「楠田亜衣奈3rd LIVE TOUR~アイナンダ!~」
Photo:中村ユタカ

声優・アーティストとして活躍する楠田亜衣奈の3rdライブツアー「楠田亜衣奈3rd LIVE TOUR~アイナンダ!~」ラストを飾る東京公演が9月1日、東京・恵比寿ガーデンホールにて開催された。8月から全国6箇所をめぐってきたツアーの締めくくりとなった本公演は、愛とハッピーに満ちあふれたものとなっていた。昼夜2公演行われたライブのうち、本稿では夜の部の模様をお届けする 。

▼ツアーの最終日、アルバムリード曲から好発進!

最新ミニアルバム『アイナンダ!』のリード曲「アイナンダ!」を模したOPSEが流れるなか、バンドメンバーが登場。続けて楠田がステージ中央の、側面に大きなハートマークが並んで貼り付けられたお立ち台に登ると、そのままライブ1曲目に。イントロ中には「せーのっ!」とコールを煽り、キュートなボーカルで愛らしくステージを幕開け。ステップも、サビの細かい部分を含めメリハリを付け、軽快に美しく見せる。

また1サビ明けにはその煽りに返るコールに嬉しそうな表情を見せると、2サビ後にはコール・アンド・レスポンスも挟んで、ポップなナンバーで上々の滑り出しを見せる。そしてイントロで「皆さん、盛り上がっていきますよー!」と煽ってから、さらにアグレッシブな「Infinite Memories」へ。「キミ」のフレーズに合わせてくすサポ(楠田ファンの総称)と視線を合わせたりと、コミュニケーションを取りつつしっかり披露。お立ち台でコールを受ける表情や姿からはうれしさがあふれ、高まり切ってかいきなりのジャンプエンドも見せたが、MCは「やっほー。」からゆるっとスタート。

楠田ならではのテンション感で先ほどとは違う形でくすサポとコミュニケーションを取ると、最後には3rdツアーのファイナルということで「今日の力を、存分に出し切って帰ってください!」と呼びかけた。

そして次の曲はダンス曲。レクチャータイムを経て「帰りたいところは?(楠田)」「家ー!!(くすサポ)」の掛け合いから、「ただいまを歌おう」に繋げる。Aメロからクラップで盛り上げたかと思えば、Bメロではまたもコールが楠田を盛り立てる。楠田のパフォーマンスも変わらず軽快で楽しいもの。加えて落ちサビ前には「ただいまくすサポ!」と声をかけ、そのくすサポからは「おかえりー!」の大歓声が起こっていた。

そしてここから3曲が、ライブ前半のなかでの驚きの流れ。なぜなら自作詞曲「Anniversary」から1stアルバムのリード曲「First Sweet Wave」、3rdアルバムリード曲「カレンダーのコイビト」といった、単体でもライブの核になり得る曲が立て続けに披露され、ライブ前半のクライマックスを作り上げたからだ。

まず「Anniversary」では、"繋いで"のフレーズで小指を掲げて場内と繋がったかと思えば、最前のくすサポのペンライトにタッチをする一幕があったりとコミュニケーションの近さに驚かされた。また、3-Bメロでの「大好き!」のコールを受けて楠田自らも「大好き!」をお返しし会場のボルテージを上げると、「First Sweet Wave」でもその高さを維持。

キー高めのサビ内での最高音などもまっすぐ飛ばしていったりとしっかりとパフォーマンスし切り、シームレスに「カレンダーのコイビト」へ。ここでは楠田は爽快なバンドサウンドに笑顔でぱあっと開けるようなボーカルを乗せ、それを場内へ向けて咲かせていく。そしてこの曲もジャンプエンドでの締めくくりとなったのだが、ここではぴょこんと垂直にひと跳ねしてのフィニッシュに。この一風変わった締めくくり方は、この日の定番の締め方となる。

▼衣装チェンジを境に、ラブソング多めの構成へ

曲明けのMCでもふたたびゆるめなトークが繰り広げられたのだが、その序盤に交わされた「みんなハッピーですか?(楠田)」「I'm happy!(くすサポ)」の言葉や、MC中のmaimai(Dr.)のお悩み解決を呼び水に、「ハッピーシンキング!」でライブ再開。楠田の脚運びの柔らかさが強く活きるこの曲のパフォーマンスは、サビ前に両手でハートを作る振付なども交えられたキュート寄りのもの。

また、2サビ明けにはMVになぞらえてマジックを披露。そこで増やした花をバンドメンバーのもとに生けながらメンバー紹介を行うという、進行のストレスを減らすどころか見事ささえ感じる構成だった。さらに曲終盤には、楠田自身もブルーのドレスがピンクに早変わり!後奏はピース、そしてみんなで手を振りながら締めくくったのだった。

続く「恋愛対象Countdown」はリズムのはっきりとしたナンバーで、そのリズムに合わせてピッピッとダンスをメリハリ良く見せていく。特にDメロでのかかととつま先を交互に軸にしてキュッキュッと移動していく部分や、大サビ前の小さなジャンプで膝を内側に入れたりといった細部にまでこだわり、かわいげを満載に魅せてくれた。そしてちょっぴり切ないミドルポップ「会いたいよでも言えないの」でも、サビの流れるようなパフォーマンスは実に美しいもの。それでいてそこにエネルギッシュさが失われていないというも、見逃してはならないポイントだ。

そこからもう1曲、今度はよりポップさとキュートさの強いナンバー「Melty Valentine」へ。ここではカウントを細かく取って、とにかく愛らしい要素を曲いっぱいに詰め込んだパフォーマンスを、お立ち台の上から見せていく。その姿からは、彼女の魅せ方の隙がさらになくなったことを印象づけられた。そしてスポットライトに照らされたピアノが奏でるイントロから始まったウェディングソング「プラチナデイズ」では、客席も曲に合わせて純白に染まる。この曲で楠田は、ダンスパフォーマンスよりも歌声の表現を優先。微笑みながら客席をじっくり見回して、多幸感にあふれるボーカルをしっとりと場内に響かせていった。

ここまで5曲連続で披露した楠田は、そのなかで早替えした衣装についてのトークを展開。青は「ハッピーシンキング!」、ピンクは「アイナンダ!」をイメージしたもので、後半に恋愛ソングを集めたのもその衣装のイメージあってのものと説明する。ただそのなかに、「ピンクの衣装のときは『アイナンダ!』を歌ってない」という裏話も、こっそり挟み込んでいた。