大阪モノレールを運行する大阪高速鉄道が12日、新型車両3000系の報道機関向け試乗会を開催。万博記念公園駅から大阪空港駅までの区間を往復した。新型車両3000系は10月21日の運行開始を予定している。
大阪モノレールは大阪空港駅から門真市駅までを結ぶ本線、万博記念公園駅から彩都西駅までを結ぶ彩都線で成り立っている。本線は阪急宝塚本線、北大阪急行線、阪急千里線、阪急京都本線、地下鉄(Osaka Metro)谷町線、京阪本線に接続する。
新型車両3000系の車体前面は、大阪モノレールの既存車両とは異なり、丸みを帯びたデザインとなっている。このデザインは人と沿線(まち)をつなぐ「わ」をイメージしたとのこと。直線的なデザインの車両が多い大阪モノレールだけに、丸みのある先頭部は異彩を放つのではないだろうか。外装においては、編成全体にわたって描かれた大きな円弧も特徴となっている。アルミ合金の車体にカラーラインがよく映える。
車内は基本的にロングシートで構成され、シート幅は通勤電車では最大級の48cm。成人男性が隣に座っても、隣の人との間に隙間ができるくらいだった。体格の大きい訪日外国人旅行者が隣に座ったとしても、あまり圧迫感を感じずに済むかもしれない。
筆者が注目したのは貫通路のデザインだ。新型車両3000系では、中間扉にガラスパーツを多用し、開放感あふれるデザインとしている。既存車両の貫通路は座席からも幌が見え、圧迫感があったが、3000系では圧迫感をまったく感じさせない。貫通路のデザインも3000系のキーワードのひとつである「清潔感・開放感」につながっているのであろう。
新型車両3000系における最大の特徴は先頭車にある。運転台の後方に「キッズスペース」と呼ばれる空間があり、こどもたちが運転士の目線で前面展望を楽しめるのだ。ちなみに「キッズスペース」はこどもたちが入る分には十分な広さだが、大人が入るとけっこうきつい。大人に邪魔されることなく、こどもたちだけの空間となるように配慮されているという。「キッズスペース」の反対側にはクロスシートの展望席が用意され、保護者たちは展望席から「キッズスペース」のこどもたちを見守ることもできる。
10月12日の報道機関向け試乗会では、新型車両3000系が10時17分に万博記念公園駅を発車し、大阪空港駅へ。大阪モノレールはもともと千里丘陵を走るため、眺望がすばらしい。3000系は開放感あふれる車内だけに、より眺望の良さが引き立つように思えた。
試乗会が行われた日は秋晴れだったが、窓からの日差しが気にならない。大阪高速鉄道の担当者によると、窓にはグリーンガラスを導入したとのこと。日差しが厳しい場合はフリーストップカーテンを使うと良い。
大阪空港駅に到着した後、ドア横に設置されている半自動ドアの実演が行われた。近年、阪神電気鉄道の5700系をはじめ、関西私鉄の新車でも見られるようになった半自動ドアだが、大阪モノレールの新型車両3000系に設置されたボタンは他と比べてサイズが大きいように思える。存在感があり、押しやすいと感じる。なお、現段階ではどの駅で半自動扱いにするかは決めていないとのことだった。
10時58分に大阪空港駅を発車し、万博記念公園駅へ戻った。当日は多くの駅利用者が新型車両に注目し、カメラを持った鉄道ファンの姿も見られた。大阪モノレールとの接続駅である阪急千里線山田駅をはじめ、3000系を特集した大阪モノレールの情報誌「OSAKAモノレールPRESS」が置かれた駅もあり、新型車両への期待の高まりを感じさせた。
新型車両3000系は10月13日の一般向け試乗会を経て、10月21日にデビューする予定。その後、10月中は本線・彩都線で限定運用される。限定運用のダイヤは大阪モノレールのサイト内でも公開されるとのことだ。