2018年10月16日~19日まで、千葉の幕張メッセで開催されているIT・エレクトロニクス関連の総合展示会「CEATEC 2018」。19回目となる今年は、"日本の成長戦略や未来を世界に向けて発信するSociety 5.0の展示会"と位置付け、IT・エレクトロニクスに加えて、金融、旅行、玩具、住宅、自動車、建設機械、通信、建築、農業、ヘルスケアなど幅広い業種・産業にまたがる725の企業・団体が出展しました。そんな中で、家電メーカーとして目立っていたのがシャープでした。

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    数年前からビジネス向けに舵をきり、家電メーカーの出展が減った「CEATEC」。産業用やB2B向けの出展が多い中で、シャープは一般ユーザーに身近な製品をたくさん展示しており、存在感がありました。初日は、世耕弘成経済産業大臣も立ち寄り、8KテレビやAIoT家電を興味深そうに見入っていました

テレビだけにとどまらない「8K」の世界

CEATECにおける今年(2018年)のシャープのブースでは、8KとAIoTを核にした8つのソリューションを展開。中でも8Kテクノロジーについては、2018年12月1日に開始される新4K8K衛星放送に対応したコンシューマー向けの製品群に加えて、映像配信側のソリューションや医療、教育・学術関連に向けた8K技術が紹介されていました。たとえば8Kの映像を劣化なく圧縮して伝送し、遠隔医療に活用するソリューションや、8Kのタッチパネルディスプレイに映し出された高精細な画像による電子ミュージアム、8Kコンテンツ制作などの展示・体験ができました。

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    10月15日に発表されたばかりの8Kチューナー内蔵テレビ。多くの来場者が足を止め、高精細でリアルな映像に息をもらしていました

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    こちらは60V型の「8T-C60AX1」。モミジの美しさと空の青さによるコントラストが際立っています

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    8Kチューナー「8S-C00AW1」。シャープが2017年に発売した8K対応液晶テレビ「LC-70X500」につなぐことで、新8K衛星放送を楽しめます

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    新8K衛星放送を8K解像度(約3,300万画素)のまま録画できるUSB HDD「8R-C80A1」

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  • サウンドバーとサブウーファーによって、8K放送で採用される22.2ch音響を再現する三次元オーディオシステム「8A-C31AX1」。発売に先駆け、いち早く音質を確かめてきましたが、劇場で体感するような音響体験を再現していると感じました

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  • 8Kテレビチューナーで採用されているフロントエンド(アンテナ側の送受信回路)や、映像処理用エンジン、カメラ用CMOSイメージセンサーの参考出展

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    8K技術による医療ソリューションの一例。肉眼では認識が難しいミクロン単位の内視鏡手術も8Kの映像と伝送技術を通して、遠隔手術が行えるようになります。住友電工の8K映像圧縮伝送装置との組み合わせで、40km離れた場所からほぼリアルタイムで映像配信が可能とのこと

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  • 8K教育ソリューションの一例「触れる8Kミュージアム」。8Kディスプレイの昆虫写真をタッチ操作で拡大することで、顕微鏡でしか見えないような部分まで観察できます。高精細な映像によるリアルさはもちろん、肉眼では見えないところまで手に取るようにわかる楽しさは、大人さえも好奇心を掻き立てられました

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  • 著名な絵画なども拡大でき、筆圧や絵の具の塗り感などのリアルさに肉眼で観る以上の感動を覚えました

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    CADシステムを構築するオートデスク社と、半導体大手のNVIDIA社の協力で開発された3Dグラフィックのコンテンツ。リアルタイムにレンダリングが行われるため、奥行き感のあるリアルな8K映像を拡大・縮小したり、スマホのモーション操作で回転させたりできます

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  • MFP(コピー機)を利用した、8Kコンテンツ制作システム。平らなものをスキャンするとそのまま8K画質の映像コンテンツになります。スキャンしたものはA3サイズに拡大され、8Kの2倍以上となる約7,000万画素で取り込まれます。そのため2倍に拡大しても画像がつぶれず、肉眼では見えにくい世界を映し出せるとのことです

ついに「COCORO」アプリが連携するように

もう1つのAoITソリューションでは、白物家電からテレビ製品・情報機器に至るまで10カテゴリー150機種以上に拡大した同社のAIoT製品を紹介。シャープのクラウドサービス「COCORO AIR」「COCORO KITCHEN」「COCORO VISION」などが相互に連携し、家庭内の家電製品や電子機器、外部のサービスが接続し合って実現する総合的な"スマートホーム"の具体例や世界観が展示されていました。

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    AIoTワールドの展示ブース。10カテゴリー150機種以上に拡大した同社の製品の一例が並べられ、各機器が連携して実現する"スマートホーム"のデモンストレーションが行われていました

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    「COCORO KITCHEN」対応製品と「COCORO AIR」対応製品の連携をみてみましょう。ヘルシオやヘルシオ ホットクックで「さんまの塩焼き」メニューの調理をスタートすると、さんまを焼いたニオイが発生する前に空気清浄機が自動で運転を開始し、先回りして対処してくれます

シャープの製品で搭載されているAIoTモジュールは、外販でも提供されています。シャープの対話型モジュールと発話型モジュールを組み込むことで、電子機器はもちろん、アナログ製品もシャープでおなじみの"おしゃべり"するAIoT家電となります。

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  • ホットクックに搭載されているAIoTモジュール(発話用)の紹介。対話用のモジュールもあり、たとえばオーブンレンジのヘルシオに組み込まれています

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    シャープのAIoTモジュールを組み込んだ植木鉢。たとえば土が乾いたり、ユーザーが水をあげたりすると反応して、言葉を発するようになります

このほかロボホンを活用した子供向け英会話教室「英語学習プログラム」や、プログラミング学習用の「ブラウザ型プログラミングツール」、ロボホンと連動した飲食店向けのシステムも紹介されていました。

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    ロボホンを活用した英会話学習の一例。音声認識や発話機能を使い、ロボホンに話しかけることで簡単な会話を練習できます。電話機能も活用してロボホンから英語で電話がかかってくるようになると、もっと楽しそう

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    ロボホンを動かせるSTEM型のプログラミングツール。新たにブラウザに対応したプログラミングツールも登場しました

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    フードコートなどでよく使われている"コールベルシステム"にロボホンを活用したソリューション。コールベルと連動して、レジ横でロボホンが音声案内してくれるそう

シャープ初の有機ELディスプレイ搭載スマートフォン「AQUOS zero」や、2018年11月に発売予定のネックレス型ワイヤレススピーカーも、発表に先駆けて展示されていました。

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    AQUOS zeroの横で、参考出展として展示されていた、曲げた状態の有機ELディスプレイ。今後いろいろな形のディスプレイが登場しそうで楽しみです

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    AQUOS zeroを分解するとこうなっているのですね

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    2018年11月に発売予定の新製品「AQUOS サウンドパートナー」。いわゆるネック型のワイヤレススピーカーですが、88gという軽量設計が魅力でした。市場価格は15,000円前後(税別)になりそうです

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    2018年10月1日に、東芝クライアントソリューションを子会社としたシャープ。dynabookブランドの製品がシャープブースに展示されていたのは象徴的でした

CEATEC開幕に先駆け、10月15日に行われた記者向けの説明会には、シャープ取締役副社長の石田佳久氏をはじめ4名の執行役員が出席し、今年(2018年)のCEATECの展示内容や今後の事業展開について説明しました。石田氏は、「国内では8KとAIoTを軸に、家電メーカーの枠を超えたさまざまな企業との共創を通じた取り組みに期待してほしい」と意気込みを語っていました。