米Appleは10月30日に開催したスペシャルイベントにて、新しいMacBook Airを発表した。待ち望まれていたRetinaディスプレイに対応し、Touch IDも搭載した。キーボード、感圧タッチトラックパッドも一新され、カラーもゴールド/スペースグレイ/シルバーの3色展開となっている。
待望のRetina搭載、本体はよりコンパクトに
MacBook Airが最初に誕生したのは2008年。当時のプレゼンでスティーブ・ジョブズが書類封筒からMacBook Airを取り出すというパフォーマンスで驚きの薄さをアピールした。2010年からは11インチと13インチの2モデルで展開し「業界全体を変え、世界で最も愛されるノートブックとなった」(同社上級副社長 フィル・シラー氏)。
しかし、度々マイナーアップデートは繰り返していたものの、近年では相対的に廉価版の地位に甘んじるモデルとなっていた。それが今回、大きく刷新された。
まず、13.3インチRetinaディスプレイを搭載。MacBook AirのRetina対応は長らくユーザーから期待の声が上がっていたものだ。色の表現領域は従来モデルより48%広がり、400万以上のピクセルでよりシャープで繊細な表示を実現する。また、狭ベゼルと全面ガラスというMacBook Proと同じ仕様になっている。
ディスプレイサイズは従来モデルと変わらないが、全体の容積は従来モデルより17%減、厚みは10%減を実現。重さは1.35kgから1.25kgへと100g軽量化された。
Touch ID搭載、ストレージ暗号化も
新たにTouch IDも搭載された。iPhoneユーザーにはおなじみのロック解除や認証、支払いなどを指紋を使って安全に素早く行える。MacBookシリーズではこれまでにMacBook ProのTouch Barモデルで採用されている。
Touch IDは、メインのチップとは別に搭載されるApple T2 Securityチップが制御する。このチップはTouch IDの他にも、ストレージの暗号化やセキュアブート(外部デバイスからの起動を制限する機能)といったセキュリティ機能を提供する。
その他、ハード面では第8世代Core i5プロセッサを搭載。メモリは最大16GBに対応。SSDは最大1.5TBに対応し、従来モデルに比べて最大60%高速化する。
電源ポートはUSB-Cに
キーボードはMacBookやMacBook Proにも使われているバタフライキーボードを採用。MacBook誕生時に初めて採用され、不具合が起きやすいと報告されていたが、今回搭載されたのは第三世代。前モデルより4倍の耐久性があるとしている。また、トラックパッドは旧モデルより約20%大きくなり、感圧・ハプティックフィードバックに対応する。
Face ID HDカメラと3つのマイクも搭載し、FaceTime通話の品質やSiriの音声認識も向上している。またスピーカーと音響処理技術も進化。全体の音量は従来モデルと比べて25%アップ、特に低音は2倍しているという。
外部接続はUSB-C(Thunderbolt 3)ポートを2つ搭載。充電やディスプレイ出力、その他のThunderboltおよびUSB-C機器に対応する。3.5mmヘッドフォンジャックも備えている。
バッテリーのスペック値は、ワイヤレスインターネット閲覧で最大12時間と従来モデルと同等。ただし、iTunesのムービー再生では従来モデルより1時間長い最大13時間となっている。
史上もっともグリーンなMac
Appleは前回の発表会でも製品のリサイクルに触れていたが、このMacBook Airではさらに進んで、本体のアルミニウム合金の原材料に100%リサイクルされたアルミニウムを使用していることを明らかにした。強度や耐久性、仕上げの品質を保ちながら、ライフサイクル評価にもとづく温室効果ガス総排出量を47%削減したという。
今回MacBook Airが大きく刷新されたことで、Appleが提供するノートPCの性格が改めて整理された格好だ。もっとも薄くスタイリッシュなMacBook、実用的で誰にでも使いやすいMacBook Air、ヘビーな用途もこなすMacBook Pro、という形で、ユーザーにとっても選びやすくなるだろう。
新しいMacBook Airの価格は、1.6GHzデュアルコア第8世代Intel Core i5プロセッサ/8GBメモリ搭載で、SSDストレージ128GBモデルが134,800円、同256GBモデルが156,800円(ともに税別)。メモリは最大16GBまで、ストレージは最大1.5TBまでカスタマイズが可能だ。発表会当日より予約受付を開始。発売は11月7日の予定となっている。