NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2018年10月4日~5日、プライベートイベント「NTT Communications Forum 2018」をザ・プリンス パークタワー東京にて開催した。本稿では、10月4日に行われたNTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 庄司哲也氏による基調講演「デジタルトランスフォーメーションが創造する未来」の様子をお届けする。

  • NTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 庄司哲也氏

DXが実現された未来の姿とは

イノベーションの創出やディスラプターへの対処に向けて、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性を理解していながらも、DXが実現された未来が想像できず、何から取り組めばよいのかわからないと頭を抱える企業は多い。こうした状況を踏まえて庄司氏は「NTT Comは、DXの実現を手助けする"DX Enabler"としてありたい」としたうえで、DXが実現された未来の姿として、「マーケティング」「ビジネスプロセス」「ワークスタイル」の3つに分けて紹介した。

マーケティング

まず庄司氏が紹介したのは、マーケティング。DXが進むことで、人々の生活に関するあらゆるデータはライフログサービスに保管されるようになる。そして、このライフログが任意で企業に提供されることで、企業は個人のデータをもとに人々が潜在的に求める製品・サービスの開発が可能になる。

庄司氏は、「DXが進むことで、マーケティング本来の意味である市場の創出を行っていけるようになる」とする。

講演中に紹介された動画では、個人の体調や嗜好に合わせたパーソナルサプリメントの提供が例としてあげられていた。DXによって、少量・多品種でパーソナライズされた商品を提供することが大規模に行われるようになっていくというわけだ。

ビジネスプロセス

続いて重要となるのは、これを実現するビジネスプロセスだ。クラウドファンディングで資本を集め、自身のアセットを利用して事業を起こす流れが現在でもあるように、今後は何らかのプラットフォームを通じてビジネスアイディアを発信し、資金やパートナーを世界中から募集。プラットフォームにてアセットを管理し、最適なバリューチェーンを設計するような流れが出てくるだろう。このようにBtoB的な連携が進み、エコシステムが形成されていくことで、上記で紹介したようなパーソナライズされたマーケティングが求められる時代に的確に対応できるようになる。

ワークスタイル

こうして多数のパートナーやステークホルダーとビジネス連携が必要となってくる時代には、個々人に複雑でマルチな働き方が求められるようになる。そこで鍵となるのが個人のワークスタイルだ。講演では、自分の複数のアバターを割り当てて同時刻に別の会議へ出席させる様子が動画で紹介された。判断や交渉が必要なタスクがある場合は本人が対応するが、ルーチンの業務には自身の経験をもとに判断できるデジタルクローンが対応することで、人間は想像力が求められる仕事に集中することができる。

「こうすることで、生産性を向上させながらもワークライフバランスを実現させることができ、介護や育児にあてる時間を確保することが可能となる」(庄司氏)