2015年に「iPad mini 4」が発売されて以来、後継製品が出ないまま現在に至っているiPad miniシリーズ。iPad mini 4はいまなお現行製品としてラインナップされているが、後継モデルが3年にわたってリリースされていないことからも、メインストリームから外れてしまっていることは間違いない。今後Apple側で何らかの方針変更がない限り、終息に向かうのは確実と思われる。

  • 左がiPad mini 4(7.9型)、右がiPhone XS Max(6.5型)。前者はタブレット、後者はスマホに分類されるが、iOS 12が動作するデバイスという意味では共通だ

そんな中、9月12日(米国時間)に登場したiPhone新モデル「iPhone XS Max」は、iPhone史上最大となる6.5型スクリーンを搭載した製品だ。「iPad mini 4」など歴代のiPad miniシリーズは7.9型であることから、これまででもっともiPhoneとiPadとの画面サイズが近づいた製品ということになる。

普通であれば、iPad miniシリーズからの乗り換えを考える場合、ひとまわり大きい第6世代iPadや10.5インチiPad Proが候補になるところだが、約1.4インチ程度しか画面サイズが変わらないのであれば、むしろiPhone XS Maxが代替になりはしないかと、考えを巡らせた人もいるのではないだろうか。

今回は、このiPhone XS MaxがiPad mini 4の利用範囲をどれだけカバーできるか、前編・後編にわたりさまざまな観点で見ていこう。なお記事内の写真は機材の関係で、iPad mini 4は現行の128GBモデルではなく、Wi-Fiの16GBモデルを用いている。

画面サイズ以外は「上位互換」

まずは両製品の主なスペックをざっと比較してみよう。そもそもiPhone XS Maxはスマートフォン、iPad mini 4はタブレットと異なるカテゴリの製品であり、本来なら項目を揃えて比較するのも無理があるが、ここではWi-Fiデバイスとしての仕様を中心に比べている。

iPhone XS MaxとiPad mini 4の主なスペック

  iPhone Xs Max iPad mini 4
発売年月 2018年9月 2015年9月
サイズ(幅×奥行き×高さ) 77.4×157.5×7.7mm 203.2×134.8×6.1mm
重量 208g 298.8g(Wi-Fi + Cellularモデルは304g)
CPU A12 Bionicチップ
次世代のNeural Engine
64bitアーキテクチャ搭載第2世代A8チップ
M8モーションコプロセッサ
RAM 4GB 2GB
ストレージ 64 / 256 / 512GB 128GB(現行モデル)
画面サイズ 6.5型 7.9型
解像度 2,688×1,242ドット(458ppi) 2,048×1,536ドット(326ppi)
Wi-Fi 802.11ac 2×2 MIMO対応 802.11ac MIMO対応HT80
防水防塵 IP68
駆動時間 インターネット利用:最大13時間
ビデオ再生(ワイヤレス):最大15時間
オーディオ再生(ワイヤレス):最大65時間
最大10時間(Wi-Fiでのインターネット利用
ビデオ再生、オーディオ再生)

※参考:iPhone XS Maxの公式スペック、iPad mini 4の公式スペック

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この両製品、発売年に3年もの開きがあるので、CPUには世代差があるほか、メモリ容量についても開きがある。、iPad miniのメモリ容量はiPad mini 3までは1GBだったので、これでも多いほうなのだが、iPhone Xs Maxと比べると半分でしかない。同じiOS 12が動作するデバイスとは言え、乗り換えれば操作が快適になるのは間違いないだろう。

  • 左がiPad mini 4(7.9型)、右がiPhone Xs Max(6.5型)。縦向きにした時の画面の高さがほぼ同一なのは面白い。ちなみに実測では前者が161mm、後者が149mmある

また解像度については、iPad mini 4も326ppiと最新モデルと比較しても遜色ないレベルだが、iPhone XS Maxは458ppiと、これを軽々と上回っている。どちらもRetinaディスプレイと呼ばれる水準はクリアしているので、200ppi以下の製品と比べた時のような露骨な差はないが、OLEDディスプレイを採用していることもあり、iPhone XS Maxのほうが色合いはリッチに感じる。

  • 背面。意匠はほぼ同じだがカメラについては見た目の違いに加え、性能差も大きい

Wi-Fiについては、iPad mini 4も802.11acには対応しているものの、MIMOの規格の違いもあって、こちらもやはりiPhone XS Maxのほうが優勢だ。強いてiPhone XS Maxが不利な点を挙げるならば、本体の厚みということになるが、これはボディサイズの小ささと、重量の軽さによって相殺されるだろう。

こうしたことから、基本性能の部分、および表示品質については、iPad mini 4をはじめとする過去のiPad miniシリーズからの移行であれば、プラスに感じるのは間違いない。よって問題となるのは、主に画面サイズにまつわる問題と、それに伴うアプリの挙動が中心ということになる。この前編ではまず、画面サイズの違いを中心に見ていこう。

  • 厚さについてはiPad mini 4のほうが薄い