秋の気配もちらほら感じられるようになってきた10月。たまには慌ただしい毎日にちょっとだけ足を止めて、美食を味わいながらゆっくりと過ごしてみたいもの。そんな気分になったら「九州直送 熟成鮨 わだのや」(東京都渋谷区)に足を運んでみてはいかがだろうか。
店のウリは九州直送のネタを使った熟成鮨
「九州直送 熟成鮨 わだのや」は、恵比寿駅または代官山駅から徒歩数分。駅周辺の喧騒から離れた場所に店を構えている。シックな内装の店内に一歩足を踏み入れると、ゆったりと間隔が取られたカウンター席と、掘りごたつ式の席が並んでいた。奥行きがあり天井も高く広々としている。BMGで流れるジャズも相まって、食事をする前からすでにイイ気分だ。
店主の和田諭拓(わだ ゆひろ)さんは、もともと大阪・京橋で同店を営んでおり人気を博していたが、東京でお店を開きたいという夢があり、2018年9月7日に恵比寿で念願のオープンとなった。
お店の売りは店名のとおり、九州直送のネタを使った熟成鮨をメインとした逸品料理の数々。五島列島の鮮魚や大分産の野菜などを使用することで、食を通して九州の魅力を再発見してもらいたい、という思いも込められているようだ。
2週間熟成させたネタのお味は?
今回は「おまかせコース -別府- 九州各地から地魚、地鶏、旬野菜直送!」(税別7,000円)をいただいた。「まぐろのお造り」を食べてみると、「う~ん! 」と唸るほど味が濃い。2週間程度熟成しているそうで、旨味が凝縮されていることがよくわかる。
こちらのまぐろに関しては、石垣島からのもので、まぐろ漁師の具志堅さんから直送してもらっているとのこと。なんとこのお方、元プロボクシング世界チャンピオン、具志堅用高さんのお兄さんなんだとか。そう考えたらより一層味に深みが出るような気がしてきたぞ。
ちなみに、添えられてるわさびも鮮烈な味。思わず、わさびだけを箸先で少しずつ舐めつつ、大分・浜嶋酒造の特別純米酒「鷹来屋」をチビリチビリとやってしまった。いや~すでに、幸せ。
魚は現地で特殊な針金を使った「神経締め」をしており、血抜きもしっかりしているため、熟成させても臭みはなし。届いた魚は専用冷蔵庫でじっくり熟成させて提供しているのだそうだ。また、シャリは福岡の赤酢と、ミネラルを豊富に含んだ糸島の「またいちの塩」を混ぜ合わせており、丸くて甘みがあるため、熟成されたネタとの相性が抜群だ。
別府コースでは、「アオリイカ」「クロムツ」「ハガツオ」「クエ」「アマダイ」「づけまぐろ」と、九州ならではのネタが続々と握られる。貴重で高級な地魚が熟成を経て旨味を増し、口の中に運ばれる歓びは格別だ。特に、「ハガツオ」はとろけるような舌触りとまったりした旨味を感じることができる絶品だった。
熟成鮨の他にも、「旬野菜と地魚の天ぷら」「大分香る椎茸茶碗蒸しかぼす餡かけ」など、素材の良さと丁寧な仕事ぶりが光る料理が並び、大満足。最後は、大分県の郷土料理「だんご汁」で締め。ホッとする優しい味に体がほんわか温かくなった。ごちそうさまでした!
時の流れが止まったような落ち着いた空間で、珠玉の逸品を味わえる「九州直送 熟成鮨 わだのや」。まさに自分自身も熟成されていくような、贅沢な時間を過ごすことができた。これで税別7,000円というのはかなりリーズナブル。「九州各地から地魚、地鶏、旬野菜直送! おまかせコース」は「別府」の他、「湯布院」(税別10,000円)もあり。
また、現在オープンを記念して2018年10月31日までの期間限定で「九州前地魚鮨28貫コース」(税別12,000円)が税別10,000円で提供されているので、この機会に是非訪れてみてほしい。きっと、あなたの知らない九州の味が待っているはずだ。
●information
「九州直送 熟成鮨 わだのや」
東京都渋谷区恵比寿西1-30-14 エコー代官山 B1F
営業時間:18~24時(LO23時30分)
定休日:無