「西武鉄道 新型特急車両発表会見」が29日に行われ、新型特急車両の車両形式は「001系」、愛称は「ラビュー(Laview)」に決まり、ビジネス・観光型の特急列車として2019年3月から池袋線・西武秩父線(池袋~西武秩父間)で運行開始することが発表された。

  • 「西武鉄道 新型特急車両発表会見」に登壇した(写真左から)若林久氏、妹島和世氏、土屋太鳳さん、後藤高志氏

会見には西武鉄道取締役会長の後藤高志氏、同社代表取締役社長の若林久氏、新型特急車両の車両デザイン監修などを担当した建築家の妹島和世氏らが登壇。車両形式・愛称や外観・内観デザインに込めた思いを説明した。西武鉄道のCMに出演する女優の土屋太鳳さんも登壇し、ステージ上に展示された座席のモックアップを使っての乗車体験も行われた。

後藤氏によれば、新型特急車両のプロジェクトは2014年、西武ホールディングスが東証一部上場を果たすなど西武グループにとって節目となった年にスタートしていたという。妹島氏監修の下、西武鉄道の社内で選抜されたプロジェクトチームメンバーを中心に、さまざまな議論が重ねられてきた。「西武鉄道のフラッグシップトレインとして、新たな視点でさまざまなイノベーションに挑戦した『いままでに見たことのない新しい車両』が来年3月に運行開始します。これからの西武グループの成長を象徴する、我々にとって大変有意義な車両となります」と後藤氏は述べた。

車両形式・愛称は若林氏により発表された。車両形式「001系」は「いままでに見たことのない新しい車両」「次の100年に向けた出発点である車両」を表現するため、「100年」を逆から表した「001」表記に。車両形式の英語表記は「001_series(ダブルオーワンシリーズ)」となる。愛称は「プロジェクトメンバーにデザイナーも加わってブレストを行い、100以上に及ぶ愛称案の中から熟考の末、最終決定しました」とのこと。

「ラビュー(Laview)」の名称について、若林氏は「『L』は贅沢(Luxury)なリビング(Living)のような空間、『a』は従来のレッドアローと同様、お客様が特急電車に求める矢(arrow)のような速達性、『view』は等間隔で配置した大きな窓から移りゆく眺望を楽しんでいただきたいとの思いを込めています」と説明。「Laview」のロゴマークは妹島氏にデザインを依頼し、「流れるような車体にふさわしいロゴとするため、スマートなオリジナルフォントを採用し、シンプルで飽きの来ない書体としていただきました」。愛称決定を受け、「従前のレッドアローと同様、当社のフラッグシップトレインの愛称として、末永く親しみを持って呼んでいただければ幸いです」と若林氏は述べた。

  • 新型特急車両001系「ラビュー」の座席(モックアップ)もお披露目された

車内の座席はあたたかな黄色配色を基調としており、利用者の背丈サイズに合わせて調節できる手動式可動枕を設置したほか、各座席に電源コンセント(AC100V)を設けた。大型の背面テーブルに加え、向かい合わせに座席を転換しても使用できるインアームテーブルを設置。ビジネスシーンにも、秩父へのグループ観光にも適した機能面のバリューアップをめざしたという。各車両に「SEIBU FREE Wi-Fi」も導入する。

会見後に行われた報道陣との質疑応答では、新型特急車両が地下鉄に乗り入れる可能性や、新宿線への導入予定に関する質問も。西武鉄道取締役 常務執行役員の飯田則昭氏がこれらの質問に答え、「地下鉄に乗入れ可能な構造になっていますが、現時点で直通の計画はありません」「001系は今年度末から来年度にかけて計7編成を池袋線・西武秩父線に導入予定です。新宿線に関しては、現時点では決まっていません」とのことだった。

長年親しまれた「レッドアロー」に代わる愛称を決めたことに関して、若林氏は「もちろんレッドアローにも思い入れはありますが、(『ラビュー』は)西武鉄道の100年に向けた新しい特急車両ですので、これはこれでぜひ皆さんにかわいがってほしい」とコメント。続いて妹島氏も取材に応じ、車内の座席などを黄色配色とした理由について「私は学生時代、ずっと西武新宿線で通っていたので愛着があります。(座席などの配色を)黄色にしたのも、西武線というと黄色のイメージが強いと思うんですよね」と話す場面もあった。

西武鉄道の新型特急車両001系「ラビュー(Laview)」は8両編成で、乗車定員は422席(全席指定)。2018年度はこのほど搬入された第1編成を含む2編成16両、2019年度は5編成40両を導入し、池袋線・西武秩父線(池袋~西武秩父間)で運行中の10000系「ニューレッドアロー」を順次置き換える。2019年3月から営業運転を開始し、特急「ちちぶ」「むさし」として運行される。特急料金は現行の特急レッドアローと同じく大人300~700円・小児150~350円。運行開始日・運転時刻など詳細は決定し次第、改めて発表される。

  • 会場に展示された新型特急車両001系「ラビュー」の座席(モックアップ)

  • 会見では車両形式・愛称に込めた思いやデビュー後の運行予定、日立製作所笠戸事業所での製造の様子などが紹介された