劇場版『薄墨桜-GARO-』キャラデザ・桂正和の見所は"平安感"

10月6日より公開中の映画『薄墨桜-GARO-』。「桂正和×小林靖子」の実力派クリエイターがタッグを組み、新たな『牙狼』の世界を築き上げる。

• 桂正和

2015年10月放送のTVシリーズ『牙狼 -紅蓮ノ月-』で活躍したキャラクターたちが活躍する本作。TVシリーズから引き続きキャラクターデザインを担当した桂正和に映画の魅力を聞いた。

▼全体的にどこか歌舞伎っぽく見せたいなと思ったんです

• 『薄墨桜-GARO-』

――桂さんがシリーズに参加したのは『牙狼 -紅蓮ノ月-』からになります。まず、本シリーズに参加することになった経緯を教えてください。

もともと僕は実写の『牙狼〈GARO〉』が好きでずっと応援していたんです。そうしたらアニメ版が始まったときに、なぜか僕が声優として呼ばれたんですよ(笑)。

――『牙狼〈GARO〉-炎の刻印-』ブルーノ役ですね。

何の経験もないし、やれるかどうかわからないけど行ってみたんです。そのときの現場で「次はアニメの第2弾を考えている」という話を聞いたんです。舞台設定が平安時代ということですごく面白そうだなと。「ぜひ俺にキャラクターデザインをやらせてくださいよ」って言っていたら、、それが監督の雨宮慶太さんに伝わったみたいで、そこで決まりました。雨宮さんは専門学校時代の先輩なので、そういう縁もありました。

――その流れで劇場版も引き続き担当されたんですね。

そうです。劇場版では新規キャラクターを描きました。明羅と時丸ですね。

――その2キャラクターはどのように作っていったのでしょうか。

デザインしたのがずいぶん前だから、あまり覚えちゃいないんだけど(笑)。明羅は陰陽師で、時丸が盗賊というのは決まっていたんですよ。キャラクターデザインって、監督や脚本家が設定をガッチリ決める前に行わないといけないんです。すごくふわーってしてるので毎回大変なんです。明羅に関しては星明の逆にしようと思っていました。透明感がある、白っぽくてきれいなキャラクターにしたかった。静かな目をしていながら復讐心がどこかにある、ということを意識して。だからそんなに苦労はしなかったですね。

――時丸は?

まず盗賊だから汚い格好をしているんだろうなってイメージをしました。あと、髪型は長くて白っぽくしたかったんですよ。なぜなら、和っぽさを出してく、歌舞伎のようにしたかった。雷吼もアニメではそこまでではなかったけど、僕のデザインだと眉毛や口元とかは浮世絵や歌舞伎を意識しているんですよ。

――生み出すのに苦労したキャラクターは?

苦労したキャラクターだと星明ですね。僕はもうちょっとかわいい女の子にしたかったんですけど、美形にしてほしいと言われまして。自分のイメージから美形に寄せていくのが苦労しました。星明の性格は僕のイメージと違って結構いい加減なところがあったので、美形にしたおかげでギャップが出て面白くなりましたね。

• 明羅

• 時丸

――特に気に入っているキャラクターは。

藤原道長ですね。描いてて楽しかったです。僕の中では、都に住んでいる道長と、その配下のイメージカラーは緑色なんです。俺がグリーンが好きだから(笑)。なので、道長たちは明るめのグリーンの服を着ているんです。藤原道長をこういったポップな感じでデザインしたのは僕がはじめてかなと思っているので、気に入っています。

――道長は観ていて憎たらしくて仕方がなかったです(笑)。

そうでしょ! あのいやらしさがいいよね。僕も描きながらそう思いましたもん。政治を牛耳っていて、「美おじさん」で、ほんとうに悪いやつ。渾身の力を込めて描きましたよ。やっぱり平安という雰囲気は良いですね。魑魅魍魎や妖怪がいてもおかしくないと思える時代じゃないですか。京都が好きということもありますけど。

――桂さんが思う『牙狼〈GARO〉』シリーズの魅力は?

『牙狼〈GARO〉』って設定が複雑そうに見えるかもしれないんですけど、ストーリーは王道なんですよ。わかりやすい勧善懲悪。あと、登場人物の立ち位置が好きなんです。キャラクターたちがどう思って、生きているのか。それが気になります。その中で『薄墨桜-GARO-』、TVシリーズのようなSF感のある平安時代ではなく、「実際の平安時代ではこういうことがあったのかも」と思わせるような作品になっている。美しい日本を感じられるんです。TVシリーズより深みを増したキャラクター、そしてきれいな映像。たくさん見どころがありますので、ぜひ観て下さい。

(C)2018「薄墨桜」雨宮慶太／東北新社