2008年にふるさと納税の制度が始まって今年で10年。その間に制度の内容も変わってきました。過去にふるさと納税を利用したことがある人も、まだ利用したことがない人も、最新のふるさと納税についてきちんと知っておきましょう。

ふるさと納税とは

ふるさと納税は、もともとは地方に住む人が減り、そのため住民税が減少するのを防ぐために始まった制度です。「納税」という名前ですが、実際は「寄付」です。つまり個人が「ふるさと」に寄付をしたら寄付金控除が利用できます。寄付金控除については、後ほど詳しく説明しますね。

「ふるさと」と言っていますが、実際の生まれ故郷ではなくても応援したい自治体に寄付をすることで、都道府県や市区町村などの自治体の収入が増え、その地域に住む人達が豊かに暮らせるよう応援できます。

ふるさと納税が注目され始めたのは2011年の東日本大震災でした。被災地に寄付をするために利用者が増えたのです。その後、この制度を利用してもらうために、自治体がお礼としてその地域の特産品をプレゼントするようになり、だんだん豪華な返礼品を用意する自治体が増えてきたのです。

この状態を問題視した総務省は2019年4月から、高額の返礼品を出す自治体への寄付を、税優遇の対象から外すという方針を示しています。

ふるさと納税の魅力

ふるさと納税の趣旨をしっかり理解した上で、ふるさと納税の魅力についてみていきましょう。

1.特産品がもらえる

ふるさと納税の最大の魅力は、ふるさと納税を行った自治体から、寄付のお礼として送られる返礼品でしょう。各自治体の名産品や特産品、宿泊券や施設利用券など、様々な品があります。

2.税金が安くなる

先ほどもお伝えしましたが、ふるさと納税をすることで「寄付金控除」が利用できます。これは、国や地方公共団体に対する寄付金や一定の公益法人などに対する寄付金が2,000円を超えた場合、住民税や所得税の納税額が少なくなる制度です。例えば、1万円を寄付した場合、1万円-2,000円=8,000円が控除されることになります。

「自己負担2,000円で返礼品がもらえる」というのはこの仕組みからなのですね。ふるさと納税をすることで社会貢献ができ、皆さんの住民税が安くなると一石二鳥ですね。

ただ、ここで知っておいてほしいことがあります。ふるさと納税をした人の納める住民税が少なくなるということは、皆さんが住んでいる自治体の税収が減るということです。ふるさと納税によって税収が多くなった地域がある一方で、税収が減り続けている自治体があるとしたら、その地域に住んでいる人たちは将来的に今と同じ自治体のサービスが受けられない可能性も出てきます。ふるさと納税をする時は、返礼品のみに注目するだけではなく、皆さんのお金がその自治体でどのように利用されるのかも確認するといいでしょう。

どうやって利用するの?

では、ふるさと納税の利用の仕方をお伝えします。

1.寄付をする自治体を探す

寄付をしたい自治体を選びます。また、1つの自治体だけではなく複数の自治体に寄付をすることができます。

インターネットサイトの「ふるさとチョイス」や「さとふる」などを利用すると、それぞれの自治体の返礼品や寄付金の使い道などを調べることができますよ。

2.寄付をする

先ほどお伝えしたインターネットサイトを利用して寄付を申し込むと、その場でクレジットカードで寄付をすることができてカンタンです。クレジットカードを利用していていない人は郵便振替の用紙を送ってもらい郵便局から振り込めば、手数料がかかりません。

3.返礼品を選ぶ

返礼品はその場で選ぶ自治体と、後日カタログが送ってくる自治体があります。季節限定の特産品は、その季節に受付をする自治体があるので、気になる人は時期を考えて申し込みをするといいですね。

手続きが終了したら、返礼品が届くのを楽しみに待ちましょう。

確定申告は必要?

ふるさと納税は1月1日から12月31日の1年間に行った寄付に対してその年の所得税が還付され翌年の住民税が安くなります。ふるさと納税をした場合には、確定申告で還付・控除を受けることが可能ですが、年収2,000万円以下の給与所得者で、1年間に寄付をした自治体が5カ所以下で、寄附した自治体すべてに申請書を提出すれば「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告をする必要がありません。ただし、対象者でも医療費控除などを利用する場合は、一緒に確定申告をする必要がありますので注意しましょう。

いくらまでふるさと納税ができる?

基本的には寄付をすることに上限はありません。ただ、ふるさと納税をすることで、2,000円の自己負担で返戻金がもらえるとしたら、おトクに利用したいですね。

実質負担2,000円でできる寄付金額上限の目安は総務省のHPで確認することができます。

ただし、あくまでも目安ですので正確な金額を知りたい場合は、管轄の税務署などに問い合わせてみてくださいね。

返礼品ありきではなく、自分の寄付金がどのように利用されるのか、そして寄付金控除がどういう仕組みなのかを理解した上で、おトクにふるさと納税を活用してくださいね。

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著者プロフィール: 安部 智香

女性ファイナンシャルプランナーによるお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター。短大卒業後、証券会社に勤務。在職中は、資産運用を担当。結婚退職後は「もっとお金のこと、家計のこと、資産運用のことを伝えたい」という思いで、個人事務所を立ち上げ、個別相談、執筆業務、セミナー、マネーセミナー講師として活動中。