日本労働組合総連合会は10月18日、「教員の勤務時間」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は9月14日~18日、全国の公立学校に勤務する20歳以上の教員を対象にインターネットで行われ、1,000名の有効サンプルを集計した。
教員の平日1週間の総労働時間、平均で52.5時間
はじめに、月曜日~金曜日の総労働時間について調べたところ、学校内では、「50時間~55時間未満」(24.4%)が最も多く、平均時間は52.5時間となった。校種別にみると、小学校は52.6時間、中学校は56.5時間、高等学校は49.4時間という結果に。また、学校外(自宅を除く)の平均時間は1.0時間、自宅は平均2.8時間となった。
ちなみに、週休日(土日)の学校内の総労働時間は、平均で3.2時間。学校外(自宅を除く)は0.9時間、自宅は1.7時間だった。
出勤状況の管理については、「出勤簿」(41.5%)や「(教員の)自己申告」(33.1%)で把握しているケースが多く、「出・退勤時刻の把握は行っていない」という回答も12.6%と1割を超えた。
多忙でも働きがいのある仕事
次に、現在の仕事の状況について調査を行った。その結果、82.8%が「時間内に仕事が処理しきれない」と回答。校種別では、「小学校」(88.0%)、「中学校」(90.4%)ともに約9割と高い割合を示したのに対し、「高等学校」は70.3%と2割程低い結果となった。
大多数の教員が、時間内に仕事を終わらせるのは難しいと感じていることがわかったところで、「現在の仕事が働きがいのある仕事だ」と思うかを聞いたところ、およそ9割が「とてもそう思う」(37.3%)、「まあそう思う」(50.5%)と回答。仕事に追われながらも、多くの教員が働きがいを感じていることがわかった。
変形労働時間制導入・時間外制度見直しの賛否
次に、教員の勤務時間に関わる制度の見直し案(変形労働時間制の導入案)に対する考えを聞いた。その結果、「そう思う計」(「とてもそう思う」+「まあそう思う」)の割合は、「(変形労働時間制を導入すると)介護や子育て中の教員は困る」で59.0%、「翌月の勤務時間の長さをあらかじめ、決めておくことは現実的だと思う」が16.4%、「業務が少ない日の勤務時間を6時間とすることは現実的だと思う」は28.4%、「夏休みの勤務日を減らすことは現実的だと思う」は66.7%という結果に。
翌月の勤務時間の長さを予め決めておくことや、業務が少ない日の勤務時間を6時間とすることに対しては、多くの教員が「非現実的」だと考えていることが明らかとなった。
また、教員の時間外についても意見を聞いたところ、「勤務時間外に行った授業準備などの業務を勤務扱いにする」制度の見直しを行うことに、86.2%が「賛成」だった。さらに、「教員にも残業代を支払うようにする」制度の見直しについても、86.3%が「賛成」となり、大多数の教員が、時間外に対する制度の見直しを望んでいることが伺えた。
ちなみに、今の教員の勤務時間に関する制度では、勤務時間外に行った授業準備・成績処理・調査報告物の作成などの業務は勤務ではなく、「教員による自発的な行為」とされているという。