米Adobeは10月15日 (現地時間)、同社のクリエイター向けイベント「Adobe MAX 2018」で、iPad向けの「Photoshop CC」と、クラウド機能「Cloud documents (クラウドドキュメント)」を発表した。iPad向けのPhotoshop CCはデスクトップ版と同等の機能を搭載、Cloud documentsを通じてデスクトップ版と同じPSDファイルを扱える。正式版のリリースは2019年を予定している。
AdobeはiOS向けに「Adobe Photoshop Express」を提供しているが、モバイル用の画像加工アプリとして優れているものの、デスクトップ版Photoshopのようなパワフルな編集・加工機能は備えていない。iPadでフル機能のPhotoshopを使って作業したいクリエイターは、iPadを液晶タブレット化するアプリを使ってPhotoshopが動作するPCに接続するソリューションなどを使っている。
iPad用Photoshop CCによって、デスクトップ版と同じPhotoshopでの作業をiPad単体で行えるようになる。Adobeによると、最初はデスクトップ版のコードからiPad用を構築できるかという実験的なプロジェクトに過ぎなかったが、好ましい結果を得たことで製品化に向けた開発がスタートした。
iPad用はデスクトップ版と同じ豊富な機能を備え、またレイヤーやマスク、各種調整、そしてPSDファイルといったPhotoshopユーザーがデスクトップ版で使い慣れた機能をそのまま継承する。その上で、UIに関しては、タッチジェスチャーやデジタルペン「Apple Pencil」など、iPadの長所を活かした作業が実現できるように再設計した。デスクトップ版のユーザーを「戸惑わせないように、デバイスを活かせるスマートな方法を採用した」としている。パフォーマンスに関しても、スムースでレスポンスの良い操作で、快適かつ正確に作業できるという。
iPad用Photoshop CCの登場によって、同じPSDファイルを使ったPCでの作業の残りをiPadで仕上げる、またはその逆が可能になる。そうしたワークフローを支えるのがCloud documentsだ。Photoshopシステム全体で、同じPSDファイルにアクセスして作業できるようにする。
ただし、iPad用Photoshop CCのバージョン1.0リリースをなるべく早く実現できるように、最初の正式版リリースでは機能を絞り込み、それから段階的に機能を追加していくという。そのため正式版が登場しても、iPad版とデスクトップ版の間で完全にシームレスな作業ができるようになるまで、しばらくかかることになる。