久光製薬は10月13日、佐賀県鳥栖市にある九州本社で「第24回 秋の茶会」を開催した。当日は高く澄み渡った秋空の下、華やかな着物に身を包んだ女性ら約250名で賑わった。
久光製薬が薬業を始めたのは1847年(弘化4年)。創業170年を誇る同社は、国内の伝統文化の振興にも積極的に取り組んできた。茶会もそうした文化事業の一環で毎年、春と秋に開催している。第24回 秋の茶会では、はじめに江戸千家の白水宗美代表が挨拶した。
白水宗美代表の挨拶後、まずは「薄茶席」が別邸の和室で行われた。菓子は古賀製による「虫の音」、御茶は、小山園の「小倉山」が振る舞われた。参加者たちは会話を楽しみ、御茶を味わった後は茶碗を愛でていた。なお、掛け軸は有馬頼底による「来福」がかけられていた。
続く「立礼席」(野点の茶席)は、本社の敷地内で実施された。例年は近くの西公園が使われていたが、今年はミュージアムの建設に伴い使用できないため、別邸に隣接する芝生の緑地に席が設けられた。
なお、久光製薬は「東京2020 オフィシャルパートナー(外用鎮痛消炎剤)」であるため、席で振る舞われた吉金菓子舗作のお菓子「いつもじ」には、かわいらしい五輪のマークがあしらわれていた。
老若男女を問わず、誰でも参加できる久光製薬の春および秋の茶会。例年、鳥栖市内や近隣茶道具店でポスターを掲示するほか、鳥栖地区の情報誌を通じても告知を行ってきた。取り組みを開始してから10年を超え、最近では鳥栖市内だけでなく、近隣県からも参加者が訪れているという。文化が地域に広く根付いた結果と言えるだろう。