JR東日本東京支社は23日、電車を動かす電気を送る電線の一部である き電線のメンテナンスにおいて、鉄道事業者では初という無線式センサを用いた管理手法を本格導入し、き電線のメンテナンスにおける安全性・効率性向上と品質向上を図ると発表した。

  • き電線の役割

き電線は電車の運行に必要な電気を架線(トロリ線)に供給する設備であり、線路上空に敷設されている。「硬アルミより線」を使用している き電線の接続部は、経年劣化により電気抵抗が増え、発熱する傾向がある。従来は定期的(2年に1回)に、き電線の接続部のある全現場へ電力係員が巡回を行い、線路沿線からサーモカメラによって接続部の温度測定検査を行っていた。

今回、本格導入する管理手法では、無線式センサ(温度センサ付きRFIDタグ)をき電線の接続部に設置し、携帯型データ収集装置(リーダ)および専用スマートフォンを携行した電力係員が列車で巡回することで、自動的にき電線接続部の温度を測定することが可能となる。温度センサ付きRFIDタグとは、温度センサで計測したデータを一定の間隔で記憶しておき、リーダからの読み出し命令により計測データを無線で通信するものだという。

  • これまでの管理手法

  • 新しい管理手法

この管理手法の導入により、線路沿線からの温度測定検査が不要となって電力係員の安全が一層確保されるとともに、効率的なメンテナンスを行うことが可能となる。列車上からの温度データ取得も可能となることから、データ取得の頻度向上を実現でき、き電線におけるメンテナンスの品質向上も実現するとしている。

導入は2019年1月からとされ、導入区間は常磐線快速の北千住~取手間、常磐線各駅停車の綾瀬~取手間。その他、総武線快速・各駅停車の錦糸町~津田沼間、京浜東北・根岸線の横浜~大船間も順次導入が予定されている。