JR九州は9日、創建当時の姿に復原される門司港駅の保存修理工事現場を報道関係者らに公開した。2019年3月のグランドオープンに先立ち、11月10日に先行開業し、現在は仮駅舎で営業している「みどりの窓口」などの駅機能が復原駅舎に切り替えられる。

  • 大正時代の創建当時の姿に復原される門司港駅の駅舎

門司港駅の現駅舎は「ネオ・ルネサンス様式」を採用した中央棟2階建て・東西棟1階建ての木造駅舎で、延べ面積は約2,700平方メートル。1914(大正3)年に竣功・営業開始し、その後、1918(大正7)年に駅舎正面の時計、1929(昭和4)年に車寄せの大庇が設置された。1988(昭和63)年、鉄道駅として初めて国の重要文化財に指定されている。

2012(平成24)年9月から駅舎の保存修理工事に着手。素屋根(工事中の駅舎を覆う仮設の大屋根)の設置と建物の分解・部材調査、構造体再組立て、構造補強工事などを経て、11月10日に先行開業(駅機能切替え)した後、2019年3月にグランドオープンを迎える。

復原駅舎は正面にあった大庇を撤去し、中央棟のジャイアントオーダーが象徴的だった創建当時の姿をほぼ再現。外壁は石貼り風のモルタル塗、屋根は天然石盤葺きとしたほか、創建当時に存在していた屋根飾りも復原した。柱などの塗装も、残っていた部材から当時の塗装を調査し、可能な限り復原したという。創建当時、設置されていなかった駅舎正面の大時計については、長年にわたり駅舎のシンボルとして親しまれ、九州初の電気時計という歴史的価値もあることから残され、工事に合わせて新調された。

  • 復原駅舎は大庇が撤去され、中央棟のジャイアントオーダーが象徴的だった創建当時の姿に。駅舎正面の大時計は新調された

  • 11月10日の先行開業に合わせて供用開始となる1階コンコースと「みどりの窓口」。内装も創建当時の姿を復原している

この日の内覧会で公開された1階のコンコースと「みどりの窓口」も、それぞれ創建当時の内装を復原している。旧一・二等待合室だった「みどりの窓口」では、暖炉をはじめ、当初から設置されていたという黒漆喰の飾り壁の痕跡を一部残すとともに復原。コンコースでは旧出札室窓口に自動券売機が設置される。コンコースの大空間を実現するため、創建当初から木材の他に鉄骨が使用され、鉄骨には八幡製鐵所のロールマークが記されていたとのことで、今回の復原工事でも、天井内部に鉄骨を残していると説明があった。

今回は未公開だったが、復原駅舎1階の旧三等待合室も建設当時の内観を復原し、構造補強を兼ねたエレベーターを新設。2019年3月のグランドオープンに合わせ、「スターバックスコーヒー 門司港駅店」(仮称)が出店する予定となっている。2階も創建当時の内観が復原され、大正・昭和の時代に営業していた「みかど食堂」を再興した洋食レストラン「みかど食堂 by NARISAWA」(レストランの監修は「JRKYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」のスイーツコースも手がける東京・南青山「NARISAWA」オーナーシェフの成澤由浩氏)として来年3月のオープンを予定している。

  • 門司港駅の復原駅舎。外観と1階コンコース・「みどりの窓口」の内装