あおり運転や走行妨害などの危険運転・迷惑運転は後を絶ちません。記憶に新しいところでは、東名高速であおり運転によって夫婦が亡くなった痛ましい事件もありました。
こうしたなかで注目を集めているのが「ドライブレコーダー」です。損害保険各社もドライブレコーダーのレンタル事業に力を入れだし、特約としてドライブレコーダーを保険会社が貸してくれる自動車保険の特約が登場しています。この「ドライブレコーダー特約」について今回は紹介していきます。
ドライブレコーダーのメリットは?
そもそも、なぜ現在ドライブレコーダーは注目されているのでしょうか?まずはドライブレコーダーを車に装着するメリットから説明していきます。ここでは代表的な2つのメリットを紹介します。
1. 事故が起こった際、状況証拠が取れる
相手に過失がある事故であっても、証拠がなければ責任追及は容易ではありません。しかしドライブレコーダーを装着していれば、事故が起こった際の状況証拠を得ることができます。そのため、事故で相手が過失をしらばくれるなどしてきた場合に、大きな切り札となるのです。
2. 危険運転・迷惑運転の抑止効果がある
あおり運転や走行妨害をしてくる悪質ドライバーに対して、ドライブレコーダー撮影中のステッカーは強力な抑止効果を発揮します。ドライブレコーダーのさらなる普及は、悪質ドライバーによる危険運転・迷惑運転の減少にもつながり、社会全体に対しても有益と言えるのではないでしょうか。
「ドライブレコーダー特約」とはどんなもの?
ドライブレコーダーへの注目が集まったことで、いくつかの損害保険各社は、「自動車保険の加入者に、「特約」という形で専用のドライブレコーダーを有料で貸し出すサービスを始めました。これが「ドライブレコーダー特約」です。
東京海上日動火災保険と損害保険ジャパン日本興亜はすでにドライブレコーダー特約を販売しており、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険も共同して、来年度から販売を開始する予定です。それでは、ドライブレコーダー特約とはいったいどのようなものなのか、紹介していきます。
ドライブレコーダー特約の特徴1―通信機能
貸し出されたドライブレコーダーは損保会社の事故受付センターとつながっており、いざという際は、通信機能によってコールセンターのオペレーターと双方向のやり取りができます。
オペレーターによるサポートは、音声メッセージによる加入者の安否確認から、事故現場近くの消防やレッカー業者の手配、安全確保など事故の初期対応へのアドバイスまで、多岐にわたります。またこうした事故対応以外にも、ふらつき運転など危険を察知した場合は即時に注意喚起を呼びかけてくれる事故防止支援などのサービスを受けることもできます。
ドライブレコーダー特約の特徴2―運転診断
ドライブレコーダーの運転診断システムによって、自分の運転の安全度を診断することができます。契約者の運転特性をもとに専用のレポートが提供されるので、無意識に危険な運転をしていた人などは、運転を矯正する良い機会となります。
ドライブレコーダー特約の特徴3―特約保険料
特約保険料は、東京海上日動火災保険は月額650円、損害保険ジャパン日本興亜は月額850円となっています。個人で自費購入する場合、1万円~2万円で十分な性能のドラレコを購入できることを考慮すると、長期契約の場合は決して安いとは言えないので、その点は検討が必要です。
ドライブレコーダー特約の特徴4―プライバシー問題
特約でドライブレコーダーを付帯すると、「いつ、どこへ、だれとドライブしたか」というプライベート情報をすべて保険会社に提供することになります。そのため車内のプライバシーについては、ある程度あきらめる必要も。
自費購入とドライブレコーダー特約はどっちがいい?
ドライブレコーダーは安いものなら1万円弱から購入することができ、個人でも簡単に取り付けが可能なため、自費購入する人も少なくありません。現在のドライブレコーダー特約の特約保険料は月額650円~850円なので、2、3年以上の契約になれば、自費購入の方がコスト面で有利ということになります。
しかし先程も紹介した通り、ドライブレコーダー特約は、ただ単に映像や音声を記録するだけでなく、「通信機能」や「運転診断」といった多種多様なサポートを受けることができます。これはコスト面やプライバシー面のデメリットを差引いても、大きなメリットと言えます。
車を運転する際にもっとも重要となるのは「安全」です。「安全」を脅かすリスクをできる限り小さくするためにもドライブレコーダー特約を検討してもいいのではないでしょうか。