今年は水害や地震や台風被害が多く、落ち着かない1年でした。もし、自分が借りている家・部屋が災害によって被害を被った場合、家賃などはどうなるのでしょうか。不動産・住生活ライターの高田七穂さんにお話を聞きました。

Q 地震が起きて住まいに被害が出たら、家賃を減額してもらえるの?

A 最近、地震や豪雨など自然災害が増えています。「自分だけは大丈夫」とは言い切れません。災害が来る可能性を意識して、普段から備蓄などの対応をしておきましょう。とはいえ、備えることが難しいような被害が家にでてしまったら、という場合のお話をさせていただきます。

たとえば、大地震が起きて建物が住めないような「全壊」状態になってしまったなら、家賃はどうなるのでしょうか。この場合、借りている建物がなくなってしまうのですから、賃貸借契約は消滅。当然、家賃を払う義務はなくなります。住む場所が突然なくなってしまうのですから、しばらくは避難所に行ったり、被害がなかった友人宅や実家で過ごしたりすることになります。いざというときにどうするかを考えておきたいものです。

次に、住まいの一部が被害を受けたら、どうなるのでしょう。これはケースバイケースのようです。たとえば、建物に問題がなくても液状化して傾き、修繕もできないレベルになってしまうと、賃貸借契約は終了します。東日本大震災では、管理会社が次の物件を紹介した例があります。

一方で、そのときは住めないレベルでも、修繕すれば暮らせるようになるのであれば、賃貸借契約はそのまま継続します。修繕が終了までは、その使用できない分について賃料を減額してほしいと言えます。ただ、その客観的な基準は、裁判でも具体的には示されていません。

東日本大震災で家賃が減額された例として、「水漏れがする」「雨漏りがする」などがあります。一方で、「温水器が使えない」という事態がおきた住まいでは、管理会社によっては減額しなかったところがありました。なお、住めるのに自主的に避難する場合は、家賃は全額支払わなければならないでしょう。

地震の被害が広範囲に及ぶと、復旧にも時間を要します。そのためにも管理会社や大家さん、行政の電話番号をチェックしておき、自分の安否をはじめ、建物の状態を報告できるようにしておきたいものです。

高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中