルーズ)や元日本代表フルバックの五郎丸歩(ヤマハ発動機)もRCトゥーロンでプレーしました。世界のトッププレーヤーが一度は挑戦したいリーグと言っていいでしょう。もし日本のトップリーグがプロ化を目指すなら、「TOP14」がひとつの理想像になるのではないでしょうか。

──そんな中、11月4日は、大西さんが解説される「TOP14」第9節のリヨンvsスタッド・フランセがWOWOWで無料放送されます。

「普段WOWOWでラグビーを見ない方々がたまたま「TOP14」をご覧になったら、解説者として『ラグビーはどこを見たらおもしろいのか』をお伝えできればと考えています。ラグビーの楽しさが詰まっているリーグですので、そういった方々に興味を持っていただけるチャンスの日です。ひとりでも多くの方に見ていただきたいですね」

──そのリヨンvsスタッド・フランセの注目ポイントをお聞かせください。

「両チームとも、ひとりひとりが愚直に役割を果たしています。リヨンのフランカー、リアム・ギル(元オーストラリア代表)はその象徴的存在です。ホームのリヨンが6位(勝ち点21)、アウェーのスタッド・フランセが2位(同27)と好調で、伝統もあり、復活を目指すプロセスが似ているチーム同士の対戦でもあります。勝つことでさらにチームの勢いが加速する、そんな試合になることでしょう」

──大西さんが注目している選手をお教えください。

「リヨンはCTBチャーリー・ナタイ(元ニュージーランド代表)が活躍中です。リアム・ギルと同じくチームプレーに徹する働き者で、どういうチームを作っていくか明確になっているからこそ彼らの活躍が光ります。スタッド・フランセは、かつて南アフリカ代表を率いたハイネケ・メイヤー新ヘッドコーチのスタイルを、スクラムハーフのピート・ファンジルとスタンドオフのモルネ・ステイン(ともに元南アフリカ代表)が理解していることで、チームとしてやりたいことができているのではないでしょうか。ケガしていたNo.8セルジョ・パリッセ(イタリア代表)が復帰しましたし、体にキレがあるCTBガエル・フィクー(フランス代表)の存在も効いています」

──その他のチームについてはいかがでしょうか?

「近年、上位にいたチームが下位にいて、古豪と言われてきたチームや昨シーズン不調に終わったチームが上位にいるという状況ですね。現在首位(勝ち点30)のクレルモン・オーヴェルニュは昨シーズンの失敗(9位。その前シーズンは優勝)を繰り返さず今シーズンは開幕ダッシュに成功、ずば抜けた強さを見せています。一方、13位(勝ち点10)と低迷している“銀河系軍団”RCトゥーロンは、これ以上負けが込むとプレーオフ進出は厳しいですね。モンペリエも7位(勝ち点21)といまひとつですが、いずれは浮上してくるでしょう。ボーナスポイントで大きく変わってくる順位争いから今後も目が離せません」

──最後に、今回初めて「TOP14」やラグビーを見るという方々には、まずどこを見てほしいとお考えですか?

「やはりタックルでの激しいぶつかり合いですね。「TOP14」は特にコンタクトが激しいので注目です。ラグビーはボールが常に先頭になければならず、ボールを持って前を見ても仲間はいませんが、横を見れば並走するたくさんの仲間がいます。また、ボールは後ろか真横に投げなければなりませんが、前に進まなければならないという“矛盾”があります。僕はそういった点が『人生と一緒だ』といつも考えさせられてきましたので、ラグビーからそんなことも感じていただけるとうれしいです」