サッポロビールは10月22日、みんなで食べる「みん食」アプリを提供するキッチハイクと業務提携し新しいCtoCコミュニティ「HOPPING' GARAGE」を開始する。同サービスは「できたらいいな。を、つくろう。」をキャッチコピーにコミュニティ上で自分が飲みたいビールの企画を募集、そのアイデアをもとにビールを制作し、試飲会を実施。その反響を参考にし、ユーザーの評価や市場性を考慮に入れて商品化を目指すというもの。

  • 自分が飲みたいビールが創れる?「HOPPING' GARAGE」とは

    新サービス「HOPPING' GARAGE」の記者会見

「HOPPING' GARAGE」では、まず用意したWebサイトで自分の飲みたいビールの企画を募集。厳正な審査を経て採用されたアイデアをもとにビールを同社の静岡の焼津で作られた小ロット対応施設で作成、二ヵ月で完成を目指す。そして、開発したビールをもとに「HOPPING' GARAGE」上でイベントを立ち上げ、ビールの品評会を行う。このプロセスを通して「作り手」「売り手」「飲み手」の間に垣根のないシームレスなコミュニティの育成を目指していくという。

今回の「HOPPING' GARAGE」のサービス開始に関して、サッポロビール 取締役 常務執行役員 林直樹氏は「現在はメーカー主導のキャンペーンだけでは効果が薄く、同好の士が集まるコミュニティなどを利用しないと情報が伝わらない」と今までにない、新しい方法で消費者へアプローチする必要性についてコメント。一般消費者の嗜好についても「マーケティングリサーチをすればするほど結局、一番売れている商品の味に近づいてしまう」と新製品の開発の難しさにも言及。そこで、今回の企画に関して「ある1人のコミュニティリーダーのアイデアをそのまま商品にして、反響を見て商品化する。これは、かなり思いきった考え方だが、一度やってみたかった」と従来の考えを転換するこの手法についての期待を語った。

  • サッポロビール 取締役 常務執行役員 林 直樹氏

今回の「HOPPING' GARAGE」で作られた新しいビールイベント企画をネット上で展開する役割をするキッチハイクの代表取締役 山本 雅也氏は今回の業提携について「同社では、今まで食でつながる世界をテーマに活動してきた。今回は、ビールでつながる世界、ビールでつながる暮らしをデザインしていく」と今回の企画に対する意気込みを語った。

  • キッチハイク代表取締役 山本 雅也氏

続いてキッチハイクの山本氏に加え、スープ専門店「スープストックトーキョー」、「トーキョールー」などで話題を集めた斬新な経営スタイルで有名なスマイルズ代表取締役 遠山正道氏、サッポロビールの商品・技術イノベーション部 シニアマネージャーの成瀬史子氏による「HOPPING' GARAGE」のシステムを使って作成されたビールの試飲会とトークセッションが行われた。山本氏は、雑誌にビールのコラムを寄稿するほどのビール好き。

  • トークセッションの模様。一番右が山本氏、中央に遠山氏、左が成瀬氏 今回のプロジェクト作成されたビール

このセッションにおいて出されたビールは山本氏のアイデアから生まれたもので、その名も「探検するハニーエール」。これは、山本氏が起業前に世界中を旅する中でラトビアのリガで出会ったビールの味を再現したもの。これは、はちみつの入ったビールで成瀬氏は、今回のビールの味を再現する上で、ベースのビールに合うハチミツを世界中から15種類用意。その中から麦芽やホップを控えめにしてハチミツの特長を出すように調整したという。一方、遠山氏はレッドアイやジントニックのようなカクテルのような飲みごたえのビールを作りたいと今回のプジェクトへの期待を語った。