敷金・礼金、家具・家電の購入費用に引越し代……。結婚して新生活をはじめるときって、お金がかかりますよね。もしあなたが2018年結婚をする・した人なら、「結婚新生活支援事業」でかかったお金をサポートしてもらえるかもしれません。

年齢や収入、住んでいる自治体などの条件はありますが、該当すれば最大30万円まで支援を受けられます。制度の詳細を解説しましょう。

新生活にかかる費用が最大30万円助成される

「そろそろ結婚したいけど貯金がない」「結婚して新しい生活をはじめたいけどお金が…」。そんな20代、30代は多いのではないでしょうか。派遣社員や契約社員なども増えている昨今、若い世代であれば収入もそれほど高くないほか、人によっては奨学金の返済などもあり、なかなか貯金が増えにくいという事情がありそうです。

一方で、結婚して新生活をはじめるときには、家具・家電の購入費用として平均56.3万円(※1)がかかるといわれています。この金額に加えて、新しく住まいを借りる・買うための費用や、引越しの費用も必要に。地域差はありますが、二人暮らし用物件(家賃6〜8万円程度と想定)を借りるときには、敷金・礼金や仲介手数料などとあわせて30万円程度かかります。こうしてみると、まとまったお金がないから結婚に踏み切れないという人もいることでしょう。

(※1 新婚生活実態調査2017 リクルートブライダル総研 調査による)

そんな若い世代を対象に、新生活を応援してくれる制度が「結婚新生活支援事業」です。今年(2018・平成30年)結婚し、夫婦ともに34才以下のカップルに、新生活にかかる費用(家賃や敷金・礼金、引越し費用など)を最大30万円まで助成してくれます。

この制度を利用するには収入に条件があり、夫婦二人のおよその年収530万円以下(所得合計340万円以下、奨学金がある場合は奨学金の年間返済額を夫婦の所得から控除)だと対象になります。

ただ、一律に30万円が助成されるのではなく、敷金・礼金・仲介手数料などにかかった費用、引越し費用の領収書をとっておき、必要書類に記入して提出する必要があります。こうした手間はかかりますが、新生活にかかる費用がもらえるのであればぜひ活用したいものです。

実施している自治体は現在258。詳細は自治体に確認を

ただ、この制度は全国一律で実施しているわけではなく、全国258の自治体のみでおこなわれています(2018年8月30日時点)。東京都内では実施している自治体はありませんが、千葉県なら野田市、千葉市、佐倉市などで実施。埼玉県では鴻巣市や幸手市、神奈川県なら湯河原町や愛川町などがあてはまります。また、大阪府であれば枚方市、泉佐野市、寝屋川市、兵庫県であれば神戸市、広島県尾道市でもこの制度を導入しています。特に北海道や福島県、長野県などでは実施している自治体が多いので、まずは一度、自治体を調べてみるといいでしょう。

全国の実施自治体のなかで、筆者が個人的におすすめなのが、茨城県つくばみらい市です。つくばエクスプレスの開通により東京都内までの通勤も便利になっているほか、街全体もゆったりとしています。新築マンション価格をはじめとして、住宅価格も他エリアと比べて落ち着いているため、若い世代で住む街を探しているのであれば、ぜひ訪れてみてほしいですね。

ちなみに、内閣府の担当者によると「結婚新生活支援事業」の制度がはじまって今年で3年目、実施する自治体も年々増えているそう。来年度以降は予算編成によるところが大きく断言はできないものの、現在は実施していなくても来年以降は期待できるかもしれません。

注意点としては、詳細条件が自治体によって異なることもあるほか、申請の締め切りもそれぞれ異なる点です。特に締め切りは今年12月、来年3月末まで申請可能という自治体もあれば、予算の上限に達し次第終了というところもあります。

あわせて、こうした自治体の制度は、申請をしないと利用できません。条件を満たしていたのに、申請せずに助成を受けられなかったというのは非常にもったいないことです。今年結婚をした人、しようと考えている人は、きちんと調べて、賢く制度を利用したいものです。

  • 回遊舎

嘉屋恭子

フリーライター。編集プロダクションなどを経て、2007年よりフリーランスで活動。 主に住まいや暮らしに関わる分野で取材・執筆を続ける。FP技能士2級取得