【自撮りマスト女子 VS インスタパトロール女子】【港区おじさん VS マラソンおじさん】など、現代社会にはびこる“犬も食わないケンカ”を、対照的な2人のキャラクターによるコントで描く日本テレビ系バラエティ番組『犬も食わない~ディスり合いバトルコント~』(毎週金曜24:30~ ※一部地域除く)が、10月19日にスタートした。
どちらのキャラを応援するか、視聴者がTwitterで意見をぶつけ、スタジオMCを務めるお笑いコンビ・オードリーの若林正恭と、同局の水卜麻美アナウンサーも番組公式アカウントで参加すると、初回放送から「犬も食わない」がトレンド入りを果たすという大きな盛り上がりを見せた。
演出を手がけるのは、日テレで数々のコント番組を手がけてきた安島(あじま)隆氏。若林とは『潜在異色』『たりないふたり』『ぜんぶウソ』『コレってありですか?』『ヨロシクご検討ください』といった番組や、オードリーのライブなどで関わってきた人物で、芸人×スタッフという関係を超えた絶対的な信頼で結ばれている。そんな2人が挑む新番組『犬も食わない』の手応えは――。
演者のアドリブが想像を超えてくる
――初回放送中に若林さんはリアルタイムでもツイートに参加していましたが、この反応を見ていかがでしたか?
若林:わりと扱っているテーマが皆さん自分の周りにあるようなことだったり、普段接するタイプの人だったりするから、自分がどう思ったのかというのを発信したくなったのかなと思いましたね。結構、目からウロコの意見もたくさんあって、「へぇ、そういう風に見えるんだ」と思って、面白かったです。
安島:この番組は会社から「単純に笑えるコント番組」という発注を受けて作ることになったんですけど、今、僕らの年代の人が笑えるものと考えたら、笑いながら考えたり、考えながら笑ったりして見るという非常にヘンテコな番組になったんですね。それでも、若林さんが受け手になって、そこの部分を広げていただいたことによって、「インスタでこういう女子がいるんだけどさー」みたいな“ご意見的”な反応があったので、コント番組だと思って作っている立場としては、とても興味深いなと思いました。
――題材となるキャラクターはどのように作り上げるんですか?
安島:本当に身の回りのリアルな人でしかないです。そこからこちらで構成台本を作るんですけど、演者さんが、そのキャラを自分の体の中に入れて発して出てくる言葉が、僕らの想像を全然超えてくるんですよ(笑)。だから、編集して主にそのアドリブの部分を使わせていただいています。
――なるほど。もう演技のレベルを超えて自分に入り込んでいるから、よく収録で若林さんがキャラクターではなく、演者さんを好きになっちゃうときがあるんですね。
若林:そうですね(笑)。でも、出てくれる芸人さんもなかなか大変だと思いますよ。対戦形式ということだけでちょっと気持ちも入ってくるでしょうし。自分がやるとなったら、誰が相手でどういうキャラなのかとか、気にすると思いますね。
自分の根本を問われる番組
――若林さんとタッグを組んでいる水卜麻美アナウンサーですが、他の番組では見せないトークの暴走が、この番組の見どころの1つですよね。
若林:僕は『NFL倶楽部』や『ヒルナンデス!』とか、結構一緒のレギュラー番組が多かったので、いろいろ思ってることがある人だとは知ってたんですけど、この番組でもそういう面は出さずに行くと思ってたんですよ。そしたら、こっちが大丈夫なのか!?って心配するくらい出してきた(笑)。日テレの上の人が、俺のせいだと思ってたら嫌だな(笑)
――水卜さんはツイートでも「インスタパトロール女子を応援します。本当はわたしだって可愛いとか綺麗とか憧れるとか言われたいよ。一緒に楽になろう」と切実な思いをぶつけていますよね(笑)
安島:僕も水卜さんとは何回かお仕事してるんですが、初回収録の本番前の打ち合わせで、今まで見たことないくらい緊張してたんです。それで、これはマグマの爆発前の感じなのか、それとも、芸人さんと2人だけの出演で、進行役だけではなくプレイヤーとしても参加することのプレッシャーがあるのかと思ってたら、マグマの爆発前でした(笑)。本番始まったらめちゃくちゃしゃべるんで、ビックリしましたね。
――Twitterでも「水卜ちゃん、すんごい喋るなww」という声がありました(笑)。若林さんは、この番組の収録はものすごく疲れるとおっしゃってますよね。
若林:自分の根本を問われるんですよ。どっちかを応援するというときに、何を主軸に生きているかが分かるじゃないですか。それが間違って伝わってほしくないし、多少笑いも取らないといけないし…難しい番組ですね(笑)。それを5本撮りとかすると、最後は壊れちゃう(笑)
溜まったマグマを一身に食らう
―― 一方で、水卜さんとお2人で「ずっとしゃべってられる」ともおっしゃっていましたが、スタジオのトークパートがここまで盛り上がるのは、想像していましたか?
安島:ある程度は予想していましたが、ここまでとは思いませんでした。30分番組なんですけど、CMやコントVTRを抜くと、2人しゃべりは10分もないんですよね。それでも、めちゃめちゃお話してもらってるし、思いをきちんと届けたいという熱もあるし、笑いも交えて伝えたいので、編集はなかなか悩ましいです。
――水卜さんは初回収録のときに「この番組を通して日本が良くなればいいな」と、壮大な目標をおっしゃっていました。
若林:彼女は日本テレビの女子アナの代表として、もちろん称賛もたくさんあるけど、その分矢面に立っていろいろ攻撃されてダメージも受けているので、みんながギスギスしないようにという思いで頑張ってるそうなんですよ。そういうところで溜まったマグマを、この深夜番組で俺が一身に食らうという役割もあるんです(笑)。面白い人ですよね、本当に。
――若林さんは、テレビ朝日で弘中綾香アナ(『激レアさんを連れてきた。』)、フジテレビで宮司愛海アナ(『潜在能力テスト』)と、各局の看板女子アナとタッグを組んでますよね。
若林:それは自分でも思います。一緒にやる女子アナウンサーの運がめちゃめちゃ良いなって感じますね。