俳優の内博貴が13日、DDD青山クロスシアターで行われた主演舞台『まさに世界の終わり』のプレスコールに出演し、大空ゆうひ、那須佐代子と共に取材に応じた。
同作は1995年に38歳の若さで亡くなったフランスの劇作家・ジャン=リュック・ラガルスが、1990年にベルリンで執筆した戯曲。2016年にはグザヴィエ・ドラン監督が「たかが世界の終わり」というタイトルで映画化し、第69回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞、アカデミー賞外国語映画賞カナダ代表作品に選ばれた。
長く帰郷していなかったが、不治の病を得て実家に戻ってきた34歳のルイ(内)が、病を打ち明けられずにいる中、家族が言い争いをしたり、互いを気遣ったりする情景が会話劇として描かれる。家族の愛や葛藤を確固たるメッセージとして提示するのではなく、描写の一つ一つから観客の心に語り掛けていく。
主演の内は「とても芸術的で文学的な作品で、このようなタッチの作品は初めてです。全てを理解するまでが、今まで出させていただいた作品の中で、一番難解でした」と苦労を明かす。「セリフ量がとても多く、長セリフで10ページぐらいある部分もあります。会話劇ではありますが、全員に長セリフがあるので、一人が話しはじめたら、ぶわーっと話し続けるので、なにかあったときにフォローができない、個人戦のようです(笑)」と苦笑。「東京公演は、公演期間も長くて、1日に2公演を行うのも初めてなんです。神経を研ぎ澄ます繊細なお芝居なので気を引き締めて頑張ります。ぜひ皆さま劇場にいらしてください!」とアピールした。
また、義姉役の大空は内について「キャッチ力が凄いんです。ダメ出しが入っても、すぐに自分の中に取り込んで演じられていてすごいなと思いました」と称賛。「初共演ですが、この家族には、こんな素敵な(義理の)弟がいるんだと、自然に感じることができました」と語る。
内の母を演じた那須は、「ルイが実家に帰ってきて、18年ぶりに会うという設定なんですが、いやぁ……こんなきれいな息子になって。本当にきれいですよね」と、内の顔面をべた褒め。「兄(鍛治直人)は乱暴もので、弟はとても繊細。稽古中も、演出の石丸さんから『かっこよすぎる!』というダメ出しも出るくらいでした(笑)」と、エピソードを披露した。
同作の公演はDDD青山クロスシアターにて10月13日~11月6日を予定している。