第31回東京国際映画祭内の関連企画として、WOWOWの映画情報番組『W座からの招待状』の公開収録が28日、六本木で行われ、番組レギュラー陣である放送作家の小山薫堂、イラストレーターの信濃八太郎、音楽家の阿部海太郎が登壇。ジャパンプレミア作品として『パリへの逃避行』(ドミニク・サヴェイジ監督)が初上映された。

  • 左から、阿部海太郎、小山薫堂、信濃八太郎

2011年より放送されている同番組では、毎回その日に放送される映画にちなんで、小山薫堂が綴った言葉と信濃八太郎が描いたイラストに合わせて阿部海太郎が音楽を付け、俳優の濱田岳が小山の言葉を朗読する「招待状」が見どころの一つ。この日は上映前にスクリーンに映し出された「招待状」に合わせて、阿部がピアノの生演奏を披露した。

『パリへの逃避行』は、ロンドン郊外に暮らす育児ノイローゼ気味の主人公・タラが、夫と二人の子どもを残して家を飛び出し、パリを旅するストーリー。映画の上映後には、3人が思い思いに感想を語る「エピローグトーク」を展開。イラストレーターという仕事柄、自宅で「主夫」業を担っているため「タラの気持ちがよくわかる」という信濃に対し、小山は「男性目線で見るか、女性目線で見るかによって見解が分かれそう。何が不満なんだと感じる男性もいるはず」とコメント。一方、阿部からは「僕のお祖母ちゃんも父を置いて出ていった」という思いがけないエピソードが披露され、会場にどよめきが広がった。

会場内に展示された「招待状」

今回の「招待状」のタイトルは「愛と嘘」。劇中、タラがサラリとつく嘘に「女って怖いな」と感じたという小山の想いが綴られている。かたや信濃のイラストには、パリの美術館に展示されたタペストリーの前でたたずむタラや、カメラを片手にナンパするパリジャンの姿が色鉛筆で描かれる。小山と信濃の作品を踏まえて「最後に曲をつける」という阿部だが、本作はピアノの旋律が印象的な映画ということもあり「ピアノの生演奏はやりにくかった」と明かしていた。

トークの後半では、これまで小山らが手掛けてきた360通を超える「招待状」の中から、特に印象に残っている「1通」をそれぞれピックアップ。また「招待状」の制作に際し「(1通あたり)30分で書くと決めている」という小山は、「普段は番組収録日の朝9時半から書き始め、一気に4本仕上げている。どうしても言葉が出ないときは遅刻する」と告白。最後に「苦手な作品や、観ようと思わなかった作品にも出会えるところがW座の魅力。ときには苦しみつつW座を楽しんでいただければ」とコメントし、イベントは幕を閉じた。『W座からの招待状』公開収録の模様は、11月11日に放送予定。