8月~9月は大型台風の襲来で「室内待機」をすすめられることも多く、外から聞こえる雨風の音、どこからか聞こえる謎の轟音、ニュースやSNSから入って来る避難情報などにどぎまぎしながら眠れぬ夜を過ごした方も多いのではないでしょうか。地震などで揺れが続く、近くの川の水位が上がっているなどの状況で、一人暮らしだと特に、「今家から一人で避難しなければいけなくなったらどうしよう」と不安に思うこともありますよね。今回は災害への備えとして、食料などの備蓄以外に備えられることについて、不動産・住生活ライターの高田七穂さんにお話を聞きました。
このところ、災害が多いくて不安だなぁ……。準備をしておくに越したことないけど、何からやればいいかわかりません。水と食料を買って防災バッグを作る以外にできることはありますか?
地震や豪雨、台風、そして酷暑。このところ、大規模災害や生命に関わるような気象状況が増えています。ニュースでも「これまで経験したことのないような」「命に関わる」といったフレーズを耳にすることが増えました。一人暮らしでは、不安に感じることが少なくないでしょう。
普段から水や食料など必要な備蓄品を準備しておきたいものですが、災害時に頼りになるのは、やはり人との関係です。ただ、一人暮らしの場合は、なかなか近隣と上手な関係を築きにくいかもしれません。
長く住んでいれば、近隣の住民や商店の人と顔見知りになる機会もあるでしょうが、引っ越したばかりだと、知り合いがほとんどいない状況です。大地震後に、すぐ実家に帰ることができればよいのですが、交通網がマヒしてしまうと、しばらくそこで過ごさなければならなくなります。
そこで、仲の良い友人といざというときの対応を確認しておくのはいかがでしょうか。集まって、一日だけ災害時を想定して動いてみるという方法です。
たとえば、誰かの家で集まって食事会をする機会があるなら、その日を「訓練の日」にします。携帯電話が使えないと想定して、公衆電話の場所を確認し、別の地域に居住する人に伝言役をしてもらい、集まる時間を決める。缶詰やレトルトなどを持ち寄って食べたり、カセットコンロがあるならそれぞれが冷蔵庫の余った食材をもちいて鍋パーティをしたりするなどでも構いません。
そして、電気や水を使わずにその時間を過ごしてみましょう。こういったことを行っておくと、災害時に何が必要か、どういった連絡手段がよいか、などがわかります。
なお、住まい選びの際に災害への備えを考慮に入れるなら、兄弟・親戚や友人その他、以前から知っている人がいるエリアにしたほうが安心です。住みたい場所を決めていないなら、その人が住んでいる場所から数駅先など、歩いて行けるようなところから探してみる方法があります。近くに、助け合える人がいるというのは心強いものですよ。
高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中