俳優の高橋一生が主演するカンテレ・フジテレビ系ドラマ『僕らは奇跡でできている』(毎週火曜21:00~)の豊福陽子プロデューサーが16日、都内のスタジオで取材に応じ、“奇跡”のような同作成立の裏側を明かした。
脚本・橋部敦子氏と意気投合
このドラマの主人公・相河一輝(高橋)は、動物行動学を教える大学講師。自分の好きなことになると、他のことには目もくれず没頭する性格で、時に周囲を困らせることもあるというキャラクターだが、そんな彼が周囲に変化をもたらしていく姿を描いていく。
『美しい隣人』『僕のヤバイ妻』『FINAL CUT』、そして『アンフェア』シリーズなど、サスペンス作品のプロデュースが多い印象のある豊福P。今回は全く毛色の違うジャンルだが、長年温めていた企画ではなく、きっかけは“直感”だったという。
今作の脚本は、カンテレ制作では、草なぎ剛主演の“僕シリーズ”を手がけてきた橋部敦子氏。いつか一緒に仕事をしたいと思っていた豊福Pは、初めて橋部氏に会った際、急きょアポイントが取れたため、企画書も資料も用意できず、着の身着のままで打ち合わせすることになってしまった。
そしていざ対面し、「ひまわりの種の並びを数えていくと、実はフィボナッチ数列という黄金比に関わる数列になっているんです。そういう日常でパッと目にしているものの中に、全然関係ない科目のものが潜んでいるというのを知った時にスゴいなと思って。それをみんなも感じてもらえるようなことが、情報番組ではなく、ドラマという形で何かできないかなと思ってるんですけどねぇ…」と雑談レベルで話したところ、なんと橋部氏が「私もそういうのすごい興味あります!」と同調して意気投合。その瞬間を豊福Pは「2人が思わず立ち上がって、『はぁ、出会えたぁ!』みたいな感覚になったんですよ!」と、興奮ぎみに振り返った。
点と点がつながって実現
この共有ができたことを受け、制作会社のプロデューサーも入ってプロット作りに着手。主人公のキャラクターができ上がっていく中で、千葉行利プロデューサー(ケイファクトリー)から高橋一生に「こういう話ってどうですかね?」と振ってみたところ、高橋から生き物の不思議について「100倍以上の情報量を返されたんですよ」(豊福P)と圧倒されたそう。
「『ラッコのこういうところってすごくないですか!?』みたいなことを、すごい熱量で教えてくれて、その語ってるさまを見て『あ、主人公じゃん!』って思ったんです。まさに好奇心が際限なくあって、その感動に震えてる感じがすごく伝わってきて、その高橋さんの姿を逆にドラマの中にフィードバックしたんです」と、キャラクターがより具現化され、「直感に近いものがきっかけだったんですけど、橋部さんと分かち合えたことや、一生さんが生き物好きだったことが、不思議と点と点でつながれていった先に、このドラマが実現したという感じです」と、“奇跡”のような成立経緯を明かしてくれた。
それだけに高橋は、一輝のセリフのわずかな違和感にも気づくことがあるそう。第2話の終盤で、リスのために橋を架けるという話題を育実(榮倉奈々)にする時のセリフは、当初「向こう側に行ける方法があるっていうことを、リスたちに見せてあげるんです」というものだったが、高橋は「一輝はきっと、『見せてあげる』という言い方はしないんじゃないか」と異議。動物も植物も人間も等しく愛しいと思っている一輝が、元のセリフでは少し上から目線になってしまうことから、「――リスたちに見せるんです」に変更されたそうだ。
「ドラマが終わったら僕が飼います」
そして、一輝の相棒であるカメ・ジョージを、高橋は大変気に入っているとのこと。声をかけると反応するなど、完全に懐いているそうで、「一生さんは『ドラマが終わったら僕が飼います』って言うくらい、かわいがっています」という。
ジョージは、動物プロダクションから借りているものでなく、このドラマのために購入したのだが、「テレビのことをよく分かってるんです。第1話でご飯を食べている時に、キュウリのピリ辛を取り上げるという画の奥でジョージが映ってるカットがあったんですけど、映ってないときは止まってるのに、カメラにに入ると動くんですよ。『ジョージ分かってる!』ってみんなビックリして(笑)。現場を癒やしてくれる貴重な存在になってますね」と、すっかりマスコットキャラクターになっている。
今後のストーリーについて尋ねると、「止めどもない好奇心を示している一輝が、最終的にどうなるのかというのは、予想できないと思います。皆さんが『はぁ~!!』というようなところに一輝が連れて行ってくれると思うので、そこを楽しみに見届けてくれたら」と予告。ちなみに、実際の高橋は、先日「ベストジーニスト2018」を受賞したが、劇中の一輝がジーンズ姿で登場することはないそうだ。
次回の第3話(23日放送)は、一輝が動物園の飼育員から、近いうちにサル山のボスが変わりそうだと聞いて胸を躍らせる。連れていった相手は、歯科クリニックで出会った少年・虹一(川口和空)。サル山を眺める一輝に、虹一は「動物たちの謎を見つける!」と一人園内の探検へ出かける…。