“ジャパンアニメーション発祥の地”と呼ばれる練馬区。練馬区にとって重要な産業のひとつとして挙げられるアニメーションを、より深く、より楽しく、そして身近に感じることができるイベント「練馬アニメカーニバル2018」が10月20日、21日の2日間、練馬駅北口周辺の練馬文化センターやCoconeri、平成つつじ公園、ペデストリアンデッキで開催され、老若男女を問わず数多くのファンが足を運び、賑わいを見せていた。

  • 練馬文化センター(写真右)では、「ちばてつや/マンガとアニメと」をはじめ、『メジャーセカンド』、『機動警察パトレイバー』、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』のトーク&上映イベントが行われた。写真左はCoconeri内 産業イベントコーナーのギャラリーの様子。多くの人が足を止めていた

  • 平成つつじ公園(写真左)では、ステージ上で、各イベントを紹介するトークや「東京ブラススタイル」による演奏(20日)などが行われていた。写真右は会期中に練馬の街を彩っていたノボリ

プロが教える「デジタル作画」のコツ

会場では練馬区の名誉区民でもあるマンガ界のレジェンド、ちばてつや先生のトークセッションなど、アニメファン垂涎のプログラムが催されたなか、本稿では“アニメ関連の仕事に興味アリ!”という子ども向けの体験プログラム「デジタル作画ワークショップ」の様子をお届けしていこう。

この「デジタル作画ワークショップ」は、実際にアニメ制作の現場でも使用されている機材を用いてアニメの作画、着色が学べる制作体験教室となっており、来場者に指導する講師もアニメ制作の現場で活躍するプロフェッショナルが担当。普段観ているアニメーションがどのように作られているのか、その舞台裏も知ることができるプログラムだ。

  • 講師を務める東映アニメーションの高橋裕哉氏。TVシリーズ「ワンピース」「プリキュア」で演出助手、映画「ポッピンQ」「アシュラ」などで助監督として携わり、現在は「おしりたんてい」で演出を担当。アニメーション業界の最前線で活躍するクリエイターだ

会場には、クリエイターにも愛用者の多いワコムのオールインワンのクリエイティブタブレット「Wacom MobileStudio Pro」や「Cintiq 13HD」が用意されており、使用するソフトも、デジタルで絵を描く人々から厚い支持を集めているセルシスの「CLIP STUDIO PAINT EX」と本格的。

  • ワークショップ参加者に用意された作画環境がこちら

劇場版「プリキュア」新作の1カットが見本に

さらに、教材には、10月27日に劇場公開したばかりのアニメ映画「映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」のワンカットが、豪華に素材として提供された。ワークショップでは、まず液晶ペンタブレットやソフトの操作に慣れることからはじめ、線画を拾っていくトレース作業、線画に色をつける着色作業の体験が行われた。

  • 液晶ペンタブレットに触れたことがない参加者もいたが、講師がレクチャーを行うと皆あっという間に使い方を習得。そしていよいよデジタル作画作業へと移る

  • レイヤーごとに色分けされた線をトレースしていく参加者。最初は戸惑いながらも、みんな黙々と作業に熱中している姿が印象的だった

  • トレース作業がひと段落したら、今度は着色作業へ。見本の完成絵からスポイトツールを使って色を選んで、描いている絵へ色を塗っていく。時折線がキチンと繋がっていなかったため、色がキャンバスに溢れてしまい「あっ!」と声が響くシーンも

  • 着色の際、トレースした線は色の境界になるのだが、その線をどちらの色にするかで絵の印象が変わってくると高橋氏。その他にも、より強い印象を観ている人に与えるために濃い色で目元を処理していることなど、アニメ業界最前線のノウハウを提供

  • 参加者の中には見本の再現から一歩進んで自分オリジナルの着色を施す人も

  • 約1時間のプログラムの最後には、自分自身で作画し着色を行ったものを出力してお土産に。なかには、今回作成したキュアホイップと一緒に余った時間で描いたイラストを出力してもらった参加者の姿も見受けられた